日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’22』(毎週日曜24:55~)では、「喜ばれる命のつなぎ方」を求めて奮闘する畜産農家を追った『ある牛飼いの日々』(山口放送制作)を26日に放送。染谷将太がナレーションを担当する。
中国山地の山あいで先祖からの牧場を守る梶岡秀吉さん(43)。育てるのは黒毛和牛250頭。エサは輸入に頼る農家が多い中、できる限り国産にこだわり、自家製の発酵飼料や地域の稲ワラを与える。信条は「喜ばれる命のつなぎ方」の追求。獣医を目指す娘に屠畜を見せたり、帝王切開で子牛を取り上げたり、命と向き合う14年を記録した。
牧場の仕事に休みはない。家族の手も借りて維持している。牛舎の掃除や餌やりだけでなく、牛たちの体調管理のために1日4回の見回りも欠かせない。作業の合間に経営面もこなしていく。
梶岡さんが考える「喜ばれる命のつなぎ方」とは、食べてくれる人たちに「美味しい」と喜んでもらえるように牛たちを育てること。そのために、牛たちの健康面を最優先に考える。
畜産業界では、肉に「霜降り」を入れるために、牛に与えるビタミンの量を制限するのが常識だが、梶岡さんはその制限をやめた。ビタミン量の制限で失明するほど牛の身体に負担が大きいからだ。
数年前からは、黒毛和牛以外の牛も育て始めた。「ブラウンスイス」という種で、国内では「乳牛」として飼育されている。子牛が生まれるとメスは重宝されるが、問題はオス。乳を出さないオスは価値が低く、すぐに殺処分されてしまうことが多いという。梶岡さんはそんな運命のオスの子牛をひきとり「肉牛」として育てている。これも命を無駄にしたくないという思いから。
昨年からは、長女の春花さんが獣医師を目指して大学で勉強を始めた。将来は父親を側で支えたいと言う。大学が休みの日には牧場の仕事を手伝ったり、父親がする牛の「種付け」や「去勢」を見学したりしている。幼い頃から自分なりに命と向き合ってきた春花さんだが、最近ネット上に「牛を屠畜して肉を食べること」に対する否定的な書き込みを見つけ、さらに考えさせられたと言う。