Nothing Technologyが開発するスマートフォン「Nothing Phone (1)」が発表されました。特別なデザインを採用したスマートフォンとして、少しずつ情報が公開されていたNothing Phone (1)ですが、これが今回正式に発表。日本国内でも利用可能で、国内メディア向けに端末と情報が公開されました。今回、短時間ながら触れることができたNothing Phone (1)のインプレッションをお届けします。

購入は同社Webサイトから。メモリ/ストレージの容量の異なる3モデルが設定されますが、記事執筆時点で1モデルだけ価格が公表されており、8GB+256GBで69,800円となっています。

  • Nothing Phone (1)

    Nothing Phone (1)

Nothing Phone (1)は、完全ワイヤレスイヤホン「Nothing ear (1)」に続くNothingのハードウェア製品。Nothing ear (1)でも透明なケースデザインでしたが、スマートフォンでも半透明のボディという独特のデザインを採用しています。

  • Nothing Phone (1) ブラック

    Nothing Phone (1)はブラックとホワイトの2色。こちらはブラック。内部が透過した独特のデザイン

もともと、ソニーと任天堂に影響を受けたというCEOのCarl Pei氏が立ち上げた同社ですが、最近のスマートフォンは同じようなデザインにあるという意識があったそうです。Pei氏は、「一目でNothingのものだと分かるようにしたい」と話し、一貫性のあるビジョンやミッションを示す製品を目指したとしています。

  • 背面デザイン

    中央のワイヤレス充電のコイルが目立ちますが、中身のデザインも工夫されているようです

同社が第1弾製品として開発したのはワイヤレスイヤホンでしたが、会社設立当初から「今までとは違う電話を作りたいという思いはあった」(Pei氏)とのことで、2021年9月頃からスマートフォンの開発をスタートしたと言います。

今回の発表イベントに先立ってNothing Phone (1)の背面デザインなどはすでに公開されていましたが、SNSが普及して情報統制が難しくなった世の中なので、デザインなどは公式に小出しにする方針を決めていたそうです。

その最大の特徴である背面は、中央にワイヤレス充電用のコイルが目立つように配置されています。さすがに内部基板全体まではカバーされていて見えませんが、単に内部を見せるのではなく、デザインの一部として表現されており、独特の雰囲気を醸し出しています。

こうしたデザインは、マッシモ・ヴィネリによるニューヨーク地下鉄の路線図デザインを参考にしたそうで、デザインを重視したことをアピールします。

背面をよく見ると、デザインの中に動物が隠されているそうで、こうした遊び心は、楽しさ、面白さ、人の温かみを感じるプロダクトを出したい、というPei氏の理念に基づくもののようです。

  • ホワイトモデル

    こちらはホワイトモデル

ディスプレイは6.55型フレキシブルOLEDディスプレイを採用。解像度は2,400×1,080ドットで、HDR10+や10bitの色深度もサポートします。輝度は500nit、ピーク輝度は1,200nit、コントラスト比は100万:1、60~120Hzのアダプティブリフレッシュレート、240Hzのタッチサンプリングレートと、「若干コストの高いプロダクトを使っている」(同社)と言います。

本体サイズはH159.2×W75.8×D8.3mm、193.5g。メモリは8GBまたは12GB、ストレージは128GBまたは256GBで、メモリ12GBモデルのストレージは256GBのみです。本体はIP53相当の防水防塵性能と、水中での保護とまでは行かない、やや弱めレベルです。これはコストの問題で、水中に没しても直ちに壊れるということはないそうですが、推奨はできないとのことです。

  • ブラック/ホワイトの両モデル

    2つのカラーを並べたところ。だいぶ印象は違います

バッテリー容量は4,500mAhで、USB Type-C(PD3.0)に加えて15WのQi対応ワイヤレス充電に対応。5Wのリバース充電もサポートします。

SoCはSnapdragon 778G+。放熱やバッテリー消費、パフォーマンスで検討した結果選択したと言います。ネットワークは5G(Sub6)にも対応し、n1/n3/n5/n7/n8/n20/n28/n38/n40/n41/n77/n78をカバー。Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFCにも対応しますが、FeliCaは非搭載です。

カメラはデュアルカメラで、メインは有効画素数5,000万画素1/1.56型センサーを採用。ソニー製のIMX766センサーとのことで、ピクセルビニングによってピクセルピッチは1μm。35mm判換算焦点距離は24mm、光学式/電子式の手ブレ補正を備えます。

  • カメラ部

    カメラはデュアルカメラ

超広角カメラはSamsung製のJN1センサーを採用。有効画素数5,000万画素1/2.76型センサーで、電子式手ブレ補正を備え、レンズの画角は114度とされています。フロントカメラは有効画素数1,600万画素1/3.1型のソニー製IMX471センサーです。

プリインストールされているのはGoogle純正アプリのみで、GoogleのPixelシリーズのように「素のAndroid」といった形です。同社では「Nothing OS」と表現し、フォントや壁紙などでデザインの統一感を持たせているそうです。

最大の特徴が「Glyph Interface(グリフインタフェース)」。背面に搭載されたLEDですが、これがワイヤレス充電コイルの外周やその上下、カメラ周辺に配置され、着信時に様々に点滅したり、通知を知らせたりしてくれます。カメラ撮影時のライトとしても使えるそうです。

  • グリフの発光

    グリフが光り、さまざまな通知をしてくれるほか、カメラのライトとしても利用できます

グリフが光る様子

基本的に特徴となるのはデザイン面ですが、日本でも同様のスタンスで開発されたBALMUDA Phoneのような例もあり、画一的なデザインではない、独自デザインのスマートフォンの存在が、市場を活性化してくれることを期待したいところです。