東京商工リサーチは6月28日、上場主要メーカー 2023年3月期決算「想定為替レート」調査の結果を発表した。同調査は、東京証券取引所に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機器メーカー(3月本決算企業)122社の2023年3月期の想定為替レートを開示資料などをもとに集計し、前期と比較したもの。

想定為替レート平均値、最安値を記録

  • 期初ドル想定為替レート推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

主要上場メーカー122社の想定為替レート平均値は1ドル=119.1円で、前期(2022年3月期初105.5円)から13.6円の円安設定となった。調査を開始した2011年3月期決算以降では、2016年3月期初(1ドル=115.8円)以来、7年ぶりに1ドル=110円を上回り、最安値を記録した。

2023年3月期決算(本決算)の見通しでは、期初の対ドル想定レートは1ドル=120円が58社(47.5%)と最も多く、約半数を占めた。次いで、115円が21社(17.2%)、125円が10社(8.1%)、110円が8社(6.5%)、122円・123円が各5社(4.0%)と続き、1ドル=120円以上が約7割(68.0%、83社)に上った。

1年前の2022年3月期の期初想定為替レートでは、1ドル=105円が73社(59.8%)で最多。最安値は110円(4社)で、その他はすべて100円台だった。

1年前と比較可能な116社をみると、「105円→120円」にレートを変更した企業が最も多く35社(30.1%)。以下、「105円→115円」が18社(15.5%)、「105円→110円」が7社(6.0%)、「105円→125円」が6社(5.1%)と続いた。また、116社すべてが「円安へのシフト」に想定為替レートを変更し、1年前からの下落幅の最大は20円(9社)だった。

同調査では、「急激な円安加速に対し、日米金利差など円安是正の動きは見当たらない。物価上昇や値上げの広がりは、個人消費の減退にも波及しかねず、将来的な企業収益の圧迫リスクになっている。企業業績の見通しは不透明さを増しており、今後も為替変動への目配せが必要だろう」と分析している。