トリニティ・テクノロジーは6月22日、「認知症による資産凍結問題と、その解決策である家族信託に関する意識調査」の結果を発表した。同調査は6月3日、3,000万円以上の金融資産を保有している65歳以上の高齢者男女117名を対象に、インターネットで実施した。

  • 認知症による「資産凍結」について知っていますか

認知症で意思能力を喪失したと判断され、銀行預金を引き出せない、自宅などの不動産を売却できない、株式などの保有資産を売却できないといった「資産凍結」状態に陥ることがある。認知症による「資産凍結」について知っているか尋ねたところ、49.6%が「内容をある程度知っている」、4.3%が「内容を詳しく説明できる」と答えた。合わせると53.9%が認知症による「資産凍結」問題を理解していることがわかった。

資産が凍結(預金を引き出せない、自宅を売却できないなど)されると、自身や家族の生活にどの程度影響が出るか尋ねたところ、42.7%が「かなり影響が出る」、34.2%が「やや影響が出る」と答えた。約8割が自身や家族の生活に影響があると答えている。

  • 資産が凍結(預金を引き出せない、自宅を売却できないなど)されてしまうと、自身や家族の生活にどの程度影響が出ますか

認知症による資産凍結問題について、事前に対応を検討しておきたいと思うか聞くと、74.4%が「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた。

  • 認知症による資産凍結問題について、事前に対応を検討しておきたいと思いますか

事前に対応を検討しておきたいと思う理由を聞くと、「自分の意思を反映したいため」(70歳)、「資産管理は全部自分が行っているので、資産が凍結されると妻が困る」(69歳)、「成年後見人制度は問題が多いと聞くので」(67歳)、「家族に資産の具体的な内容を教えていないのでそろそろ開示しておいた方がいいのかと思っているから」(65歳)などの意見が寄せられた。

認知症になる前には「家族信託」、認知症になってしまった後でも「成年後見制度」を活用することにより、資産凍結を免れることができる。この「家族信託」「成年後見制度」について知っているか尋ねたところ、42.7%が「内容をある程度知っている」、3.4%が「内容を詳しく説明できる」と答えた。

  • 「家族信託」「成年後見制度」について知っていますか

成年後見制度とは、主に弁護士など裁判所に指定された第三者が後見人となり、資産の管理監督を行う制度のこと。第三者に財産を監督されてしまうと、毎月の後見人への報酬が高額(2万円~6万円)であったり、最低限の支出しか認められないなどのデメリットもある。

成年後見制度に興味があるか尋ねたところ、54.7%が「あまり興味がない」「全く興味がない」と答えた。「興味がある」より「興味がない」方が上回っている。

  • 成年後見制度に興味がありますか

家族信託とは、親世代が元気なうちに資産の管理権を子世代に移転する(信託する)ことで、万が一認知症になったときに、託された人(子)が託した人(親)のために財産を使うことができる制度のこと。成年後見制度とは異なり第三者の介入を防ぐことができ、柔軟に託す人(親)の意思に沿って財産を管理することができる。

家族信託に興味があるか聞くと、69.3%が「非常に興味がある」「やや興味がある」と答えた。「興味がある」と答えた人の割合は、成年後見制度と比較すると、家族信託の方が24.0ポイント高かった。

  • 家族信託に興味がありますか