コメダ珈琲――「写真詐欺」とも言われるボリュームの多さや名古屋のモーニング文化が体験できるとSNSで度々話題になる名古屋発祥のカフェチェーンだ。

そのコメダ珈琲が、「和風甘味喫茶」も手掛けていることをご存知だろうか? その名は「おかげ庵」。コメダ珈琲は全国に900店舗近く拡大しているが、おかげ庵は愛知県に8店舗、神奈川県に3店舗、東京都に1店舗の合計12店舗と、なかなかレアな存在かもしれない。

そんな「和風コメダ」、どうやら自分の手で「おだんご」を焼けることがひとつのウリらしい。しかもコメダ系列らしく、やっぱりモーニングも充実しているという噂。東京・駒沢公園の店舗へ行った様子をレポートしよう。

「おかげ庵」メニューのラインナップはコメダ珈琲とどう違う?

東京・世田谷の駒沢公園近くにある「おかげ庵 駒沢公園店」。最寄りの駅は東急田園都市線の駒沢大学駅だが、徒歩20分程度かかるため、バスか車で行くのもおすすめだ。

三角屋根のログハウスのような外観の店舗、あまり和風な感じもないな……と思ったら、ひとつの建物にコメダ珈琲とおかげ庵が両方入ったハイブリッドな店舗だ。

階段で2階に上がり、左に曲がればコメダ珈琲、右に曲がればおかげ庵の入口だ。暑い時期なのでコメダ珈琲のかき氷も気になるが、今回はぐっとこらえて右方向のおかげ庵へ。

ログハウスっぽい内装はコメダ珈琲らしいが、おかげ庵は深いブラウンとグリーンを基調にした落ち着いた雰囲気。照明や桜型に抜かれた装飾など、和風レトロ感たっぷりで、初めてきたのに居心地が良さそうな予感がひしひしと伝わる。フカフカのソファも健在だし、各席にコンセントも設置されている。

メニューを見てみると、「お飲み物」のページで一番最初に紹介されているのはコーヒーではなく「お抹茶」(640円)。しかも「自慢」のアイコン付き。さすが和喫茶を名乗るだけある。

しかし訪れたときは6月下旬のカンカン照りの休日。抹茶もいいけどひんやり冷えたドリンクを飲みたい……と探したら、抹茶を使ったメニューもずらり。今回は「グリーンティー(アイス)」(640円)をチョイス。他にもほうじ茶や煎茶、和紅茶、そしてもちろんコーヒーのメニューも扱っている。

そしてコメダ珈琲といえば「モーニング」が特徴だが、おかげ庵も同じく、午前11時までは飲み物代金のみでモーニングも提供される。

メニューはコメダ珈琲と違い、和風なラインナップ。「おにぎりセット(梅・鮭・昆布のいずれか一種)」「お茶漬けセット(梅昆布・鮭昆布のいずれか一種)」もしくは豆大福やどらやきなど季節によって変わる和菓子「お茶の子セット」の3種から選べる。バリエーションが多い!

迷いながらオーダーして、待っているうちに他のメニューも見てみよう。食事は名古屋名物のきしめんや、鉄板に乗って提供されるスパゲティー、ヒレとじ丼などのご飯物が揃う。

甘味もぜんざいや、今の時期にうれしいかき氷など和風らしいメニュー。そしてコメダ系列で忘れてはいけないのが……

「シロノワール」「ミニシロノワール」ももちろん健在。コメダ珈琲と違い、熱々のデニッシュに乗せるソフトクリームはバニラだけでなく抹茶やほうじ茶も選べるし、黒蜜をとろりとかけていただくらしい。今回は見送ったが、おそらくこちらも想像以上にでかいのだろう。

ドリンクを頼めば無料! うれしいおにぎりモーニング

見慣れたようでちょっと違うおかげ庵のメニューを眺めているうちに、モーニングのおにぎりセットとグリーンティーがやってきた。

朝から暑い中を歩いてきた体に、ひんやりとしたグリーンティーが染みる〜!抹茶の深い味わいにほっとする。カラカラとグラスの中でぶつかる氷の音も涼やか。

そしておにぎりセットは、海苔が巻かれたおにぎりとお味噌汁、そして梅干しの三点セット。好みで鮭や塩昆布も選べるが、寝起きの頭を起こすためにキュッと酸っぱい梅干しにした。 コメダ系列ということもあり、「おにぎりもでかい!」を少し期待していたが、サイズ感は程よいサイズ。朝ごはんだしね。

別添えの梅干しをほぐして、おにぎりに挟んでいただこう。ご飯の湯気でちょっとしんなりした海苔で、あつあつ具合が伝わるだろうか。

梅干しは甘さ強めで酸味は抑えめのやさしい味わい。ふっくらと握られたあつあつのおにぎり、しみじみとうまい……。

ほうれん草とネギの味噌汁はちょっと味濃いめで、おにぎりと好相性。ほうれん草は結構たっぷり入っている。おにぎりを頬張り、ズズッと味噌汁を飲むと、シンプルな和朝食は良いものだ……と朝から幸せな気分になれる。

おだんご焼き初挑戦! 焼き方のコツは?

そしてモーニングをいただいて一息ついたら、いよいよ「おだんご」を焼こう。すでにこの時点でだいぶ満足しているが、今回おかげ庵にきた一番の目的だ。

「焼き物」は、「おだんご」(3本650円)だけでなく、五平餅や磯辺焼き、そして大福などがラインナップされている。大福も焼けちゃうの!? 楽しそう! と思ったが、今回は初志貫徹で「おだんご」にしよう。

なお単品でも頼めるが、飲み物にプラス480円でおだんご(2本)やあんみつ、季節限定でかき氷などが楽しめるオトクな「お飲み物甘味セット」もある。

甘味セットでおだんごを頼むと、「焼き台をお持ちしましたー!」とテーブルにドカッと焼き台が乗せられた。2人用のテーブルだと、テーブルの1/5ほどを占めるサイズ感。テーブルの電源に繋ぎながら「熱くなるのでご注意くださいね」とテキパキと動くスタッフさん。

そしてやってきた「おだんご」。醤油、黒蜜きなこ、あんこの三種から「醤油」を選んだが、全部食べたい!と欲張りな方には全種が1本ずつ入った「だんご三昧」(700円)もおすすめしたい。

さて、ツヤツヤもちもちとした真っ白なおだんごを焼き台に乗せよう。メニューに焼き方の解説もあるので、おだんご焼きビギナーも安心だ。「醤油」の場合、両面を焼いて別添えの醤油をつけたあと、二度焼きして完成とのこと。

スタッフさんからは「くっつきやすいので、箸で網を抑えて、たまにおだんごをひっくり返してください」とアドバイスをもらった。おだんごを自分で焼く機会なんて滅多にないので、テンションが上がるな〜。

とか言ってるうちに、早速網にくっついてしまった。自分には思ったよりおだんごを焼く才能がないのかもしれない。

最初は乾くくらいの段階で早めにひっくり返せば網につかずに済みそう、電熱式の焼き台はよく焼ける部分と弱い部分がある……など、初回にしておだんごを焼く知見がどんどん溜まる。

焼き加減は個人の好みにもよるが、コロコロ返しながら10分ほど焼くといい感じに焦げ目がついてきた。別添えの醤油にたっぷりつけよう。この醤油皿、うまく串がハマるようになっており、一度に全部のおだんごに醤油がつく。細部までホスピタリティを感じる。

二度焼きをすると、醤油の香ばしい香りがふわっと広がる。焦げやすそうなのでさっと炙る程度でも良いかもしれない。

完成! 醤油が焦げて香ばしい団子は、外はカリカリ、中はモチモチ。濃い醤油の味と、米の甘さがお互いを引き立てる。渋みのあるグリーンティーとも好相性。

自分で焼いた贔屓目を差し引いても、焼き立てのおだんごのおいしさは格別だ。そして焼肉で「肉を育てる」感覚にも近いおだんご焼きの体験は想像以上にアトラクション要素が強く楽しかった。今回は一人で来て黙々と焼いたが、誰かときたら会話も弾みそうだ。

全てはおいしいおだんごを作り、素人でも扱いやすい焼き台を提供してくれるおかげ庵のおかげ……とはわかりつつ、初めてでもこんなにおいしくだんごを焼ける自分、もしや天才では!? と調子に乗りながら2本目を食べようとしたら、電熱線を切り忘れてかなり焦げてしまった。

  • 目を離したすきに焦げた

これはこれでビターな味わいが楽しめたが、焼けたと思ったら火傷の危険もあるので早々に焼き台のスイッチは切っておくことをおすすめする。

まだまだ店舗数は少ないが、これから暑い時期にかき氷を楽しむもよし、のんびりだんごを焼くもよし、コメダ珈琲の居心地の良さはそのままに、和風ドリンクやスイーツが楽しめるおかげ庵、店舗の近くに行った際は、ぜひ寄ってみてはいかがだろうか。

  • モーニングの時間帯以外にドリンクを頼むと「あの豆菓子」も付いてくる。おかげ庵ロゴが可愛い

おかげ庵 駒沢公園店
東京都世田谷区深沢4-5-13
営業時間 7:00~23:00