やせたいとは思っているのに、お腹がすいてつい冷蔵庫を開けると、そこには高カロリーの大好物が…。あなたならどうしますか?
そんなふうに、冷蔵庫の中身次第で太ってしまうこともあればやせやすくもなると語るのが、女性専門パーソナルトレーナーの石本哲郎さんです。「やせる冷蔵庫」のつくり方を石本さんが解説してくれました。
■食事量は減らしても、たんぱく質はしっかり摂取する
やせたくてもやせられない人にはいくつかの特徴がありますが、「食べ物があったら食べてしまう」というのもそのひとつです。冷蔵庫を開けてプリンがあったら食べてしまう…。それではやせられないのも当然のことですよね。
そこで、冷蔵庫の中身を、仮に食べてしまってもダイエットを阻害するものではないものにしようというのが、わたしがいう「やせる冷蔵庫」をつくるということです。「やせる冷蔵庫」をつくるにはいくつかポイントがあります。
【「やせる冷蔵庫」づくりのポイント】
1.「そのまま食べられるたんぱく質」をストックする
2. 無駄なカロリーの「甘い飲み物」はNG
3.「アイス」はカロリーだけを見て買う
4.「ゼロカロリー食品」は単体ではなくなにかと組み合わせて食べる
5.「ブロッコリー」を過信しない
それぞれ解説していきましょう。まずは「『そのまま食べられるたんぱく質』をストックする」ということ。ダイエットの基本は、食事量は減らしてもたんぱく質はしっかりと摂取して筋肉量を落とさないことにあります。筋肉量が落ちてしまうとそれだけ代謝が落ちてしまい、やせにくい体質になってしまうからです。
そこで、冷蔵庫にはプロテインドリンクやヨーグルト、サラダチキンなど、まさに「そのまま食べられるたんぱく質」をストックしておきましょう。ゆで卵をつくり置きしておくのもいいですね。
そういうものであれば、もしお腹が減って間食として食べてしまっても、カロリーを摂取し過ぎることなくダイエットに欠かせないたんぱく質をとることができます。
■ダイエットの邪魔にならないアイスはない
「やせる冷蔵庫」づくりのふたつ目のポイントは、「無駄なカロリーの『甘い飲み物』はNG」です。わたしは、ダイエットのためには、男性なら1日の摂取カロリーを1500kcal前後、女性なら1200kcal前後に抑えることを推奨しています。もちろん個人差はあるのでこれ以上とったほうがいい方もいますが、一般的なダイエットで結果が出ない大半の方にあてはまる基準です。
そのように摂取カロリーが限られたなかで、水分によってカロリーをとってしまうことは、ダイエットに失敗する可能性を高めてしまいます。なぜなら、咀嚼することで満腹感を増幅させてくれる固形物とちがって、飲み物ではたとえ固形物と同じカロリーのものを摂取してもそこから得られる満腹感は低いからです。そのために、空腹の誘惑に負けて余計なものを食べてしまいます。
冷蔵庫に入れる飲み物は、ゼロカロリーの炭酸水がいいでしょう。それならば、カロリーを摂取することがないですし、炭酸のシュワシュワ感によって満腹感を得られることにもなります。
3つ目のポイントは、「『アイス』はカロリーだけを見て買う」です。ダイエットを志す人のなかには、買い物をするときにきちんと栄養成分表示をチェックする人も多いものです。それはいいことなのですが、なかには「どうせなら、アイスもなるべくダイエットの邪魔にならなくて脂質が少ないものを…」と考える人もいます。
でも、わたしからいわせればダイエットの邪魔にならないアイスなんてものはありません(笑)。
ただ、それこそいまの季節には、どうしてもアイスを食べたいときもあるものです。そういうときにはカロリー表示だけを見ましょう。たとえば、「150kcal以内のものだけを買う」というふうにボーダーラインを決めて、その範囲内で食べたいアイスを選ぶという具合です。
ただ、そこにもひとつの落とし穴があります。本当はハーゲンダッツを食べたいのにカロリーが高いからと避けた結果、自分の欲求を満たせずに、結局満足できないということもあります。そうなるくらいなら、「たとえカロリーが高くても本当に食べたいアイスを買って、半分だけ食べる」といった具合に、やはりカロリーだけをコントロールすることを考えてもいいでしょう。
■ゼロカロリー食品は、「かさまし要員」として考える
続いて、「やせる冷蔵庫」づくりの4つ目のポイントは、「『ゼロカロリー食品』は単体ではなくなにかと組み合わせて食べる」というもの。これは、パーソナルトレーナーとしての指導経験上で感じたことから導き出したポイントです。メカニズムははっきりとはわかりませんが、お腹がすいたからとゼロカロリーのゼリーといった食品を食べると、逆に食欲がどんどん増すという人がいるのです。
そこで、ゼロカロリー食品の扱いを変えましょう。お腹がすいたときの間食ではなく、食事をするときの「かさまし要員」としてストックしておくのです。食事のときに追加して食べることで食事の満足度を底上げし、満腹感を持続させるためのものだということです。
もしどうしても間食をしたくなったときには、ゼロカロリー食品ではなく、先に触れた「そのまま食べられるたんぱく質」を食べましょう。
最後の5つ目のポイントは、「『ブロッコリー』を過信しない」ということです。ブロッコリーというと、アスリートもよく食べているものですし、たんぱく質やビタミン、鉄といった「栄養が豊富な野菜」というイメージが強いものです。
ブロッコリーが栄養豊富であることはある意味では正しいのですが、それはあくまでも「野菜のなかで」ということ。たんぱく質なら肉や魚、ビタミンCならキウイなど「専門職」には到底かないません。もしブロッコリーなど野菜を食べるなら、ゼロカロリー食品と同様に「かさまし要員」ととらえるべきだというのがわたしの考えです。
最後にお伝えしたいのは、買い物をするときにはやはりカロリーをしっかり確認することが大切だということ。結局のところ、摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまえば太るというのが真理です。
そうしないためには、買い物をするときに栄養成分表示があるものを選び、先にも触れたように男性なら1日の摂取カロリーを1500kcal前後、女性なら1200kcal前後に抑えることを考えてほしいと思います。
構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人