カリフォルニアのディズニーランドといえば、アメリカ旅行の定番観光スポットのひとつ。ディズニーファンだけでなく、映画やエンタメ好きの人なら誰だって、時間とお金が許す限り何度でも訪れたくなる憧れの場所だ。そんな夢の王国を初めて訪れたカメラマン永山による、初心者目線の現地レポートをお伝えする。
■少年時代に戻れる夢見心地のスター・ウォーズ体験
「映画の世界のまんま」というのが本場ディズニーランドに足を踏み入れた筆者の第一印象。アベンジャーズ・キャンパスではスーパーヒーローたちが、ピクサー・ピアではウッディやバズが、ハリウッドランドではアナやエルサが普通に歩いている。見た目がリアルなことはもちろん、各キャラクターの立ち居振る舞いまでが忠実に再現されていて、まるでスクリーンの中に自分が入り込んだような錯覚に陥る。
中でもひときわ没入感が高いのが「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」と呼ばれるエリア。宇宙の辺境にある惑星バトゥーの貿易港という設定の街で、その中央には実物大のミレニアム・ファルコン号が鎮座。ディテールまで精巧に作り込まれ、今にも飛び立ちそうな迫力に満ちている。
映画1作目からすべてリアルタイムで鑑賞し、スター・ウォーズプラモデルで青春を過ごした筆者はここで早くも興奮度MAX。原寸の“ミレファル”を拝めただけでも、片道10時間以上かけて日本からやってきた甲斐があった。
このスター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジでは、「ミレニアム・ファルコン:スマグラーズ・ラン」と「スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス 」という2つのアトラクションが必見だ。スマグラーズ・ランは、ミレニアム・ファルコンの操縦席に6人1組で乗り込み、パイロットやエンジニアといった各自の役割をこなしながらミッションを遂行していくというもの。臨場感に満ちたハラハラドキドキが味わえる。
一方のライズ・オブ・ザ・レジスタンスは、反乱軍のメンバーとなって帝国軍と戦い、途中で捕まったり脱出したりといったストーリーのゲスト参加型アトラクション。目の前で展開されていく、凝りに凝った映像とサウンド、パフォーマンスにただただ圧倒される。
どちらのアトラクションも筆者にとっては、かつて憧れだったスター・ウォーズの世界を全身で体感でき、最初から最後まで興奮しっぱなし。普段は仕事に追われ、夢見ることなどすっかり忘れてしまったおっさんが、一瞬だけ少年の心を取り戻した、まさに奇跡のような時間だった。
■単なる絶叫系とは一味違うカーズのアトラクション
カリフォルニアのディズニーリゾート独自のテーマランドとしては、「カーズランド」に注目。映画カーズの舞台であるラジエーター・スプリングスの街並みがそっくり再現されたエリアであり、そこはまさに「古き良きアメリカ」。アニメーションの中でマックィーンたちがオイルを飲んでいた、いかにもアメリカンなダイナー「フローのV8カフェ」で食事をしたり、ルート66の道路標識の前で実際に動くマックィーンやメーターと写真を撮ったりできる。
憧憬のアメリカ――。日本人の筆者にとって、映画や音楽でしか接したことがない憧れのアメリカに、ここカーズランドに来てようやく出会えた気がした。この気持ちを一言でいえば、ノスタルジー……だろうか。実際にはアメリカに住んだことは一度もないので、大いなる勘違いではあるが、なぜかノスタルジーの気分に浸ってしまった。
しかも頭の中では、カーズ3作目でも使われていたブルース・スプリングスティーンの名曲「グローリー・デイズ」がずっと鳴り響いている。直訳すれば「輝いていたあの時代」。私にそんな時代はない。日本から来た中年男性約1名、気分だけは古き良きアメリカ人になりきっている。Oh! Yes!
ここカーズランドの目玉は、ライド型のアトラクション「ラジエーター・スプリングス・レーサー」。映画に登場するキャラクターのようなライドに乗車し、岩山のコースを時速65kmで走り抜ける、いわゆる絶叫系の乗り物。といっても、一般的な遊園地の絶叫マシンと大きく異なるのは、そのストーリー性の豊かさだ。
ゆっくりと走る前半部分では、プレショー(前座)として保安官シェリフや消防車レッドといった主要キャラクターとの絡みがあり、自分たちが乗っている車体との一体感を徐々に高め、その上で後半のレースに突入する。つまり、アトラクションが物語の中に組み込まれ、ゲスト自身が映画の登場人物になりきった上で、ライド型のカーレースを体験できる、という演出だ。
ちなみに筆者は、あらかじめ日本にて映画『カーズ』3部作を再鑑賞してからここに来た。ディズニーランドのすべてのエリアは、映画を見ていない人やキャラクターを知らない人でも十分楽しめるようになっているが、前もって予習をしておけば、より深い感動と興奮を味わえることは間違いない。映画のサントラが脳内再生されていたのは、きっと予習の効果だろう。
■「ミッション・ブレイクアウト!」で陽気なアメリカ人になりきる
園内でも特に人気の高いアトラクションとして「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト!」も見逃せない。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の世界観で作り込まれたフリーフォール型のアトラクションだ。
舞台は宇宙の果てにある敵の要塞。アライグマのキャラクター「ロケット・ラクーン」の指示に導かれながら、要塞に囚われた仲間のガーディアンズを救出する、というストーリーが展開する。
ここでの見どころは、要塞の内部に展示された映画の小道具の数々。ファンなら何時間見ていても飽きないだろう。また絶叫マシーンマニアなら、急上昇と急降下を繰り返すフリーフォールの予測不能な動きがたまらないはず。内臓が浮き上がるような感覚が病みつきになる。
さらにBGMにもこだわりがある。フリーフォールの最中に大音量で流れる音楽は、映画版と同じく60~80年代のアメリカンロックだ。ベストヒットUSA世代である筆者にとってはまさにツボ。イントロを聴いた瞬間からテンションは上がりっぱなしだ。ふと気がつけば、地元の人とおぼしきノリノリのアメリカ人観光客たちに混ざって、普段は出したこともないような大声で絶叫している自分がいた。Oh my gosh! Yeahhhh!! またしても私の中の内なるアメリカ人が発動したようだ。
■ 絢爛豪華な4つのナイトタイム・スペクタキュラー
夕方以降の時間帯は、ナイトタイム・スペクタキュラーと呼ばれる夜のエンターテインメントショーが目白押しだ。休止していたショーの多くが2022年4月以降順次復活したこともトピックといえる。
このうちまず鑑賞したのは、カリフォルニア・アドベンチャーの水辺で行われる「ワールド・オブ・カラー」だ。最大の見せ場となる、噴水投影のプロジェクションマッピングは見事の一言。鑑賞エリアが前列の場合、頭から水しぶきを浴びながら、絢爛豪華な音と映像を楽しめる。カメラやスマホの防水対策が欠かせない。
さらに日本でもお馴染みの「メインストリート・エレクトリカルパレード」や、想像以上の火薬量を誇る花火とプロジェクションショー 「ディズニーランド・フォーエバー・ファイヤーワーク・スペクタキュラー」を堪能した。比較的おとなしく鑑賞する日本でのそれとは異なり、要所要所で大歓声が沸き上がるのは、さすが陽気なアメリカンといった感じだ。
夜10時も過ぎ、ふだんの筆者なら赤ちょうちんで飲んだくれている時間帯になった。しかし、ここカリフォルニアディズニーではノンアルコールにもかかわらず、まだまだハイテンションを維持できている。旅の高揚感もあるが、それ以上に超一流のエンターテインメントの数々が眠気や時差ボケを吹き飛ばしているのだと思われる。
そして、いよいよ大トリとなるナイトエンターテインメント「ファンタズミック!」が始まった。大規模な屋外セットの中で、ミッキーマウスを中心とした様々なキャラクターが活躍するショー。キャラクターたちのダイナミックな動きはもちろん、映像とサウンド、光、炎、水流、煙といった多彩な仕掛けが圧倒的なスケールで展開していく。これぞディズニー。世界レベルのエンターテインメント。Great! Amazing!! Wonderful!!! 感動のあまり人目もはばからず、中学レベルの英単語を連呼してしまった。
■地球上で一番ハッピーな場所は本当だった!?
以上、やや駆け足ではあったが、ビギナーなりの視点で見たカリフォルニアディズニーのレポートをお伝えした。いまどきはウェブやSNSを通じて情報がいくらでも手に入る時代。筆者自身、さまざまな下調べをしてから訪れた。しかし当たり前だが、記事や映像で見たものと、実際に自分が体験したものとは大違い。すべてが予想をはるかに超える体験だった、といっても過言ではない。
ついでに言えば、自分の中に陽気なアメリカ人的な要素があるとわかったことも、新しい発見だった。そんなファンキーなモードも、帰国とともに終了。近いうちに再訪できることを目指し、また今日からシャイで真面目な日本人として、日常業務に戻ることにする。
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