落語家の笑福亭鶴瓶が、第48回放送文化基金賞の番組部門で演技賞に選ばれ、6日、都内ホテルで行われた贈呈式で喜びを語った。
ドラマ『しずかちゃんとパパ』(NHK BSプレミアム)で「驚くほどの自然体で、人間味あふれる愛すべきパパを造形した。耳が聞こえない役を演じるのはかなり難しいと思われるが、その高いハードルを見事にクリアした演技力には敬服する」と評価され、今回の受賞となった鶴瓶。
「1月の5日からこのドラマに入ったんですけど、どんなドラマに入るのかもほとんど聞いてなかったんです。独演会とかあったんで『ドラマは出られへんで』って言ったら、マネージャーが『セリフあんまりない』って言ったんですけど、セリフどころか手話がものすごい大変でしたよ(笑)。全くやったことなかったですからね」と振り返る。
放送されても周囲の反響がなかったそうで、「『BSだから見てない』とか、そんな言い訳ばっかりしよって、誰も見てへんのかなと思ったらこんな賞もらえて」と驚いた。
印象深いのは、吉岡里帆演じる娘に「お前がいじめられるのは、俺がろう(聴覚障害者)やからか?」と伝えるシーン。鶴瓶は「その手話をやるときに、俺、涙出たんです。セリフもしゃべってないのに、ぶわーっと涙が出たんですね。手話っていうものの中には“間”があるのが分かって、それで『このドラマ受けて良かった』って思いました」という。
そして、「いろんな言葉を使う仕事してるんですけど、手話に間があるというのが分かった瞬間に『すてきなドラマやな』と思ったことは確かですね。それに、スタッフがみんな苦労しましたので、こんな賞を頂いて本当にうれしかったですね。ありがとうございました」と感謝した。
なお、『しずかちゃんとパパ』は、テレビドラマ番組優秀賞を受賞した。