オウガ・ジャパンから、OPPOブランドスマートフォン新製品「OPPO Reno7 A」が登場しました。位置づけとしてはミドルクラスのスマートフォンですが、日本機能を盛り込んだ日本向け製品として、ほぼ万全の機能を搭載したバランスの良い製品です。
ハイクラスの外観デザイン
OPPO RenoAシリーズは、当初(同名という理由で)タレントの指原莉乃さんをキャラクターとして、日本市場向けのオリジナル製品として投入されました。当時はまだ日本でOPPOブランドのなじみが薄く、戦略的な製品でした。
その後、同シリーズはReno3 A、Reno5 Aと世代を重ね、今回登場したのがReno7 Aです。OPPOブランドも一定のバリューとシェアを獲得し、日本市場になじんできたと言えるこのタイミングで投入された最新モデルをチェックしてみましょう。
まずは外観。Reno Aシリーズはこれまで、曲面を生かしたデザインでした。当時の流行もありましたが、背面は光沢のあるデザイン。それが一転、Reno7 Aでは直線を生かしたマットな背面に変更されています。
個人的にはより高品位になったという印象で、デザイン性は高まったと感じます。背面はプラスチックですが手触りはよく、サラッとした触感は、軽やかさを感じさせます。
カメラ周りのデザインが、従来のブラックのみから、本体に合わせたカラーになったため、よりカラーの統一感が高まりました。前モデルにあった背面指紋センサーはなくなり、画面内指紋センサーになってスッキリ。全体的なデザイン性は高くなっていると思います。
加えて、本体サイズは約159.7×73.4×7.6mm、約175gと、前モデル比で全ての数字がコンパクトになっています。その分、画面サイズは6.5インチから6.4インチにわずかに小さくなりました。なお、パネルは液晶から有機ELに変更されています。
フロント側のデザインはそう大きくは変わっていません。インカメラは左上に配置したパンチホール型。右側面に電源ボタン、左側面にボリュームキーという構成も変わらず、3.5mmイヤホン端子も引き続き搭載しています。
サイズは小型化しましたが、バッテリーサイズは4,000mAhから4,500mAhにアップ。メモリ6GB、ストレージ128GB、microSDXC(最大1TB)といった点は変更ありません。nanoSIM×2+eSIMというデュアルSIMスタイルも変わりません。
対応バンドもおおむね替わりませんが、5Gでn41が追加されている点が新しいでしょうか。NTTドコモが使うn79は今回も省かれています。OPPOに限りませんが、グローバルで一般的ではないバンドは、オープンマーケット版だとなかなか対応されないのが残念なところです。Wi-FiやBluetoothは従来通り。Wi-Fi 6に対応しない点はマイナスでしょう。
日本向けの機能としては、おサイフケータイの対応があります。私もそうですが、必要な人にとっては必須の機能でもあり、搭載はありがたいところです。最近はグローバルでも一般的になりましたが、IPX8/IP6Xという高い防水防塵性能もキープ。これも重要でしょう。
ミドルクラスのパフォーマンス
パフォーマンス面では、SoCとしてSnapdragon 695 5Gを搭載。前モデルがSnapdragon 765 5Gだったので、Snapdragonのシリーズとしては1つ下のクラスになっています。同社では「世代が変わっている」と話し、765よりもパフォーマンスは上がっている、としています。
実際、CPUはKryo 660にアップグレードされているので、そのあたりでパフォーマンスは向上しているでしょう。GPUなどはあまり差がなさそうですが、いずれにしても、パフォーマンスが落ちていることはなさそうです。
このあたりは、コスト削減の影響かもしれません。海外の物価高騰や円安などを踏まえると、本体価格を維持するための努力の跡と言えそうです。
実際にベンチマークテストをしてみましょう。3DmarkのWild Lifeのスコアは1,214、Geekbenchのスコアはシングルコアが689、マルチコアが1,980、GFXBenchのマンハッタン3.1が1,792フレーム、同オフスクリーンが2,128、T-Rexが3,336フレーム、同オフスクリーンが5,288フレーム、Aztec Ruins OpenGL High Tierが737.4、Aztec Ruins Vulkan High Tierが755.5などといった結果になりました。
ベンチマーク結果 | ||
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3Dmark | Wild Life | 1214 |
GeekBench | Single-Core | 689 |
Multi-Core | 1980 | |
GFXBench | マンハッタン3.1 | 1767 |
Aztec Ruins OpenGL High Tier | 737.4 | |
Aztec Ruins Vulkan High Tier | 755.5 | |
GeekBench ML | CPU | 224 |
GPU | 515 | |
NNAPI | 366 |
ベンチマークを見る限りは、Snapdragon 750よりは少し上、765よりは少し下という印象ですが、日常的な用途で困ることはないでしょう。よほどのゲーム性能を求めなければ、日々の利用ではそれほど問題は感じなさそうです。
長く使うためにアップデートを
OSはAndroid 11ベースのColorOS 12を搭載。すでにAndroid 12ベースへのアップデートは決まっているそうで、今後アップデート予定。その後のアップデートは現時点で明言されていませんが、「長く使ってもらえる」スマートフォンを目指すとしています。
スマートフォン時代では、長期利用には端末のアップデートが欠かせません。iPhoneは基本的にAppleのさじ加減でアップデートでき、それが長期間にわたることは非常に大きなメリットです。
Android陣営でも、サムスンは比較的アップデートを長く提供しており、OSアップデートは2世代、セキュリティアップデートは4年間提供しているようです。例えばGalaxy A8では、2017年から2021年11月までアップデートが配信されています(グローバルモデル)。
Androidの場合、そもそもOS開発をGoogleが行うため、将来的なアップデートの有無を確約できないというのがOPPO側の主張です。OPPO Reno7 Aはキャリア端末ではないため、OPPOがアップデートの主体となるのですが、Reno7 Aのアップデートに関しては、OPPO側はどうも歯切れがよくありません。
日本向け端末でFeliCaのような独自機能もあるため、アップデート体制が不透明なのかもしれませんが、「3年以上」の利用を目指すのであれば、せめてOSは2世代、3年間のセキュリティアップデートは実施してほしいものです。
OPPOらしい派手目のカメラ
前モデル「OPPO Reno5 A」は、有効画素数約6,400万画素の広角カメラに、約800万画素の超広角カメラ、約200万画素のマクロ、約200万画素のモノクロという4つのカメラを搭載。インカメラは約1,600万画素でした。
Reno7 Aでは、広角が約4,800万画素、超広角が約800万、マクロが約200万、インカメラが1,600万画素となり、特に広角カメラの画素数が減り、被写体との距離測位用のモノクロカメラが省かれました。これもコスト削減の一環かもしれません。
広角カメラは、基本的に4つのピクセルを1ピクセルと見なして使うピクセルビニングを活用します。前モデルでは1,600万画素での撮影になり、Reno7 Aでは1,200万画素での撮影となります。
レンズ性能も含めて、フル画素での撮影はあまり現実的ではなく、ピクセルビニング後の1,600万画素と1,200万画素の差はそれほど大きくはありません。それほど気にする必要はないでしょう。とはいえ、動画で4Kに対応しない点は残念な部分。
カメラ機能としては突飛なところはなく、オートモードの「写真」「動画」「夜景」「ポートレート」「マクロ」といったモードに加え、アウト/イン同時動画撮影やタイムラプスなども搭載。基本的には気軽に撮影するカメラですが、個人的には「ポートレート」モードの「スタイル」で設定できる「ネオンポートレート」が楽しい機能でした。
大口径レンズで絞りを開いて被写体を撮影すると、背景の点光源が丸い玉ボケになるという物理現象をデジタルで再現したものですが、夜景だけでなく木漏れ日のようなシーンでも派手に玉ボケが生まれるので、インパクトのある写真になります。
カメラとしては高画質とまでは言えませんが、たいていのシーンでは十分。強めのHDRが掛かるので、夏の日差しの中でも見た目よりも明るく撮影ができます。色味は派手目。OPPOらしい画質ではあります。
OPPO Reno7 Aは、ミドルクラスのスマートフォンとしては、価格4万円台と従来通りの価格を維持しました。いくつかコストダウンの影響らしき点が見られますが、デザイン性もよく、不満のない製品に仕上がっています。
例えば、ワイモバイルで購入すると21,600円の割引が適用されて2万円台になるので、お得感が増します。昨今の値上がり基調の中では、価格と性能のバランスの取れた機種と言えそうです。