帝国データバンクは、コロナ融資を借りている企業の財務状況について調査・分析を行った。コロナ融資企業の27%が借り入れ依存70%超えで、「過剰債務」の副作用が顕在化しつつあるという。
「コロナ融資」を導入する企業のうち、2019~21年(各1~12月期)の財務状況が判明した約2万6,000社の財務状況について調査した結果、月商に対する借入金の比率を示す「借入金月商倍率」は平均4.8カ月に達したことが判明。
コロナ前(2019年)の3.4カ月から約1.4カ月分増え、「適正」の目安とされる4カ月を大幅に上回った。全国平均の3.9カ月を約1カ月上回っているほか、倍率の差も0.4カ月差から0.9カ月差に拡大。コロナ融資を受けた企業では、業績の悪化と借入金の増加を背景に、企業における債務負担が急速に膨張している。
業種別にみると、借り入れ依存度が70%を超えている割合が最も高いのは「旅館・ホテル」で、コロナ融資企業の7割超に上った。旅館・ホテルでは、借入金が総資産を上回る債務超過の割合も21年で3割超を占めており、20年(19%)、19年(10%)に比べても大幅に増加した。旅館・ホテルでは需要の消失による運転資金需要を借入金で賄ってきたなかで、過剰債務の深刻さが増している。旅館・ホテルに次いで高いのは「居酒屋」の65%だった。
全国の中小企業を中心に行った2月の調査では、コロナ融資を受けたと回答した約5,000社のうち、「返済に不安を抱えている」との回答が約1割に達した。このうち、既に数社が経営破綻しており、逆風下にあった事業者の「命綱」となってきたコロナ融資が、業績が回復しない中小企業の資金繰りをより苦しめる要因となっている。
コロナ融資を受けた後に倒産した「コロナ融資後倒産」は、6月時点で既に前年の件数を上回っている。これまで減少を続けてきた倒産動向は、早ければ今夏にも本格化するコロナ融資の返済が追い打ちとなり、先行きが見通せず「あきらめ」による倒産が急増する可能性が高まっている、とこの調査は伝えている。