NVIDIAから、なんとTuringアーキテクチャを採用するエントリークラスGPU「GeForce GTX 1630」が発表されました。今回PalitからこのGPUを搭載グラフィックスカードを入手できたので、いくつかベンチマークテストのスコアを計測しました。

忙しい方向けに一言でまとめておくと、Turingベースとはいえ性能は順当な低さです。よほど軽いブラウザゲームや、マルチディスプレイ環境の構築には便利に使えそうな印象でした。

  • Palit「GeForce GTX 1630 Dual」を試す

GeForce GTX 1630の主な仕様

はじめに、GeForce GTX 1630の主な仕様についておさらいしておきましょう。アーキテクチャはNVIDIA Turingで、CUDAコアは512個、ブーストクロックは最大1,785MHz。GPUメモリにはGDDR6 4GBを搭載しており、メモリインタフェースは64bitに設定されています。

仕様面でのポイントは、ビデオエンコーダー「NVENC」を搭載しているところ。Turing世代なのでH.265形式でのBフレームには対応しませんが、対抗馬となりそうなRadeon RX 6400はそもそもビデオエンコーダーを搭載してすらいないので、動画編集用途も想定するなら明確なアドバンテージになりそうです。

  • GPU-Zの画面。まだGeForce GTX 1630の情報が得られていないそうで、表示がどのくらい正しいかは不明です

Palit「GeForce GTX 1630 Dual」をチェック!

仕様についてわかったところで、実機について見ていきましょう。今回はPalitのGeForce GTX 1630搭載カード「GeForce GTX 1630 Dual」を試用。カード長がわずか170mmととてもコンパクトですが、デュアルファンを組み合わせて高い冷却性能を備えています。

  • さっそくパッケージからチェック。小さくて軽いので店頭での購入も余裕です

  • 内箱を取り出したところ。凝ったギミックはなく、横から引き出すだけ

  • 製品を取り出したところ。ファンカバーの意匠は至ってシンプルで、光るパーツもありません

  • 接点は少なめ。インタフェースはPCIe 3.0 x16です

  • 裏側から。バックプレートはありませんが、とても軽いので反ることもなさそう

  • クーラーは単純な構造で、ヒートシンクが覆いかぶさっています。ヒートパイプはなし

  • 映像出力はHDMI 2.0b×1、DisplayPort 1.4a×2を備えて3画面同時出力をサポートします

  • 補助電源として6pin×1を要求します

特筆すべき点はそんなにありませんが、Palitのモデルでは補助電源が必要な点は要注意。GeForce GTX 1630の消費電力は最大75Wに設定されているので、市場には補助電源が不要な製品も存在します。強烈な負荷で長時間使用する場合は安定感に寄与しそうですが、用途としては微妙なところ。ぜひ補助電源が不要なモデルの展開も期待したいです。

性能は低め。ゲームを遊ぶなら最低設定で

いくつかベンチマークテストを使用して、かんたんに性能をチェックしてみました。使用したドライバは「NVIDIA GeForce Game Ready Driver 516.59」です。

  • 3DMark「Night Raid」

  • 3DMark「Wild Life」

  • 3DMark「Fire Strike」

  • 3DMark「Time Spy」

  • 『FF14ベンチマークテスト 暁月のフィナーレ』

いずれも結果もやや厳しめ。超軽量なNight Raidではなめらかに描画されていましたが、比較的軽いはずのWild Lifeですらコマ落ちが見受けられます。Fire StrikeやTime Spyに至っては完全に無理そう。FF14ベンチマークテスト 暁月のフィナーレ(デスクトップPC、高品質)の描画も不安定で、60fpsには届かない様子でした。

ちなみに、NVIDIAいわくGeForce GTX 1050 Tiに性能で比肩するとのこと。そこで2016年に掲載されたベンチマークテストと見比べてみたところ、比肩というよりはやや劣っている印象です。もちろんテスト構成が全く違うので単純な比較にはほぼ意味がありませんが、当時より圧倒的に高性能なCPUを組み合わせても、全体的なゲーミング性能で上回ることはできないという結果でした。

実売価格は2.5万円前後。マルチディスプレイ向きか

今回Palitの「GeForce GTX 1630 Dual」を試用していて一番印象に残ったのは、とにかく静かなところ。消費電力はピーク時でも75Wととても小さく、ベンチマークテスト以外でファンが回っているシーンは全くありませんでした。本格的なゲーミングには向かないかもしれませんが、ちょっとPCで『ウマ娘 プリティーダービー』を遊んでみるくらいなら快適に使えると思います。