「ダイエットをしたい!」という人のなかにも、「できるだけストレスなくやせたい」という人もいれば、「多少は無理をしても、なにがなんでもやせたい」という人もいます。

そんな異なる志を持つ人たちに向けて、ふたつのダイエットプランを提案しているのが、著書『もっと!神やせ7日間ダイエット』(KADOKAWA)がベストセラーとなっている女性専門パーソナルトレーナーの石本哲郎さんです。しかも、「運動なし」「7日間」でやせられるというのですが、いったいどんなダイエット法なのでしょうか。

■有酸素運動も筋トレもなしという理由

わたしが提唱する「神やせ7日間ダイエット」には、「運動なし」という大きな特徴があります。もちろん、女性専門パーソナルトレーナーとして、わたし自身も「有酸素運動」「筋トレ」「食事管理」の3つが、ダイエットに必要な要素だと考えています。

しかし、運動習慣がない人がほとんどという状況で、有酸素運動や筋トレをすすめても挫折者が続出してしまうのが実情です。そこで、ダイエットに必要な3つの要素のうち、食事管理だけに絞って考案したのが、「神やせ7日間ダイエット」です。7日間の1日3食を、わたしが指定するものにするだけで確実にやせられます。

このダイエット法には、「ダイエット中でもストレスなく食事をしたい」「忙しい毎日のなかでもチャレンジしやすいダイエット法を求めている」という「心が弱い人」に向けた「ゆっくり神やせプラン」と、「自炊で手間が少し増えても、体脂肪もむくみもしっかり落としたい」という「絶対にやせたい人」に向けた「速攻神やせプラン」があります。早速、それぞれの食事メニューを紹介しましょう。

【ゆっくり神やせプラン】
◆朝食(6〜8時)
・もち麦入りごはん ※手に入らないときは、雑穀米や玄米でもOK。100~150gを目安に
・納豆 ※タレやからし、薬味なども使ってOK。苦手ならビフィズス菌多めのヨーグルトやキムチでも可
・卵2個の卵料理 ※バターや油は極力控える
・好きなフルーツ
◆昼食(11〜13時)
ごはん派
・コンビニおにぎり1個 ※脂質が多い具は避ける
・鶏肉のおかず ※もも肉焼き鳥串、つくね串、ささみフライ、サラダチキンからひとつ
・ヨーグルト ※個食タイプのものを1個
パン派
・サンドイッチ ※ブリトー、クロワッサンサンド、ロールパン系サンドイッチでもOK
・和菓子 ※どら焼き、大福、まんじゅうなら1個、串団子なら2本までを目安に
・濃縮タイプのヨーグルト ※200mlパックの無調整豆乳、プロテインでもOK ◆夕食(18〜20時)
・良質な脂質がとれる魚 ※サバ、イワシ、サンマ、鮭、サーモン、アジ、中トロ、大トロ、ブリのなかから選ぶ。一夜干しや揚げ料理はNG
・豆腐半丁 ※150〜200gを目安に
・野菜 ※ブロッコリー、トマト、タマネギ、キャベツ、キュウリ、モヤシのなかから好きなものを好きなだけ
・調味料 ※「ゆっくり神やせプラン」では好きな調味料を使って大丈夫ですが、マヨネーズなど脂質が多いものは避け、量は極力少なめに

【速攻神やせプラン】
◆朝食(7〜8時)
・オートミール ※1食あたり40gを目安に
・プロテイン ※たんぱく質が20gとれる量を
・キウイorパイナップル ※キウイは1〜2個、パイナップルは100〜150gを目安に
・納豆 ※苦手ならビフィズス菌多めのヨーグルトやキムチでも可
・ブラックコーヒー ※カロリーゼロのエナジードリンクでもOK
◆昼食(12〜13時)
・コンビニおにぎり1個 ※梅、昆布、塩にぎり、もち麦or玄米入りから1個
・サラダチキン
・野菜ジュース ※野菜汁100%のものを。カロリーオフの表記があるものはNG
◆間食(15時)
・無調整豆乳 ※濃縮タイプのヨーグルト、200mlパックのプロテインでもOK
◆夕食(19〜20時)
・サバ水煮缶or鮭or「くるみ&アボカド&水煮のツナ缶や卵」 ※くるみとアボカドだけだとたんぱく質が足りないため、くるみとアボカドで良質な脂質を、水煮のツナ缶や卵でたんぱく質をとる。豆腐で7~10g前後とれているので、ここではきっちり20gとらなくても小さい水煮缶で足りる
・豆腐半丁
・ブロッコリースプラウトorパプリカ ※どちらも好きな量を食べてOK

■多くのダイエット法が触れていない、塩分摂取量こそ重要

ふたつのプランには多くのちがいがありますが、もっとも大きなちがいとなると、「速攻神やせプラン」のほうは塩分の摂取量や摂取タイミングを厳密にしているという点になります。

ダイエット法というと、たんぱく質や糖質、脂質などの摂取量に着目するものは多いのですが、塩分摂取量に着目したものは、わたしが知る限りほとんどありません。でも、じつは塩分をとり過ぎないということもダイエットにはとても重要です。

このダイエットで目指すのは、運動によって脂肪量を減らすことではなく、7日間で体の見た目を変えるということです。もちろん体重は減らしますが、その内訳がすべて体脂肪でなくてもいいのです。

そこで重要な鍵を握るのが、塩分摂取量です。必要以上に塩分をとり過ぎると、細胞と細胞のあいだに水分がたまります。この状態が、医学的には「浮腫」といわれる、いわゆるむくみのこと。むくんでいると、当然、太って見えてしまいます。だからこそ、塩分摂取量をコントロールして、むくまないように気をつけることが重要です。

また、摂取カロリーについても「ゆっくり神やせプラン」と「速攻神やせプラン」のあいだにはちがいがあります。「神やせ7日間ダイエット」では1日の摂取カロリーがだいたい1200kcalになるようにしていますが、「ゆっくり神やせプラン」は「速攻神やせプラン」と比べて食事メニューの自由度が高いために多少のブレが起きます。

一方、「速攻神やせプラン」のほうは、そのブレができるだけ起きないようにしているというわけです。

■ダイエット法は「混ぜるな危険」?

もちろん、塩分摂取量に限らず、「神やせ7日間ダイエット」の食事メニューは、ダイエットに効果的な栄養素をしっかりとれるようにわたしが計算して考案したものです。しかし、それぞれのメニューについて一つひとつ解説することはスペースの関係で難しいため、ここでは苦手な人が多そうなメニューについての栄養素やその狙いを、代替品と併せて紹介しましょう。

納豆が苦手なら、ビフィズス菌が多めのヨーグルトかキムチに変更可能です。納豆を食べるのは、発酵食品であり食物繊維が豊富だからです。「発酵食品+食物繊維」という組み合わせが、腸内環境を整えてくれて健康と美肌を促進してくれます。

ただし、「ゆっくり神やせプラン」でキムチを選んだ場合にはたんぱく質が不足してしまいますから、ごはんのお供として「鮭フレーク」「しらす」「鶏そぼろ」のなかから「大さじ2」をプラスしてください。

また、オートミールが苦手な人もいるでしょう。オートミールを食べるのは、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富だということもありますが、いちばんの狙いは朝にしっかりと糖質をとることにあります。

糖質というとダイエットの敵だと考えられることも多いのですが、必要以上にカットしてしまうと体にエンジンがかからずに日中の活動量が減ってしまい、結果的に代謝量も落ちてやせにくくなってしまいます。運動をしない「神やせ7日間ダイエット」では、日常生活の活動で代謝を上げることも重要なのです。

オートミールが苦手なら、代わりに「おもち」や「さつまいも」を食べましょう。おもちは体内への吸収速度が速く、朝に食べればすぐにエネルギーになってくれます。また、さつまいもにはむくみ解消に効果的なカリウムも多く含まれています。

最後に、これまでダイエットに失敗してきた人たちに向けて、わたしからメッセージを贈ります。それは、ダイエット法には「混ぜるな危険」というものも多いということです。

ネットを通じて手軽に情報を得られるいま、ダイエットを志す人は多くのダイエット情報に触れているでしょう。しかし、それぞれのダイエット法のベースとなるやせるメカニズムは異なるため、「これもよさそうだ」「こっちも試してみよう」というふうにあれこれと手を出すと、なかなか結果につながらないということも少なくないのです。

ですから、「これだ!」と思うダイエット法を選んで淡々と継続することが大切です。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人