組織のPCでも個人のPCでも、セキュリティへの配慮は必要不可欠だ。PC内部にはクレジットカードや各種Webサイトの暗証番号など、守るべき情報が多く存在する。最近では地方病院がランサムウェアの被害にあったという報道を目にしたが、Microsoftが公式ブログで「ランサムウェアの脅威は中小企業や一般家庭にまで広がり、攻撃手法の巧妙化に伴って、我々は個人の防御力を高める必要性を感じている」と述べているように、1人のユーザーとしても自己防御力を高めなければならない。

とはいうものの、常日頃から攻撃を想定した対策をとるのは手間がかかり、「面倒くさい」となってしまいがちでもある。Windows 11はウイルス対策をはじめとするセキュリティ機能「Windowsセキュリティ」を標準搭載しているのだが、PCのセキュリティ状態を網羅的に確認し、複数のPCをまとめて管理する機能までは備えていない。こうした機能は大企業向けのMicrosoft Defenderソリューションファミリーや、中小企業向けのMicrosoft Defender for Businessの契約が必要となる。そんな状況の中で注目したいのは、個人用PCで不足していたセキュリティ機能を補うツールとして、Microsoftがリリースした個人向け「Microsoft Defender」だ。

  • 個人用「Microsoft Defender」の公式サイト

個人向けMicrosoft Defenderは、Microsoft 365 Personal契約者向けのサービスとして、Windows・macOS・iOS・Android向けに提供している。前述したMicrosoft Defenderソリューションファミリーのひとつ「Microsoft Defender for Endpoint」をベースに開発され、PCのセキュリティ状態を俯瞰(ふかん)し、他の登録デバイスのセキュリティ状態を確認可能だ。

  • PCのセキュリティ詳細情報

もっとも、ウイルス対策は従来と同様にWindows Defender、もしくはサードパーティー製ウイルス対策ソフトが担う。メリットと思われた登録デバイスのセキュリティ監視は、あくまでも示されるのは基本状態のみ。ドリルダウンによる詳細情報の確認機能は、現時点では用意していない。また、登録可能なデバイスは最大5台となる。ヘルプページでも同様の記載を確認できる。

  • 登録済みデバイスのセキュリティ情報

以上が主な機能だだが、昨年(2021年)に聞こえてきたリーク情報を目にして正式リリースを待っていた筆者としては、機能不足で少々肩すかしを食らった気分だ。個人用Microsoft Defenderをインストールしても、新たなセキュリティ機能が加わるわけではない。tだ、Windowsセキュリティで確認しにくい現在のセキュリティ状態をダッシュボードから確認して、スマートフォンのセキュリティ強化を図れるのは、「面倒くさい」を払拭できるだろう。ひとまず約1年残っているMicrosoft 365 Personalの契約期間中は使い続けてみようと思う。