金子恭之総務大臣は7月5日の閣議後記者会見において、7月2日未明に発生したKDDI/沖縄セルラー電話の携帯電話サービスに生じた大規模な通信障害について、今後のためにもしっかりとした検証が必要であり、再発防止に向けての検討があるとの考えを示した。

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金子大臣は、今回の通信障害の結果、国民の日常生活や社会経済活動に必要不可欠な形態電話サービスが2日以上にわたって利用困難になったことについて、「改めて大変遺憾に思っております」と発言。今回の通信障害の影響が大きく、「復旧作業が終了した」と両社が公表した後も音声通話を利用しづらい状況が長時間継続したことなどを踏まえ、利用者への周知広報が不十分であったという認識を示し、今後のためにもしっかりとした検証が必要であるとした。

  • 7月4日7時時点のアナウンス内容

    7月4日7時時点のアナウンス内容。7月3日時点で復旧作業は完了したというものの、この時点でも音声通話を利用しづらい状況が継続していた

また、2021年秋にNTTドコモで発生した通信障害を念頭においてか、過去に他の事業者において同様の通信省がが発生していたにもかかわらず今回その教訓を十分に活かせなかったことについても、「再発防止に向けて検討が必要である」との考えを表明し、今後については両社からの正式な報告を踏まえ、関係法令などに基づいたしかるべき対応を行うとの方針を示した。

  • 今回の通信障害とその対応

    今回の通信障害とその対応

質疑応答で記者から「周知広報のどういった点が不十分であったか」と問われると、「利用者への周知広報の内容・手段・頻度いずれについても、利用者の不安を解消するために工夫する余地があったのではないか」「適切な利用者への周知広報の在り方について検討してまいりたい」と回答。モバイル通信の活用が進む中で、個々の事業者ではどこでなにが起こっているのかを十分に発信するのは難しいのではないか、政府として情報の集約や発信に取り組む余地があるのではないかという指摘については、「まずは当事者である当事者である携帯電話サービスを提供する事業者が適切に対応していただくことが必要である」としながらも、「総務省としても、携帯電話サービスが我が国の社会経済活動に与える影響の大きさをしっかりと念頭に置きながら、再発防止に向けて取り組んでいく」と語った。

今後の検証については、「法令上は、事故発生から30日以内にKDDIや沖縄セルラーからの正式な報告を受けることになっており、それを踏まえて外部有識者で構成される電気通信事故検証会議などにおいて、再発防止に向けた具体的な対応策について、速やかに検討を進めてまいりたい」とし、検証のポイントとして「設備をメンテナンスする際の事前準備の在り方、通信障害が発生した後の対応の在り方、利用者に対する周知広報の在り方、昨年のNTTドコモの通信障害を踏まえた教訓が十分に活かされていたかどうかなど」を挙げた。

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また、今回の通信障害対応中、総務省から総務審議官をKDDIに派遣したことについて、「障害が発生してから長時間経過しても事態の改善がみられず、また、今後の見通しも不透明で利用者の不安も高まっていたことから、事態の把握をタイムリーに行い、利用者への適切な周知広報を促すため、総理からの指示を受け、幹部級、かつ技術に精通している職員をリエゾンとして派遣し、対応に当たらせた」とその狙いを明かし、「SNS上では、素人の官僚を送り込んで、逆に現場の足を引っ張ったのではないかというような誤解もあるが、技術に精通した職員を派遣することによって、混乱をしているKDDIに対して助言し、利用者に対してもきめ細かい情報の周知広報をすべきだということも助言させていただいた」と、総務省からの人員の派遣が障害対応にマイナスに働いたのではという見解を否定し、一定の効果があったという考えを示した。