その結果、波数-エネルギー空間において、磁気励起を解明することに成功したという。この磁気励起は波の進行方向を逆にするとエネルギーが異なる、非相反磁気励起を示すことも見出したとする。さらにその磁気励起は、1/1近似結晶におけるマグノンの励起エネルギーの波数依存性と対応していることも確認された。

加えて、マグノン励起エネルギーとその逆方向の波数の励起エネルギーが異なることも見出されたともしており、マグノンは伝搬する方向によってエネルギーが異なる非相反性を持つことが示されたとする。

  • テルビウムを含む準結晶において、理論計算により示された磁気構造

    (a)テルビウムを含む準結晶において、理論計算により示された磁気構造。(b)今回、(a)の強磁性秩序について理論計算が行われ、波数(横軸)-エネルギー(縦軸)空間における磁気励起が解明された。磁気励起は、1/1近似結晶におけるマグノンの励起エネルギーの波数依存性と対応する。(c)マグノン励起エネルギー(オレンジ色の実線)とその逆方向の波数の励起エネルギー(青色の破線)が異なることも判明。マグノンは伝搬する方向により、エネルギーが異なる非相反性を持つことが明らかにされた (出所:九工大プレスリリースPDF)

なお研究チームによると、今回の研究成果は、3次元準結晶の物性研究にブレイクスルーをもたらすものとして期待されるとのことで、特に、今回理論的に示された磁気ダイナミクスを実験により観測する研究の進展が期待されるとしており、今後、準結晶の磁性およびダイナミクスの研究が活発に行われ、新しい磁性や磁気ダイナミクスの解明、ならびに物質の新機能の開拓につながることも期待されるとしている。