アイロボットジャパンは7月7日、ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」シリーズの新モデル「ルンバ i2」(以下、i2)を発売しました。エントリーモデルとして発表され、性能と価格のベストバランスを実現したというi2は、直販価格39,800円という価格に注目です。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機

    ルンバ i2は直販価格39,800円とロボット掃除機の中ではかなり破格の安さ。機能しだいでロボット掃除機デビューを考える家庭は多いのではないでしょうか

新モデルのi2は、2018年10月に発売された「ルンバ e5」(以下、e5)の後継機。i2はe5と比較して、価格は据え置きのままで多くの性能を向上させており、アイロボット製ロボット掃除機のラインナップにおいて、性能のベースラインを一気に底上げする製品だとうたっています。

ルンバの日本におけるこれまでのあゆみ

2002年に初めて日本で発売されたルンバは、2016年に出荷台数200万台を達成。その後2年間で100万台を追加、2018年9月には累計300万台を突破し、日本の家庭におけるロボット掃除機の世帯普及率は4.5%まで上昇しました。

そして、さらなる世帯普及率の向上を狙い、低価格帯のエントリーモデルとして2018年10月に発売されたのが従来モデルのe5です。

  • ロボット掃除機購入における障壁の1位はやはり価格(アイロボット調べ)

    ロボット掃除機購入における障壁の1位はやはり価格(アイロボット調べ)

e5は現在に至るまで、これまでのロボット掃除機史上最も売れているモデルとのこと(アイロボット調べ)。e5は発売当初49,800円でしたが、2021年10月に値下げし、現在は39,800円で販売されています。このエントリーモデルであるe5が世帯普及率を大幅に押し上げ、2022年現在では8.3%まで上昇しました。

  • アイロボット、ルンバ え5、ロボット掃除機

    これまでのロボット掃除機で最も売れたいう従来モデルのe5

i2の特徴を表でチェック

従来モデルe5と後継モデルi2、上位モデルである「ルンバ i3」(以下i3)と「ルンバ j7」(以下j7)の価格や性能を表でまとめました。

i3とj7はそれぞれ「+」が付いたモデルとしてi3+とj7+がありますが、+が付いているのは、掃除で集めたゴミを吸い上げて保管する充電基地「クリーンベース」が付属するモデル。これ以外の主な仕様は共通です。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機

    今回発売された後継モデルi2

  e5(従来モデル) i2(後継モデル) i3/i3+ j7/j7+
■価格 39,800円 39,800円 49,800円/79,800円 99,800円/129,800円
■吸引力(ルンバ600の何倍か) 約5倍 約10倍 約10倍 約10倍
■清掃範囲の目安 1~2部屋 3~4部屋 3~4部屋 5部屋以上
■清掃パターン※ ランダム 直線的 直線的 直線的
■自動充電・自動再開 × 〇(スマート充電) 〇(スマート充電)
■Imprintリンク ×
■障害物を認識・回避 × × ×
■部分清掃・進入禁止エリア × × ×
■部屋を指定して清掃 × ×
■音声アシスタント
■チャイルド・ペットロック × × ×
※一見ランダムに見えるように動く清掃パターンを「ランダム」、部屋の端から直線的に動き、壁に行きつくと1列ずれて折り返す清掃パターンを「直線的」と表現しています。

従来モデルe5と比較してi2が進化した機能

e5の後継機として発売されたエントリーモデルのi2は、価格据え置きの39,800円ということで、吸引力や清掃範囲、そのほか搭載する機能がどのように進化したのか比較していきましょう。

吸引力が倍増

吸引力はe5がルンバ600シリーズの約5倍に対し、i2は約10倍と、吸引力が倍増しています。

清掃範囲が広がった

清掃範囲の目安は、e5が1~2部屋ずつの清掃を推奨していたのに対し、i2は3~4部屋となっています。これは稼働時間と、搭載している機能が関わってきます。

e5は1回の満充電につき連続稼働時間が90分だったのに対し、i2は稼働時間が75分と短くなりました。しかし、i2は本体バッテリー残量が少なくなると自動で充電ステーションに戻って充電する「自動充電」機能と、充電が完了すると掃除を中断した場所から自動で再開する「自動再開」機能を備えいます。掃除を始めたあとは、ユーザーがバッテリー残量や部屋の広さなどを気にしなくても、自動で掃除を完了してくれます。

清掃パターンの変化

続いて清掃パターン。e5は、部屋を一見ランダムに見えるように動き、最終的にかけ残しのないようにする動作でした。対してi2は、部屋の端から直線的に動き、壁に行きつくと1列ずれて折り返すという動作を採用し、ムダな動きのない効率的な清掃パターンとしています。

本体デザインを変更

上記の表にはありませんが、i2の本体はマットな質感が特徴的なブラックとグレーからなるデザイン。光沢があるブラック1色のデザインだったe5と大きく変わりました。つやつやとしていたe5のデザインもスタイリッシュでしたが、指紋や傷が目立つといった欠点もありました。光沢を抑えたデザインへと変わったi2は、汚れなどが目立ちにくくなったと感じました。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機

    ブラックとグレー2色からなるデザインで、マットな質感になったi2

センサーも追加装備

i2は、本体内にゴミが一杯になったことを感知する「ゴミフルセンサー」や、上下方向に働くセンサーによって奥側が低くなっている家具の下など狭い空間へ進入しないよう回避する「リアクティブセンサー」を装備します。e5にはこれらのセンサーは搭載されていませんでした。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機

    ゴミの通過を検知するセンサーなど、多くのセンサーを内蔵

e5には非搭載でi2に搭載する機能

そのほか、床拭きロボット「ブラーバ ジェット m6」と連携してゴミ吸引と床拭きを連続で行うImprintリンク、スマホアプリ「iRobot HOME」から清掃履歴が一目でチェックできる「Clean Mapレポート」や清掃モード設定といった機能も、e5にはありませんでしたが、i2は搭載します。

上位モデル(i3/i3+・j7/j7+)との比較

次に上位モデルのi3・j7と比較してみましょう。i3とは比較的価格帯が近いため共通する仕様が多いですが、i3は「スマート充電」に対応する点と、特定の部屋の掃除を指示できる点が異なります。この2つの機能は、2022年4月にリリースされたiRobot Genius 4.0への大規模なソフトウェアアップデートによって加わりました。

i3に備わっているスマート充電は、清掃途中に充電がなくなり中断したときに、残りの清掃範囲に必要な量のみ充電してから清掃を再開する機能で、i2には搭載されていません。

部屋を指定しての清掃は、各種センサーによるマッピングで部屋の形を正確に認識し、アプリ側から「今日は廊下だけ掃除」といった指定ができる機能です。i2は指定した部屋の清掃ができないため、家全体をまとめて清掃するか、清掃場所を制限する場合、宅内の扉や別売のバーチャルウォールなどで範囲を区切る必要があります。

  • アイロボット、ルンバ j7+、ロボット掃除機

    上位モデルj7+

i3よりも上位となるj7は上記の違いに加え、本体前面に搭載したカメラで床のコード類やペットの排泄物(固形の糞のみ)、洗濯物などの障害物を識別し、回避しながら掃除する「PrecisionVision(プレシジョンビジョン)」ナビゲーションを装備。加えてアプリから、「テーブル周りのみ」といった指定範囲で清掃したり、進入禁止エリアを設定できたりします。

i2の基本仕様まとめ

ここでいったん、i2の基本仕様についてまとめておきます。

メインブラシは、ルンバシリーズの特徴ともいえるゴム製「デュアルアクションブラシ」を搭載。吸引時、弾力性のあるゴム製ブラシがゴミのサイズと形状に合わせて変形し、空気の吸引を減らしながらカーペットの奥に潜むゴミなども強力に掻き出すとしています。このほか、壁際や隅のゴミを掃除する「エッジクリーニングブラシ」も装備します。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機、弾力性のある2本のゴム製デュアルアクションブラシ

    弾力性のある2本のゴム製デュアルアクションブラシ

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機、エッジクリーニングブラシ

    本体底面の左側に配置するエッジクリーニングブラシ

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機、ダストボックス

    本体内蔵のダストボックス

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機、ダストカットフィルター

    内部でホコリや花粉、ダニなどを取り除くダストカットフィルター

ゴミを掻き出して浮き上がらせ、「パワーリフト吸引」で微細なゴミまでしっかり吸い取る「AeroForce 3段階クリーニング システム」に対応。吸引力は前述の通り、j7やi3と同等、そしてルンバ600シリーズ比では約10倍と、高い吸引力を備えます。

また、ゴミが多い場所をセンサーで感知し、キレイになったと判断するまで集中的に清掃する「ダートディテクトテクノロジー」も搭載し、部屋の状況を判断しながら最後までしっかりと清掃します。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機

    本体操作部は従来モデル同様に、3ボタンのみのシンプルなつくり

前述の通り、iRobot HOMEアプリと連携して清掃履歴の確認や清掃モード設定などに対応するほか、ブラーバ ジェット m6と連携するImprintリンクも搭載。また、スマートスピーカーや音声アシスタントによる音声操作にも対応します(Amazon Alexa、Googleアシスタント)。ルンバやブラーバの機能を定期的にアップデートする機能「iRobot Genius(アイロボットジーニアス)」を備えており、クラウド上でユーザーの利用環境や間取り情報などを学習しながら便利な機能を提供します(個人が特定されるような情報は収集しません)。

i2が実際に清掃しているようす

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  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機
  • i2が実際に動いて掃除するところを見てきました

【動画】
ルンバ i2によるフローリング清掃の様子です(音声が流れます。ご注意ください)

i2は起動すると充電ベースからまっすぐ進み、清掃を開始しました。その後は壁まで到達すると軽く当たって1列ずれて折り返します。壁や家具にはゆっくりコツンとぶつかってi2本体のバンパーが衝撃を和らげているため、傷がつく心配はなさそうです。

折り返したi2はさらに逆側の壁に到達すると、また1列ずれて次の範囲の清掃に移ります。効率的な清掃パターンだと感じるとともに、次に動く範囲が予想できるため、清掃中のルンバと人がぶつかることもなくなるでしょう。

今回はフローリング清掃の様子を見ましたが、動作音はかなり静かでした。個人的な感覚では普通の掃除機と同程度かそれより静かで、状況や建物の遮音性にもよりますが、集合住宅で夜に動かすことも可能だと思います。絨毯やカーペットなどを掃除する場合は音量もまた変わるとのことです。

  • アイロボット、ルンバ i2、ロボット掃除機

    充電が少なくなるか、清掃が終わると自動で充電ベースに戻っていきます

ロボット掃除機史上で最も売れているモデルというe5の後継機、新モデルのi2について紹介してきました。価格は値下げ後のe5から据え置きのまま、吸引力、清掃範囲、清掃パターン、センサー数など多くの機能が向上していて驚きました。

掃除機をかける頻度や家の広さなどを考慮した上で、初めてロボット掃除機を購入する家庭や、クリーンベースが必要ないと感じている家庭には最適なモデルだと思います。