青山商事がメンズ向けの人気ブランドTHE SUIT COMPANY、およびUNIVERSAL LANGUAGEにおける2022年秋冬コレクションを公開した。テーマに「NEW BASIC」を掲げながら、サステナブルを実現する商品をずらりと揃えている。担当者は「いま考え得る限りのエコな素材と技術で作った商品を展開します」と紹介した。

  • メンズ向けブランドTHE SUIT COMPANY、UNIVERSAL LANGUAGEの2022年秋冬コレクションが公開された

COMMUTECH

多様性、利便性(機能やファッション性)、テレワークなど、様々な切り口にフォーカスしたオフィススタイルを提案する。例えば2WAY STRETCHの上下は、スポーツウェアで使うポリウレタン素材を使用。縦にも横にも伸びる機能性を確保している。「着心地はスポーツウェア、見た目はビジネスウェアの商品です。伸びがあり、家庭でも洗えるウォッシャブルとなっています」と担当者。ゴムの部分には再生原料を使用した。

  • 2WAY STRETCH

ELANCO(エランコ)は、節水染色した生地。通常、水を使って色を染めるときに、大量の排水が出る。その排水をろ過して再利用することで、水の使用量を大幅に削減した。「エコロジーにこだわりながらも、ストレッチ性があったり、家で洗えたり、シワになりにくかったり、そうした加工を施しています」と担当者。

  • ELANCO

羊にケアをしながら採取したウール使った、ノンミュールジングウールの商品も展開する。担当者は「羊に痛みが伴うミュールジングを行わず、自然のままのやさしい飼育方法で得られるウールを使用しています」と説明する。そしてRENUは、再生ポリエステルを生地に使用した商品。原料にこだわりつつ、機能性も両立している。このように2022年秋冬コレクションでは、ウール、再生ポリウレタン、再生ポリエステルなど、サステナブルな素材をスーツに多用している。「生地を1から作り上げられるのが青山商事の強みです。規模があるので、大量に安くオリジナリティーがある生地を作れます」(担当者)。

  • 再生ポリエステルを生地に使用したRENU

スマみえ

日本の30代男性に最適な寸法値を計算して、スーツの型紙に反映したというユニークな商品が、スマみえ。具体的には3Dスキャナーを使い、男性2,000人以上から400箇所の寸法データを取得したという。「得られたデータから中央値を取って、型紙を引き直しました。30代の方がスマートに見えるシルエットを追求したビジネスウェアです。時代はカジュアル化の方向に進んでいますが、スマみえでは、取り扱いの簡単さを追求しつつも、ビジネスの相手からスマートに見えるシルエットを妥協しません。この時代に敢えてスーツ、セットアップという、ビジネスウェアらしさをこだわっていく方に向けた商品です」。

  • スマみえ

DOUBLE FACE COAT

ダブルフェイスという2枚の生地を1枚に裁縫する技術を採用したコートを展開する。「もともとレディースではダブルフェイスのコートを販売していましたが、メンズに採用したのは今回が初めてです。1つの生地だけでコートを作っています。袖や裾は手作業でつなぎ合わせるので手間がかかりますが、裏地やパースが要らなくなるため、結果として布地1枚分の重さでコートを作れる。非常に軽いコートになるわけです」。

  • ダブルフェイスで作られたコート

ちなみに参考価格も3万9,000円と非常に安い。「青山商事は、もともとウールに強い。それに加えて縫製時期も工夫しました。通常ではコートを縫わない、空いている時期に縫製することでコストを圧縮し、安くて良い生地を作れたんです」。

INTERFLOW

UNIVERSAL LANGUAGEのテーマは「INTERFLOW」。クラシックなもの、ラギット(無骨な)ものをコンビネーションし、2つの異なるテイストを1つに織り込んでいく。ジャージのテイラードは、一見して普通のジャケットに見えるが、ジャージ素材を使用している。伸縮性や通気性に優れているのが特徴。「メンズのビジネスウェアでよく使われる素材に見えるように作っています。在宅のオンライン会議で羽織ったり、会社によっては普通にビジネスに着ていける商品です」。

  • ジャージ素材を使用したジャケット

REDAというブランドのFLEXO(フレクソ)というラインでは、再生可能なポリウレタンを使うことで環境に配慮しながら、高い品質とストレッチ性を両立している。いまスーツの着心地を良くするため、スーツに機能性の高い生地を取り込む流れがトレンドだという。

  • 再生可能なポリウレタンを使ったREDAのFLEXO

JEBRIC(ジェーブリック)は、ジャージとファブリックの組み合わせ。ファブリックな見た目で、ジャージのような着心地が特徴となっている。

  • JEBRIC

ダブルスーツのセットアップは、インナーにニットを合わせる今風の着こなしにも対応。

  • UNIVERSAL LANGUAGEのクラシックテーラードライン

平織りに起毛をかけた秋冬コレクション

そしてイタリアのメーカーが作る本気のスーツ群にも注目。2022年秋冬コレクションでは、織り方を工夫したという。「通常の夏物のスーツは平織りしています。その平織りに起毛をかけたのが、今回の大きな特徴です。見た目は秋冬らしい温かみを感じさせながら、生地がすごく軽い。気温の高い秋冬の日に、ファッション性を維持しつつ着こなせるアイテムになりました」。

  • 平織りに起毛をかけるというユニークな発想

「ファッション性を重視しているお硬いイタリアのメーカーが、スーパーソニックという機能性に特化したラインも作りました。これまでファッション性にこだわってきた人たちも、機能性に注目し始めています」。

  • イタリアのメーカーCANONICOのSUPERSONIC

リュックではGREGORYやWRWとコラボ。タグやロゴを同色にするなど、ビジネスシーンに溶け込みやすいデザインにしている。

  • GREGORY、WRWとコラボしたリュック

河田ダウンとコラボしたビジネス用コートも展開。背中部分にダウンを入れているという。

  • 河田ダウンとコラボしたビジネス用コート

イタリアの輸入糸を使ったネクタイでは、再生ナイロンとウールをブレンドした生地を使用。また国産のネクタイブランド「SHAKUNONÉ(シャクノネ)」とコラボした商品では地産地消を意識。日本の産業を守っていく青山商事の姿勢が感じられる。

  • ネクタイ