広告に関する用語の1つに「広告クリエイティブ」があり、どこかで見聞きしたことはないでしょうか。「広告を構成する要素のようなものかな?」となんとなく把握している方も多いでしょう。今回は広告クリエイティブの概要、制作のポイントについて分かりやすく解説します。

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広告クリエイティブとは制作物のこと

広告クリエイティブとは、広告運用のために作られるあらゆる制作物のことを意味します。近年急増しているインターネット広告ではバナー画像のことを指すことも多いですが、正確にはそれ以外も含む下記のような素材のことです。

・キャッチコピー ・文章
・写真・イラスト・図
・動画
・音声
・購入ボタン

インターネット広告以外であれば、CM動画・チラシ・ポスター・POP・デジタルサイネージ(駅などで映像を表示する装置)なども広告クリエイティブに含まれます。

広告クリエイティブの品質は広告効果に直結する

広告は人の目に留まり、興味を引くことで効果を発揮します。視覚的・聴覚的に魅力を伝えることができる広告こそ、多くの人を惹きつけることができます。

よってテキスト・画像・音声といった広告クリエイティブのクオリティの高さは、広告効果に大きな影響を及ぼします。

広告クリエイティブの考え方

広告クリエイティブはどのような流れで作っていけば良いのか、基本的な考え方について解説します。

ターゲットを定めてニーズを調査する

ターゲットを明確に決めることは、マーケティングにおける基本中の基本です。需要のありそうなユーザーを、性別・年代といった外的な属性からも、抱える課題・悩みといった内面からも定めていきます。

ターゲティングができたら顧客のニーズについて、アンケートやインタビューなどを使って確認していきます。たとえば簡単な例を紹介すると、ヒゲ脱毛の施術をアピールする広告なら、以下のようなターゲット・ニーズが考えられます。

・20代~30代の男性会社員
・都市部に在住
・年収400万円~600万円
・美容意識がやや高い
・平日は毎日シェービングをする
・ヒゲが濃く、剃り跡が青くて悩んでいる
・シェービングをすると肌が荒れやすい
・シェービングが面倒と感じている
・ヒゲをなくしてスッキリと清潔感のある肌にしたい
・コンプレックスを解消して自分に自信を持てるようになりたい

訴求内容・方法の決定

ターゲティングとニーズの調査の後は、広告クリエイティブで訴求する内容を決めていきます。ニーズに応えられること、顧客の課題を解決できること、ベネフィットを提供できることを訴求します。

前述のヒゲ脱毛の場合であれば、以下のような例が考えられます。

・カミソリ負けや青ヒゲから解放される
・最新の脱毛技術を搭載したマシン
・肌へのダメージが軽い
・炎症を抑えるためのクリームも毎回用意
・痛みを和らげる麻酔を利用できる
・5万円以下で完全なヒゲ脱毛ができる
・ヒゲ脱毛経験済みの男性スタッフが担当
・脱毛完了後も低コストでアフターフォロー

また広告の掲載場所やツールについても決定していきます。たとえばSNSで脱毛情報を調べている20代~30代男性を対象に、Twitterのタイムラインに動画広告を流すといった具合です。

効果の出るクリエイティブの開発

訴求内容がいくつか決まったら、キャッチコピー・テキスト・動画といったクリエイティブを作成していきます。バナー画像であればテキストのフォント・文字の大きさ・配置場所、使用する画像を決めながら制作します。顧客の目を引く画像やキャッチコピー、悩みを解決できそうなイメージの画像を選ぶのがコツです。

クリエイティブはいくつかのパターンを作成し、「ABテスト」を実施することも重要です。 ABテストとは2つ以上のものを比較するテストのことで、AパターンとBパターンならどちらのほうがユーザーの反応がよいかといったことを検証します。

特にWEB広告はマス広告に比べ、事前にテストをしやすいため、活用するのがおすすめです。複数のクリエイティブの中から、より効果の高いパターンを見つけ出していきましょう。

改善しながら運用を続ける

同じクリエイティブを長期間使い続けると、利用者は何回も同じ広告を見ることになり、広告効果が減少する恐れがあります。よって定期的にクリエイティブを見直し、新しい素材で掲載しなおすことが必要です。

どの程度のインターバルで見直すかは、掲載場所や配信量によって異なります。WEBメディアの場合や、配信量の多い場合は、1週間~数週間と短いインターバルで見直されることが多い傾向です。

広告クリエイティブを制作するときのポイント

効果の期待できるクリエイティブに仕上げるには、下記のポイントを踏まえることが大切です。

ターゲット・ニーズに合った訴求方法にする

同じ製品・サービスに関する広告クリエイティブでも、メインターゲットが大幅に異なる場合、画像やテキストなどを変える必要があります。ライフステージや価値観が大きく異なると、同じ広告クリエイティブでは反応が鈍くなることもあるためです。

たとえば20代~30代であれば便利な最先端機能を魅力的に思うかもしれませんが、60代以上はシンプルさ・扱いやすさを重視するかもしれません。常にターゲットのニーズを考えて、それに合ったクリエイティブにすることで、効果を一層向上させることができるでしょう。

掲載場所に適したクリエイティブにする

クリエイティブのテイストや雰囲気を、広告の掲載場所に合わせることも重要です。たとえばInstagramなら、画像や映像の美しさ・鮮明さが重要です。製品がシンプルな外見だと目に留まりにくいので、画像を工夫する必要があります。

簡潔な内容にする

多くの人々が広告に触れるときは無意識の状態なので、あまり頭を使って広告を見ていません。よって広告で訴求する内容は、シンプル・簡潔なものほど伝わりやすくなります。

商品・サービスのメリットをいくつも伝えたくなるかもしれませんが、詰め込み過ぎるとユーザーが消化不良を起こすので、特に大事なポイントに絞ることも大切です。興味を持ってもらうことが重要なため、一目で理解しやすいものにしましょう。

広告から自社のWEBサイトやLP(ランディングページ)に誘導した後、興味関心のあるユーザーを対象に、長文や動画などを使ってじっくり説明することもできます。

全体に一貫性を持たせる

たとえばSNS広告では洗練された上級なイメージを訴求していたのに、誘導してきたLPでカジュアルな雰囲気にしてしまうと違和感を覚えるでしょう。ユーザーは「間違えて来てしまったのかな」と感じて離脱してしまうかもしれません。

クリエイティブは広告の世界観を表すものでもあるので、テイストやカラーにブレが生じないよう一貫性を持たせる必要があります。

広告クリエイティブは、ターゲットを定めてニーズを理解し、訴求方法を決めて掲載先にあわせて制作することが基本です。インターネット広告の場合は、運用しながら検証して効果的な制作物を追求することができます。紹介した例文のように、価格・機能性・課題解決など、異なる訴求パターンやイメージで制作してABテストを行うといいでしょう。