岩手県の久慈琥珀博物館、早稲田大学国際学術院の平山廉教授、東京大学総合研究博物館の久保泰研究員らによる共同研究グループは7月15日、共同で会見を開催。
久慈市の久慈層群玉川層で発掘された竜脚類恐竜の歯の化石に残された微小な摩耗痕の3D分析により、食物の物性を判定し、竜脚類恐竜が植物を食べていたことを客観的な証拠から解明したと発表した。
同研究内容は2022年5月24日付で、古生物に関する学術誌「Cretaceous Research」にて発表された。
久慈で発掘された恐竜の歯の化石を分析
岩手県久慈市は、日本国内では希少な軟らかい地層が特徴で、同地域では琥珀や植物の化石などが多く発掘されている。中でも久慈琥珀博物館の琥珀採掘体験場および隣接する化石凝集場では、竜脚類恐竜の歯をはじめとする恐竜の化石、カメ類やワニ類の骨格など、30種類前後の脊椎動物化石が2600点以上発見されているという。
竜脚類恐竜は、史上最大の陸上生物を含むとされる恐竜の分類群で、植物食の性質をもつと推定されている。しかし、現代に竜脚類恐竜に似た形態の動物が存在しておらず、植物食だと断定する証拠はなかったという。
今回の早大らによる研究では、久慈市で発掘された竜脚類の歯の化石のうち状態の良い8本について、レーザ顕微鏡を用いた3D測定を行い表面形状をデジタルデータ化し、食物の咀嚼で発生する微小な摩耗痕(デンタル・マイクロウェア)を定量的に分析したとのことだ。
さらにこれらのデータを現生する数種類のトカゲのデータと比較することで、竜脚類の食べていたものの物性(硬さ)を明らかにしたとする。