俳優の上川隆也が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『遺留捜査』第7シーズン(毎週木曜 20:00~)が、あす14日にスタートする。1999年1月にスタートし、23年の歴史を紡いできたテレビ朝日木曜20時のドラマ枠「木曜ミステリー」の集大成を飾る『遺留捜査』は、上川演じるマイペースで空気を読まない刑事・糸村聡が、遺留品から事件を解決していくというストーリー。

第7シーズンにも、おなじみ京都府警“特別捜査対策室”、通称“特対”を舞台に神崎莉緒(栗山千明)、佐倉路花(戸田恵子)、雨宮宏(永井大)、沖田悟(戸塚純貴)ら個性豊かなメンバーが集結するほか、第1シーズンからのレギュラーメンバーである科捜研研究員・村木繁(甲本雅裕)が登場する。

今回は上川に、今作の見どころや演じる糸村への思い、共演者の魅力、そして上川が惹かれ続ける“物語”について話を聞いた。

  • 俳優の上川隆也 写真:テレビ朝日提供

    俳優の上川隆也=テレビ朝日提供

――第7シーズンで進化しているポイントを教えてください。

たとえ話になるのですが、車を手に入れて乗り始めたとき、最初は車と運転者の親和性はそれほど高くありません。でも同じ車に乗り続けていくと、運転者は機能を理解し、練度も上がっていく。その結果同乗者にとっても心地良く、安全度の高い運転ができる段階へ移行していくと思うんです。

きっと『遺留捜査』という乗り物は変わらなくとも、そこで過ごすキャストやスタッフが1作ごとに作品を深く理解していくことで、視聴者の方により楽しんでいただける作品に“深化”していると感じています。

――『遺留捜査』第4シリーズから仲間入りした木曜ミステリー枠が、幕を閉じることになりました。集大成を務めることへの思いをお聞かせください。

最後の作品という大きな誉れを担うには、『遺留捜査』という作品は少し埒外にいるような気がするんです。刑事ドラマとしてもミステリー作品としても、ある意味スタンダードを逸脱したような作り方ですし、申し訳なくすら思います。ですが今できる限りのことを注ぎ込み、重ねてきた歴史に恥じない作品にしたいです。

――糸村を演じるうえで大切にされていることを教えてください。

神経質な無神経さというのでしょうか、糸村の中にはこの2つが同居していると感じます。遺留品に向かうときは、得られる情報を何1つ漏らさないようにそのとき持てるエネルギーを全集中させますが、一方で他人にはどこか無神経さをいとわない部分がある。この相反する要素の同居が、糸村を糸村たらしめているように思います。

――一歩間違えば自分勝手に映ってしまうキャラクターでもありますが、“無神経さ”のさじ加減は難しいですか。

さじ加減がないからこそ彼はシーズン1から昇進もせず、所属を転々とさせられている辺りは組織からの真っ当な評価なのかと。それを物ともしない図太さも、彼の彼たる所以だと思います。

――甲本雅裕さん演じる警視庁科学捜査研究所係官・村木繁との絡みも年々パワーアップしていますが、裏話があれば教えてください。

甲本氏が年年歳歳パワーアップしています。彼自身村木という役をとても愛してくれていて、大体1話に2シーンから3シーン登場しますが、手ぶらで臨むことがまずないんです。必ずワンアイデア持って来るので、飽きることがないですし、その熱量がシーンの駆動力になっていると思います。

――糸村とペアで動くことも多い、神崎莉緒役の栗山千明さんの魅力を教えてください。

『遺留捜査』においては、栗山さんの硬軟の軟の部分がいい意味で現れているのではないかと。引率に近い形でペアを組んでいる神崎を、手綱が取りづらく制御し切れない糸村という人間に、振り回されながらくじけない愛らしい女性に作り上げている。栗山さんが持っている柔らかさがキャラクターに反映されていると思います。

――前シーズンから戸塚純貴さん演じる沖田悟が新加入しましたが、『遺留捜査』に与えた影響を教えてください。

糸村という空気を読まないマイペースなキャラがいるところに、もう1人若者ならではの奔放さを持った沖田がやってきて特別捜査対策室に変化がもたらされたと思います。でも僕が一番感じるのは、永井(大)くんが演じる雨宮(宏)の変化。これまでは梶原(善)さん演じる岩田(信之)という先輩とバディを組むなかで先輩を追従するような携わり方をしていましたが、沖田が加わったことで雨宮のほうが捜査のイニシアチブを取らないといけないという立場の大変化が起きたんです。捜査会議の場で彼が担う役割の重さの変化にも現れていると思います。キャラクターの成長もまた、作品の深化だと思います。

――雨宮と沖田の関係性にも注目ですね。

演じている2人はプライベートでもよくつるんでいますし、日々“ツーカー度”は増しているように見えます。