米Googleは7月19日(現地時間)、米国で8月から行うメガネ型AR(拡張現実)デバイスのプロトタイプのパブリックテストに関する詳細を発表した。同社は5月に、ラボで開発しているARデバイスを用いたリアルタイム翻訳のデモ動画を披露。その際にパブリックテストの実施を予告していた。

Googleのラボでは様々なプロトタイプでARを利用した自動翻訳やナビゲーションなどをテストしているが、ラボの限られた環境では、たとえば天候の違いの影響のようなデータは十分に収集できない。実際の利用環境での試用を通じて、デバイスの有用性やユーザー体験、安全性、耐久性などを確認するのがパブリックテストの狙い。

パブリックテストで使用するARプロトタイプは通常のメガネと同じで外観で、AR映像を視界に表示するin-lensディスプレイのほか、音声およびビジュアル用のセンサーとしてマイクやカメラを装備する。

パブリックテストは、少数のGoogle社員と信頼できるテスターに限定した小規模なテストになる。カメラやマイクを備えるが、写真撮影やビデオ撮影はサポートしない。映像データはテキスト翻訳、ビジュアル検索、ナビゲーションのポジショニングなどに利用し、音声データは音声からの翻訳や文字起こしに利用する。ユーザーの視線の先にAR映像を重ねて、たとえば目の前にあるメニューを翻訳したり、道順を確認しながら目的のコーヒーショップに向かうといったことが可能になる。

解析やデバッグに使用する場合を除き、センサーからのデータは削除される。解析やデバッグに使用する場合は、顔やナンバープレートのようなセンシティブな情報を除いた上で安全にサーバーで保管。解析やデバッグのみに使用して30日後に削除する。解析やデバッグのためにデータを保存する際には、LEDインジケータを点灯させてデータ収集を伝える。テスターが希望すれば全てのログからデータを削除する。

ほかにも、学校、子供が集まる場所、政府関連施設、医療施設、礼拝所、社会福祉施設、緊急対応施設などでの使用が禁止されるなど、パブリックテストはGoogleのプライバシーおよび安全対策に準拠したルール下で行われる。そのため、テスターにはデバイス、プロトコル、プライバシー、安全に関するトレニーングを受けることを義務づけている。

ARグラスのプロトタイプのパブリックテストは限られたテスターのみの参加になるが、ほかにもGoogleはResearchプロジェクトの調査や研究に協力したい人の参加を募っており、Googleユーザーエクスペリエンス調査のWebページで希望者の登録を受け付けている。