「後悔先に立たず」の意味をご存知でしょうか。耳にしたことはあっても、実際に自分で使うとなると難しいという方も少なくないはず。

この記事では、「後悔先に立たず」の意味や例文、類語・反対語(対義語)、英語表現などを解説しています。また、混同されがちな「覆水盆に返らず」との違いも説明しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

  • 「後悔先に立たず」の意味

    「後悔先に立たず」の意味、類語・反対語(対義語)、英語表現などを解説します

「後悔先に立たず」の意味

「後悔先に立たず」は、既にしてしまったことを後から悔やんでも取り返しはつかないことを意味します。そこから、「事前に熟慮することが大切である」という意味も含んでいます。

「後悔先に立たず」の由来

「後悔先に立たず」には、有力な由来や語源などはないといわれています。

「後悔先に立たず」は座右の銘としても使える

「後悔先に立たず」は単純に「取り返しのつかないこと」であると認識するだけでなく、「後になって後悔しても遅いから、失敗することのないように十分に準備をしておくこと」という戒めの言葉でもあります。

既に起こってしまったことに対し、次は後悔しないように熟慮してから臨むべき、と身を引き締めたい人は、「後悔先に立たず」を座右の銘とするといいでしょう。

「後悔先に立たず」の例文

  • 「後悔先に立たず」の意味

    「後悔先に立たず」の例文をご紹介します

「後悔先に立たず」の使い方を例文と一緒に見ていきましょう。実際に使うときの参考にしてみてください。

よく見ないで契約してしまったのが悪い。後悔先に立たずだ

既にやってしまったこと(契約したこと)について、取り返しのつかないことをしてしまった、と後悔している場面での例文です。

道に迷ってしまって帰れない。後悔先に立たずだけれど、地図を持ってくればよかった

「今になって後悔しても遅い」ことを「後悔先に立たず」という言葉で表現した例文です。

事前にきちんと準備をしておくことだ。後悔先に立たずというじゃないか

「後悔先に立たず」を教訓として使用している例文です。後悔しないように事前に準備をしておくといい、という意味で使用しています。

「後悔先に立たず」の類語

  • 「後悔先に立たず」の意味

    「後悔先に立たず」の類語として「臍を噛む」「覆水盆に返らず」などが挙げられます

「後悔先に立たず」は類語表現が多いため、文脈やシーンによって言い換えたり使い分けたりすることができます。ここでは代表的なものをご紹介します。

臍を噛む

「臍を噛む(ほぞをかむ)」は「後悔先に立たず」の代表的な類語の一つです。

「臍」は日本語で「へそ」とも読み、自分で自分のへそを噛むことができないことから、どうしようもできないさまを意味しています。転じて、後悔してもどうしようもない、「後悔先に立たず」と同じ意味になります。

由来は中国の故事で、「今敵を討たなければ臍を噛むことになる」という忠告を受け入れなかったために国が滅亡させられてしまったというエピソードからきています。

後の祭り

「後の祭り」は、「既に手遅れになっていること」「今となってはもう無駄であること」を表した言葉です。祭りが終わった後に神輿や山車のような道具を持ってきても役には立たない、ということから、「もう手遅れである」という意味になりました。

覆水盆に返らず

「覆水盆に返らず」はこぼれた水が盆に返らないのと同じように、「別れた関係は二度と元に戻らない」「一度したことは取り返しがつかない」という意味です。「悔やんでも悔やむ前には戻れない」という意味の「後悔先に立たず」とよく似ています。

「後悔先に立たず」は過去の行動に対して使用することが多いのに対し、「覆水盆に返らず」は客観的に見た事実に対して使用することが多い言葉です。

■例文
やっとプレゼン資料が完成したと思ったのに、保存する前にPCの電源を落としてしまい、データが全部消えてしまっていた。まさに覆水盆に返らずだ。

憂え身に及びて後憂うるも及ばず

「憂え身に及びて後憂うるも及ばず」は「うれえみにおよびてのちうれうるもおよばず」と読みます。「心配事が起こってから対策を考えてもうまくいかない」という意味で、「何か起こる前に対策を考えておかないと取り返しのつかないことになる」という戒めの意味も含まれており、「後悔先に立たず」の類語だといえるでしょう。

「後悔先に立たず」の反対語(対義語)

  • 「後悔先に立たず」の意味

    「後悔先に立たず」の反対語(対義語)として「備えあれば憂いなし」「後は野となれ山となれ」などが挙げられます

「後悔先に立たず」の反対語をご紹介します。

備えあれば憂いなし

「備えあれば憂いなし」は「普段から準備しておけばいざというときに困らない」といった意味の故事成語です。中国の書物に由来する言葉で、戒めとして多く使用されます。

転ばぬ先の杖

「転ばぬ先の杖」は、「転んでから杖を用意したのでは意味がない」ということから転じて、前から用心しておけば失敗しないことのたとえで、「備えあれば憂いなし」とほぼ同義といえるでしょう。

濡れぬ先の傘

「濡れぬ先の傘」は「転ばぬ先の杖」と似たような意味で、「雨が降る前に傘をさしておくこと」つまり事前に準備をしておくことのたとえを意味しています。

伸るか反るか

「伸るか反るか」は物事の成否を天に任せ、思い切って物事を行うことをいいます。「一か八か」にも言い換えることができるでしょう。後悔しないように事前に準備をするのではなく、なるようになる、という意味です。

後は野となれ山となれ

「後は野となれ山となれ」は「目先のことが何とかなれば結果はどうなってもいい」といったような意味です。

立つ鳥跡を濁さず

「立つ鳥跡を濁さず」は、「鳥が自分のいた痕跡をキレイに消して立ち去るさま」を意味し、転じて引き際がよいということも意味します。

一か八か

「一か八か」は「のるかそるか」同様、結果を運任せにすることをいいます。

語源は所説ありますが、賭博から生まれたとする説が有力です。「丁か半か」の漢字の上の方をとったという説もあります。

「後悔先に立たず」の英語表現

「後悔先に立たず」を意味する英語表現をご紹介します。

Repentance comes too late.

「Repentance」は「後悔、悔い」で、「後悔がしても手遅れだ」という意味になるので、「後悔先に立たず」の英語表現といえるでしょう。

It is no use crying over spilt milk.

「こぼれたミルクを見て泣いても無駄である」といった意味になり、「覆水盆に返らず」の英訳として提示されることが多いです。よって類語である「後悔先に立たず」の英語表現としても使えるでしょう。

「後悔先に立たず」の意味、類語・反対語、英語表現などを理解しておこう

「後悔先に立たず」の意味や類語・反対語、英語表現などについてまとめました。

「後悔先に立たず」は取り返しのつかないことをいいますが、座右の銘、戒めの言葉として過去にも未来にも使うことができます。日常生活では、「後悔先に立たず」を心に留めて行動していきたいですね。