アドバンスト・メディアは、同社が提供する開発者向けプラットフォーム「AmiVoice Cloud Platform」のリニューアルを6月22日に実施。それに際して7月7日にオンラインで記者説明会を開催し、音声認識の実演などを行った。

コロナ禍で拡大が予想される音声認識市場

アドバンスト・メディアは、日本語に強みを持つ音声認識技術の開発をはじめ、自社の技術をベースとしたさまざまな事業を展開している。

同社は目標の1つとして「AISH(AI Super Humanization)の実現」を掲げている。AISHとはAIによる人間の超人化を表しており、人とAIの自然なコミュニケーションによって、人間がより高度かつクリエイティブな役割を果たす環境を目指しているという。

  • AISHのイメージ資料

    AISHのイメージ資料(提供:アドバンスト・メディア)

会見に登壇した同社の取締役事業本部長である大柳伸也氏によると、音声認識市場の発展に対して昨今のコロナ禍が与えた影響は大きいとのことだ。

オンラインでのやり取りが増え、映像会議ツールや遠隔作業のニーズが高まったコロナ禍では、数多くの音声データがインターネット上で行き交うようになった。これについて大柳氏は、音声認識ビジネスとしてはプラスだとし、「音をインプットデータとして取り込み、テキスト化して、アウトプットするというのが非常にやりやすくなった」と語った。

  • アドバンスト・メディア取締役の大柳伸也氏

    アドバンスト・メディア取締役の大柳伸也氏(提供:アドバンスト・メディア)

このような背景から、現在1,000億円程度の規模といわれる日本の音声認識市場は、3年後には2倍超の約2,452億円規模まで拡大するとも予想されているとのことで、働き方や生活習慣の変化により音声認識のビジネスチャンスが増えると考えられるという。

AmiVoice Cloud Platformについても普及が拡大しており、提供開始から約2年半で、ユーザー数が1,600を突破したとしている。導入分野も営業活動効率化からテレビ番組制作、翻訳など多岐にわたるといい、今後は医療分野の遠隔作業や仮想空間での利用など、さらなる広範な展開が考えられるとのことだった。

AmiVoice Cloud Platformをリニューアル

アドバンスト・メディアが2019年12月より提供する、クラウドAPI型の音声認識AIプラットフォームのAmiVoice Cloud Platformは、2022年6月にサービスのリニューアルが行われた。

  •  AmiVoice Cloud Platformのバナー

    AmiVoice Cloud Platformのバナー(提供:アドバンスト・メディア)

今回のリニューアルにより同サービスは、従来から提供されていた音声認識API(現:AmiVoice API)に加え、組み込み式のソフトウェア開発キット(SDK)など、音に関するさまざまな技術が追加されたボイステックプラットフォームとして提供されるという。

さらに、コンタクトセンター用製品の開発者向けとして、Amazon Connectに対応した通話テキスト化サービスなども追加された。会話者ごとの音声をそれぞれ分離して認識する技術の開発により、通話内容のリアルタイムでのテキスト化や、音声認識による自動応答システム(IVR)構築を可能にするとしている。

また、AmiVoice APIのオプションとして、音声データから発話者の感情を解析するAPIも提供される。同技術は1秒当たり0.04円で提供されるとのことで、喜びやストレスなど20種類のパラメータを約2秒ごとに1回出力するという。

この感情解析APIは、コールセンターにおける顧客対応の分析や人事面談などでの社員のメンタルヘルスケアなどへの活用が期待されるとのことだった。

  • 感情解析APIイメージ

    感情解析APIイメージ(提供:アドバンスト・メディア)

AmiVoice Cloud Platformの利用対象としては、音声技術を使用しサービス開発を行うベンダー全般が想定されるという。また同サービスを活用して完成した音声認識アプリケーションは、自社内での利用はもちろん新サービスとしてエンドユーザーへ販売することも可能だとしている。