今回の自然免疫応答も解析できる高機能化したミニ腸は、生体内における腸管免疫応答や炎症性疾患などの病態を再現できる革新的なバイオモデルであり、創薬研究開発にも活用が期待されると研究チームでは説明するほか、ミニ腸組織マクロファージが生体の小腸マクロファージと近似した特性を有していることが見出されたとのことで、今後、このミニ腸を小児難治性腸疾患の病態解明や創薬研究に応用していく予定としている。
なお、炎症性腸疾患と同じく、腸の炎症が長く続く「好酸球性消化管疾患」(EGID)では、ある種の食物抗原に反応して、炎症が起きることがわかってきており、今回の研究により、生きた腸管内での免疫細胞の詳細な働きを試験管内で観察できるようになったことから、EGIDの診断方法や治療法の開発にも貢献できるとしているほか、新型コロナウイルスも含め、腸管内ウイルス感染症の研究や腸内細菌の研究などへの活用も期待されるとしている。