半導体から自動車製造までの垂直統合メーカーが出現する可能性
急速なEV化の傾向は、従来の内燃機関とは異なる、まったく新しいサプライチェーンを生み出しているとYoleでは説明している。xEVはバッテリー、eモーター、インバータ、およびOBC、DC/DCコンバーター、PDU、その他の補助装置を含むサポートサブシステムで構成されおり、ほとんどの場合、パワー半導体が不可欠であることを意味する。この動きは、従来の自動車業界外からのサプライヤの新規参入を促すが、新興国や中国などで特にそうした動きが顕著になっている。
また、多くの自動車製造メーカーは半導体製造から自動車製造まで垂直統合の方向にある。従来は、車載半導体は、半導体メーカーが設計・製造を担当するか、製造はファウンドリに委託しており、その半導体を使ったシステムをTier1が製造し、自動車メーカー納入していた。しかし、一部の自動車メーカーは、そうしたTier1コンポーネントサプライヤによって製造されるシステムを社内に取り込み始めているとするほか、Tier2サプライヤの担当である半導体デバイスの設計をも自動車メーカーやTier1が取りこむ動きが出てきている。
このような破壊的ともいえる動向のけん引役は、主要な製品サプライチェーンのセキュリティと、垂直統合することによるBEVの革新の素となると考えられるようになっており、いずれは、半導体の設計・製造から自動車組み立てまでを自動車メーカーがすべて行う垂直統合型EVメーカーが登場する可能性があるとYoleでは指摘している。