フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、19日に放送された『都会を捨てた若者たち 前編 ~27歳の迷い道~』。東京での競争に疲れ、人間関係に苦しんできた青年の田舎での共同生活を追った作品で、26日に『後編~27歳の決断~』が放送される。

主人公の大地さん(27)は、常に競争社会を生き抜いてきた自分に疑問を感じ、人間関係も苦手で、“本当の自分”を探すために「非電化工房」(栃木・那須町)へやってきたが、みんなの輪から独り離れて行動する“一匹おおかみ”状態。そんな彼に「シンパシーを感じた」という蜂谷時紀ディレクター(テレビマンユニオン)が、番組を通して伝えたいこととは――。

  • 非電化工房で作業する大地さん (C)フジテレビ

    非電化工房で作業する大地さん (C)フジテレビ

■欲を抑えて不便を楽しむ生活

蜂谷Dが「非電化工房」を知ったのは、旅番組『遠くへ行きたい』(読売テレビ・日本テレビ系)で那須町を取材したときのこと。自然と調和した暮らしを目指し、自分の力で生きていく技術を共同生活で学ぶという活動に興味を持ったが、「その番組のテイストではないなと思いながら、ずっと気になっていたんです。それから、SDGsが叫ばれるようになり、コロナになって田舎暮らしをしたい都会の若者が増えてるんじゃないかと思い、同期のディレクターが『ザ・ノンフィクション』をやっていたのもあって、こっちの番組でやってみようと」と、ドキュメンタリーの企画で本格的に取材することになった。

密着する中で、自身も「非電化工房」に何度も泊まり込んだが、「敷地を歩いているとずっと山登りしているような感じで、最初は脚がパンパンになりましたし、虫もすごかったんですけど、ご飯は美味しいですし、夜は星がきれいで、虫の声も心地良いですし、ここにやってくる彼らが田舎に憧れるという気持ちが分かりました」と理解。

また、「トラブルでシャワーのお湯が出ない時期があって、ずっと水のシャワーしかなかったんですけど、その時に大地くんと温泉に行ったら、『お湯ってこんなに気持ちいいんだ!』と、何かものすごく開放された気持ちになったんです。一方で、都会に戻ると『やっぱりエアコンっていいな』と思うんですけど、あの工房で彼らが目指しているのはそういう欲を抑えて、できるだけ不便を楽しむということなんです」と解説し、そこで生活する若者たちが、「みんなたくましくなって、成長していくのを見ました」と感心した。

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■自分の生き方をそろそろ決めないといけない「27歳」

2021年度は5人の若者が共同生活を送っていたが、その中で大地さんを中心に追っていくことは、すぐに決まった。

「僕もグループの中で打ち解けられないところがあって、わりと壁を作ってしまったり、思い込んでしまったりするほうなので、似てる部分があるなと思ったんです。それと、僕は今34歳なんですけど、彼の27歳という年齢のときにテレビ業界に入ろうと思ったのもありまして。27歳って、自分の生き方をそろそろ決めないといけないというのがあるので、その気持ちがすごく分かったんですよね。本当に昔の自分を見ているようで、大地くんに惹かれていきました」

しかし、人間関係が苦手で“一匹おおかみ”タイプの大地さん。取材するのは、困難があったと思いきや、「彼の中でどう思ってくれているのか分からないんですけど、僕はシンパシーを感じて、わりとスッと仲良くなって入っていけましたね」とのことだ。