昔ばなし「桃太郎」をモチーフとした超個性的なメンバーがチームを組み、人々に害をなす敵を退治するスーパー戦隊シリーズ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が、現在好評放送中である。

作品には従来の「スーパー戦隊」とは一味違う、ミステリアスな要素が多く組み込まれている。戦士たちが「戦う力」とひきかえに「何かを失った」のはなぜか、ドンブラザーズと対立する「脳人（ノート）」そして「獣人（ジュート）」とは何者か……といったいくつかの謎が示されつつ、毎回濃密なキャラクター同士のコミカルなかけあいを中心にしたインパクト抜群のストーリーが展開している。

  • 志田こはく（しだ・こはく）　2004年生まれ、埼玉県出身。2020年、ミス・ティーン・ジャパンに出場したのがきっかけとなり、芸能界入り。『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』（2022年）の鬼頭はるか／オニシスター役でテレビドラマ初出演を果たしたほか、舞台『六番目の小夜子』（2022年）に出演。　撮影:大塚素久(SYASYA)

今回の単独インタビューは、ドン１話「あばたろう」で視聴者を作品世界に引きずり込む役割を担った天才女子高生漫画家・鬼頭はるか/オニシスターを演じる志田こはくが登場。2022年7月22日から公開される映画『暴太郎戦隊ドンブラザーズTHE　MOVIE　新・初恋ヒーロー』でも大活躍する志田に、映画の必見ポイントや共演者とのチームワークの良さについて、そして作品の中で重要なポジションを担うはるかを演じるにあたっての思いを尋ねた。

――『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は毎回視聴者の予想の上を行く意外な展開が多く、日曜日のオンエア直後はSNSにたくさんのコメントが書き込まれて盛り上がっているようです。志田さんはこのような反響について、どう思われますか。

とてもうれしいです。『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の楽しさや面白さが、私の演技が原因で崩れてしまわないか不安に思うことが時々あるのですが、撮影に入るとそんな不安を捨てて、いつも楽しく行こう！と元気を出しています。そんなとき「面白かったよ」と感想をもらうとうれしく、よりいっそうお芝居に気合いが入ります。

――志田さん演じるはるかは、自分の描いた漫画「初恋ヒーロー」で漫画賞を獲ったにも関わらず、なぜか盗作の疑いをかけられたため頂点からどん底へと転落した設定ですね。はるかの視点から謎めいたストーリーが進んでいくドン１話はものすごいインパクトがありました。

私も衝撃でした。ドン１話以降も、台本を読んだらはるかの出番が多くて(笑)。

――はるかは、桃井タロウ/ドンモモタロウ（演:樋口幸平）や喫茶「どんぶら」マスターの五色田介人（演:駒木根葵汰）とのコミカルなかけあいが印象的ですね。コメディ演技をするときはどんなお気持ちなのでしょう。

まず私自身が楽しんでいますね(笑)。はるかのモノローグや「顔芸」がすごく多くて、タロウの変わった行動に対する「ツッコミ」を担当することもありますので、動きのひとつひとつを丁寧に表現しています。

――ドラマ出演が初めてとのことでしたが、怒ったり笑ったり悲しんだり、感情表現豊かなはるかを演じる難しさはありますか？

フィギュアスケートをやっていたので、表情や動きで感情を表すのは得意なんです。演技をしていても、難しいと思うことはないですね。

――はるかを演じる上で、特に気をつけているのはどんなところでしょう。

コミカルな表情の作り方です。最初のころは、こんなに崩してしまったらすごい変な顔になっちゃうかなって思いながらやっていましたけど、今はもう思いっきり変な顔にしています(笑)。表情の変化については、こだわりながら毎回作っています。はるかの顔芸については、監督からのNGが出なくて「もっとやっていいよ」って言われるんです。そんなとき私は「はるかって、ここまで（顔を）崩していいんだ……」と戦慄するんですけど(笑)。

――アバターチェンジしたオニシスターを演じるときに心がけていることは何でしょうか。

オニシスター演じる下園愛弓さんが、変身前のはるかの特徴を捉えてくださっているので、その可愛さやカッコよさを崩さないようにアフレコをしています。でも、ときどきは私のほうからキャラを「崩す」勢いで濃い～セリフを入れることがありますね(笑)。お芝居と同じくらい、アフレコも楽しくやっています。

――テレビシリーズ前半の中で、お気に入りのエピソードはどれですか。

はるかがドンブラザーズを辞めて、新しいオニシスターを迎えるドン10話「オニがみたにじ」です。それまでは、どこかあいまいな気持ちで戦士となって戦っていたはるかが、日常に戻って漫画家になるのではなく、自分の意志で戦う決意をする回です。今まででいちばん正義感のある、カッコいいはるかが見られて、自分でも気に入っています。