イベント分野の日本最大の専門展「第9回 イベント総合EXPO」が6月29日~7月1日に東京ビッグサイトで開催された。販促イベント、懇親会、式典、お祭り、スポーツイベントなどの企画、機材、会場、アトラクション機器が一堂に出展。全国からイベント主催者、レジャー施設、企画会社などが多数来場した。

今回は“気になるモビリティ”をテーマに「イベント総合エキスポ」出展企業をピックアップして紹介する。

来年に本格販売、立ち乗り式の3輪モビリティを展示

「イベント総合EXPO」は販促イベント、懇親会、式典、お祭り、スポーツイベントなどの企画、機材、会場、アトラクション機器が一堂に会するBtoB向けイベント。今回で9回目の開催となった。

最初に訪れたのはフロント2輪の小型電動立ち乗りモビリティ「TRITOWN(トリタウン)」を展示していたヤマハブース。5月30日に同製品を来年中に市場投入することを発表してから、今回初めてリアルの場でお披露目した。

「TRITOWN」の開発は「トリシティ」などヤマハが三輪オートバイで培った知見をもとに、三輪で立ち乗りできる手軽なモビリティ案が社内で浮上したのがきっかけ。2019年から国営越後丘陵公園やつま恋リゾート彩の郷などで実証実験を実施していた。各国の法律に即した利用を前提に、当面は公園やレジャー施設、商業施設などでの走行を想定している。

通常、タイヤが三つ以上あると車体が左右に傾かなくなるが、同社は3輪以上でリーンする(傾く)「LMW(Leaning Multi Wheel/リーニング・マルチ・ホイール)」を搭載。左右にバランスを取ってリーニングを楽しめる。また、実証実験車で課題だったという勾配がきつい坂などでのパワー不足を改善。バッテリー満充電で約30キロ走れて、フットボードにクッションを入れて乗り心地も良くした。

事業化に向けて、現在は小学生くらいの子供から大人までより幅広い人たちが乗れる方向で検討中とのこと。 「キックボードとは似て非なるもので、同じように立ち乗りでも、三輪で安定していて安全性が高い。実証実験車よりも強度などもグレードアップさせています。単なる移動の足に止まらない、“乗る楽しさ”を味わいやすいモビリティで、ファミリーで楽しめる乗り物として売り出していきたいと考えています」

バギーで注目を集める台湾メーカー

続いては台湾メーカー「キムコ」。日本ではまだまだ知名度は低いが、ホンダのオートバイ車両を生産していた同社が展開している独自ブランドは欧州、とくにバイク人口の多いイタリアなどで大きなシェアを持つ。

「人気の理由としては『イタリアンデザイン』『ジャパニーズクオリティ』『台湾プライス』と、よく言われていますね。イタリア人向けにイタリアの有名デザイナーを起用するなどデザインにもこだわっています」

もともとは2輪車が主力だが、数年前からバギー車両にも力を入れており、日本国内でもキャンプやグランピングなど、さまざまな施設からの問い合わせが増えているという。

「スキー場では夏場にゲレンデでバギーに乗るレジャーも人気です。残念ながらコロナ禍で閉鎖されてしまったゴルフ場の土地利用でもバギーのお問合わせは多いですね。バギーはコースをつくる手間も比較的かからず、ゴルフ場の場合はもともと起伏もあるので始めやすいようです」

キムコ社のバギー自体は2000年から日本に入っているそうだが、「キムコジャパン」としての取り扱いは2018年頃から。施設間の口コミでキムコのバギーを導入される施設も少なくないとのことで、担当者は「バギーを入れるなら当社製を導入してもらえれば、部品の供給・ストック、アフターサービスなどの面では絶対に間違いないです」と語る。

「価格帯としては中国のノンブランドさんのバギーのほうが少しお安いんですが、部品が手に入りにくく、メンテナンスなどが少し難しいといった話を施設さんからよくお聞きします。我々は都内の倉庫で部品のストックを持っており、95%ほどの部品がご注文の当日もしくは翌日に出荷できる。本国と連携していてサービスデータもしっかり管理しており、施設運営のお役に立てるかと思います」

ブラジル発の人気ウォーターバイク「chiliboats」とは

ブラジル発の「chiliboats」(チリボート)と呼ばれるウォーターバイクも展示されていた。フレームと部品を分解できる組み立て式で、総重量は約20キロ。簡単に組み立てられて女性でも持ち運べるという。 「chiliboats」は南米やオーストラリア、東南アジアなどのリゾート地でとくに人気を得ているレジャーだそうで、海外のリゾート地ではレンタル事業が広く展開されている。日本に上陸したのは今年からで、今のところ国内では個人の購入者が多いようだが、今後ビーチやグランピング施設などへのレンタル販売を開始していくとのこと。

5〜10分ほどで空気を入れれば、すぐ湖や海で楽しめる手軽さが大きな魅力のようだ。背もたれ付きのイスに座るタイプと自転車のようなサドルに座って漕ぐタイプがあり、時速15キロほどで水上を自在に走行できる。人力だがスワンボートよりもずっと接地面が小さいため水の抵抗が少なく、ペダリングも軽いという。 本展でも自治体からの見積もり依頼や大手メーカーからの販売の引き合いもあったそうで、注目度は高いようだ。

最後に訪れたのは2018年創立のイデアフォレスト。主に次世代型スマートモビリティなどを使ったイベント運営や、モビリティの販売・レンタル、集客支援、プロモーションなどの事業を展開している。 「INMOTION」は搭載されたジャイロセンサーで体重移動によって動く、セグウェイタイプと呼ばれるカテゴリの乗り物。ショッピングモールや住宅展示場などでの集客プロモーション用のイベントのほか、自治体のイベントやエコ関連イベント、東京ドームシティや富士急ハイランドなどのアトラクションとして活用されている。

「主力モデルの『INMOTION R1EX』に関しては体重制限のみ。20キロ〜100キロの方なら年齢や身長を問わず、誰でも乗れます。未就学児でも乗っていますし、最高齢だと80代半ばの方でも乗ったことがあります」 大人から子どもまで簡単に乗りこなせて、イベントでのファミリーの集客やアトラクションなどとの相性が非常に高いそうだ。

次回の「イベント総合エキスポ」は2023年6月28日〜6月30日を予定している。