街中でApple Watchをお使いの方を見かける機会が、以前にも増して多くなりました。でも、よく見るとディスプレイが常時表示でない割合が比較的高いようです。Apple Watch Series 5以降のモデルは常時表示機能を搭載していますが(Apple Watch SEを除く)、バッテリーの問題であえてオフにしている可能性もあります。
では、常時表示をオフにするとバッテリー消費量にどの程度差があるのでしょうか。検証してみました。
Apple Watchの常時表示とは?
Apple Watch はSeries 5以降のモデルで「常時表示ディスプレイ」を搭載しています。それまで手首を下げると画面が暗く(スリープ状態に)なっていましたが、Series 5では手首を下げても文字盤が表示されるようになったのです。
常時表示オンの場合、スリープ中は文字盤を表示しながら明るさを抑え、リフレッシュレート(画面描画の切り替え頻度)を大幅に下げることで、バッテリー消費を少なくする工夫がされています。とはいえ、表示しない状態に比べればやはり消費量は増えます。
Apple Watchの最大の弱点といえば、バッテリー持続時間が挙げられます。常時表示をオフにすることでバッテリー持続時間を伸ばすことはできるのでしょうか。常時表示オン/オフそれぞれの消費量の違いを検証してみました。
常時表示オン/オフでバッテリーの消費量を比較すると
検証の方法は以下の通りです。
常時表示オンの状態とオフの状態で、それぞれ6日間、各18時間使用した場合のバッテリー消費量を計測します。
Appleの公式サイトでは、Apple Watchのバッテリー駆動時間は18時間と示されています。実際のところほとんどの方はこれ以上もつと思われますが、ひとつの目安として18時間を基準にしました。
なお、リアルに仕事や生活をしながらの検証なので、計測時間は厳密ではなく、使用状況にもバラつきがあります。ある程度傾向を掴む意味で、6日間の平均値で比較を行います。
以上のような条件で計測した結果がこちらです。
あくまで単純計算ではありますが、
常時表示オンの場合。
- 44.5%÷18時間=1時間あたりの消費量2.47%
- 100%÷2.47=40.48
→100%充電で約40時間程度使用できると考えられます。
常時表示オフの場合。
- 33.7%÷18時間=1時間あたりの消費量1.87%
- 100%÷1.87=53.47
→100%充電で約53時間程度使用できると考えられます。
常時表示オフなら一応丸2日間はもつ計算になります。ただ、終盤は省電力モードが必要になるレベル。安心して使うなら少なくとも1日おきに充電が必要だと言えます。
常時表示オフで使用する利点はある?
この結果から考えると、常時表示はオフにしても数日間使いっぱなしとはいかず、充電の手間が大幅に減るわけではなさそうです。一方でオンなら手首を上げずに文字盤が見え、バンドやファッションに合わせたカラーコーデにも一役買います。
あえて常時表示をオフにする利点はあるのでしょうか。2つの可能性が考えられます。
一つは、充電時間が短くなることです。
Apple Watchの睡眠計測を使用する場合、就寝前や起床後などに時間を見つけてバッテリーを充電する必要があります。この際、当然残量が多い方が早く充電が完了します。充電のタイミングを逃しがちの方なら、充電時間が短くて済む常時表示オフが有利です。
もう一つは、バッテリーの経年劣化を抑えられる可能性があることです。
充電式のバッテリーは消耗品であり、充電サイクルを重ねるほどパフォーマンスが低下します。充電サイクルは、充電容量の100%に相当する電力を使い切ることが「1回」です。つまり、1日で50%を使用する機器なら、2日で「充電サイクル1回」を完了します。一方、1日30%を使用する機器なら3日強かかります。
そして、ある程度充電サイクルを繰り返すと充電可能な容量が目減りしていきます。1日のバッテリー消費量が少なければ「1回の充電サイクル」の期間が伸び、それだけ劣化を遅くできる可能性があるわけです。
利便性や見た目の点から活用したい常時表示オンと、節約と長期使用を優先できる常時表示オフ、みなさんはどちらを選択しますか?