東京商工リサーチは7月20日、2022年(1~6月)の上場企業「早期・希望退職」実施状況を発表した。それによると、2022年上半期に早期・希望退職者を募集した上場企業は25社、募集人数は4,515人となり、新型コロナ感染が拡大した2020年以降では、社数、募集人数ともに最少となった。
企業別、富士通の3,031人が最多
業種別にみると、アパレル・繊維製品、電気機器、機械が各3社で最多。次いで医薬品、金属、情報通信、パルプ・紙が各2社、その他が6社となった。
アパレル・繊維製品は催事の中止や外出自粛等の煽りを直に受け、2020年から3年連続で最多となったが、2022年の募集ペースは緩やかになっている。また、運送や小売などコロナ禍が経営を直撃した業種は、2022年に入り募集した企業はゼロだったという。
一方、電気機器、機械、医薬品、金属、製造業で募集が目立っており、同調査では「今後、長引く資源高や円安加速を背景に、募集が増勢に転じる可能性も出ている」と予想している。
企業別にみると、富士通が50歳以上の幹部社員(一般に管理職相当)と定年後再雇用従業員ら3,031人で最多。3,000人以上の募集(応募含む)は2016年の東芝(3,449人)以来、6年ぶりとなる。次はパチンコ台メーカー・平和の250人で、300人以上1,000人未満の募集はゼロだったという。
また、100人未満の募集が12社(構成比48.0%)と約半数を占め、少人数の募集に集中していることが判明。同調査では、「これは子会社や特定の事業部門に限った募集が散発したほか、従業員数の比較的少ない企業での募集が相次いだためで、事業規模に関係なく早期・希望退職募集の広がりを示している」と分析している。
調査対象は、希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業。実施が翌年以降の企業は除いており、原則、「会社情報に関する適時開示資料」(2022年6月30日公表分まで)に基づいている。