この記事では「生兵法は大怪我のもと」の意味や由来、使い方、類語などについて解説していきます。日常生活やビジネスシーンで、「生兵法は大怪我のもと」を正しく使えるようになりたい方はぜひ参考にしてみてください。

  • 「生兵法は大怪我のもと」について解説します

    「生兵法は大怪我のもと」について解説します

「生兵法は大怪我のもと」の意味とは

「生兵法は大怪我のもと」は、「中途半端な知識や技術に頼って行動を起こすと、何も知らないよりも失敗することがある」ということを表していることわざです。

「生兵法」とはもともと、戦術や剣術などについて十分な技術を身に付けておらず、生半可な状態のことです。転じて、戦いの術に限らず、生半可な知識や技術しか持っていないことも指しています。

「生兵法は大怪我のもと」とは、例えば未熟な剣士が自分の実力を過信して、すご腕の剣士に闘いに挑んで大怪我をすることをイメージすれば、理解しやすいでしょう。

「生兵法は大疵のもと(なまびょうほうはおおきずのもと)」ともいいます。

「生兵法は大怪我のもと」の読み方

「生兵法は大怪我のもと」は、「なまびょうほうはおおけがのもと」と読みます。「生兵法」は「なまへいほう」ではありませんので注意しましょう。

なお「もと」は漢字では「基」「元」が使用されます。

  • 失敗を避けるには十分な知識と確かな技術が必要です

    失敗を避けるには十分な知識と確かな技術が必要です

「生兵法は大怪我のもと」の由来

「生兵法」の由来は、江戸時代(1638年)の仮名草子『清水物語(きよみずものがたり)』や、同じく江戸時代(1649年)の狂歌集『吾吟我集(ごぎんわがしゅう)』など、諸説あります。

清水物語は、儒教思想や政治論、道徳論などについて、庶民にわかりやすく記した教訓本的なものでした。

その中に「何事も仏の方便にまかせ、正直なるこそよけれ。なま兵法は大疵のもとゐ」という一節があります。

一方、吾吟我集は、石田未得(みとく)が、四季や恋、世話、廻文などごとに自作の狂歌をまとめたもので、タイトルや分類は『古今和歌集』を模しています。

そちらには「中々にやめようさぎのなま兵法いぬにかまるるきずのもとひぞ」という一節があります。これは「中途半端な兵法のみでは、犬に噛まれて傷のもとになる」といった意味です。

「生兵法は大怪我のもと」の使い方・例文

「生兵法は大怪我のもと」を使用した例文を紹介します。

  • 資格を取得したばかりで大きな案件に挑むのは止めておきなさい。
    生兵法は大怪我のもとだ

  • 生兵法は大怪我のもとというが、既に実践的な知識と技術は身に付いているから大丈夫だ

  • 彼がデータベースを破損してしまったらしい。
    生兵法は大怪我のもとだと忠告したのに素人が手を出すから、とんでもないことになった

  • 入社したばかりの彼がプロジェクトリーダーだって?
    生兵法は大怪我のもととならないか心配だ

  • 最近ジムに通い始めた始めたばかりなのに、いきなり重いウエイトに挑戦したらぎっくり腰になってしまった。
    まさに生兵法は大怪我のもとだ

  • 例文を参考に「生兵法は大怪我のもと」の使い方を学びましょう

    例文を参考に「生兵法は大怪我のもと」の使い方を学びましょう

「生兵法は大怪我のもと」の類語

「生兵法は大怪我のもと」の類語はいくつかあり、どれも中途半端な知識や技術により失敗するといった意味を持っています。「生(なま)」を前につけることで、組み合わさっている言葉の中途半端さを表現しています。

生兵法は知らぬに劣る(なまびょうほうはしらぬにおとる)

「知らぬに劣る」は、「知らない者よりも劣っていること」を表す言葉です。中途半端な知識や技術だけですべてを知った気になっている者は、何も知らない者よりも劣っているという意味です。

生悟り堀に落ちる(なまざとりほりにおちる)

「生悟り」には、いい加減な悟り方、中途半端な悟りという意味があります。「堀に落ちる」は「失敗」や「大怪我」を表しています。

生物知り川へはまる(なまものしりかわへはまる)

「生物知り」は、いいかげんな知識しか持っていないのに、知ったかぶりをする人を表す言葉です。このことわざは、「知ったかぶりをしていると、いつか大失敗をする」という意味を持ちます。

生禅大疵のもと(なまぜんおおきずのもと)

「生禅」とは、「禅宗を学んでいる者が、悟りきっていないのに悟った気でいること」です。このような者のことを、「野狐禅(やこぜん)」ともいいます。そしてこんな状態でうぬぼれていては、大きな傷を招いてしまいます。

  • いいかげんな知識で調子に乗っている人は信頼を失ってしまいます

    いいかげんな知識で調子に乗っている人は信頼を失ってしまいます

「生兵法は大怪我のもと」の英語表現

「生兵法は大怪我のもと」を直接表現できる英単語はありません。英短文での表現方法は以下の通りです。

  • A little learning is a dangerous thing

「learning(知識・学習)」は同じ意味を持つ「knowledge」を使っても大丈夫です。「little learning」で「少しの知識、学び」という意味があります。

「a dangerous thing」で「危険なこと」となり、「生兵法は大怪我のもと」と解釈が可能です。以下のように使用することができます。

It is important to plan carefully, as the saying goes, "A little learning is a dangerous thing."
(生兵法は大怪我のもとという通り、綿密な計画を立てることが大切だ)

ほかにも以下のように表現できます。

  • Zeal without knowledge is a runaway horse

「知識なき熱意は暴走する馬のようなものだ」ということわざです。

ことわざは、単語そのものを直訳しても正しい意味は伝わりにくいでしょう。まずは日本語の意味を正しく理解し、それに対応する英語を探すことが大切です。

  • 英語を使用される方は、表現方法を参考にしてみてください

    英語を使用される方は、表現方法を参考にしてみてください

「生兵法は大怪我のもと」とならないように心掛けることが大切

「生兵法は大怪我のもと」は、知識や技術が身に付いていないことが原因で、大失敗をしてしまうという意味を持つことわざです。

例えば入社から数年経過すると、仕事の進め方など社会人としての知識も身に付いてきて自信を持てるようになります。しかし、まだ未熟な部分や経験不足の面もあるため、思わず知ったかぶりをして大恥をかいてしまう可能性もあるわけです。

本記事で紹介した「生兵法は大怪我のもと」の意味や使い方などを正しく理解し、恥をかかないように深い知識を身に付けていきましょう。