イーロン・マスク氏が米Twitterの買収を取り止めることを同社に伝えた。マスク氏の代理人弁護士が7月8日にSEC(証券取引委員会)に提出した報告書で明らかになった。「契約の複数の条項に重大な違反を犯している」とするマスク氏側に対し、Twitterのブレット・テイラー取締役会議長は法的措置に踏み切る考えを示している。
マスク氏によるTwitter買収は今年4月、マスク氏の完全買収提案をTwitterが受け入れる形で合意した。ところが、その後"bot"による偽アカウントの割合を巡って双方の意見が対立、マスク氏側が買収手続きを一時保留していた。偽アカウントが全体の5%未満であるというTwitterの推定に対し、マスク氏側の独自調査では20%に上る。買収合意でマスク氏は1株あたり54.20ドルの現金を支払い、買収額は約440億ドルになるが、偽アカウントの比率が高い場合、評価の見直しを求める可能性を示唆していた。
マスク氏側は、5月に偽アカウントの割合を検証するのに必要な情報の提供をTwitterに求めたが、Twitter側からの情報には制限が加えられ、解除要求が受け入れられるまで2カ月近くを要したと報告している。合理的な期間内にマスク氏が希望した分析を実行することができず、Twitterによる情報提供の拒否は買収合意契約のセクション6.4および6.11に違反すると主張している。
一方、Twitterのテイラー会長は「Twitter取締役会は、マスク氏と合意した価格と条件で買収取引を執行するために法的措置をとる予定だ」とツイート。「デラウェア州裁判所において我々が勝訴することを確信している」と述べた。マスク氏側が主張する情報提供の拒否には触れていない。
なお、Twitterの創設者の1人であるエヴァン・ウイリアム氏は、テイラー氏に対して「法的な理由があるのは承知しているが、私が今も取締役の1人だったら、この酷いストーリーを綺麗に水に流せるかどうかを問うだろう。これ(法的措置を示唆)が単なる儀式で、それ(水に流す)が計画であるのを望む」とコメントしている。