皆さんはスマートフォンでどんなふうに文字入力してますか?
スマホにはいろいろな文字入力方法が用意されていますが、なかでもスマホならではといえるのが「フリック入力」です。
今さらな説明をすると、フリック入力とは、たとえば「い」を入力する場合に「あ」に指を添えて左にスワイプすると「い」が入力できるというやり方。上にスワイプすると「う」ですし、右にスワイプすると「え」、下にスワイプすると「お」となります。何もスライドせずにそのままタップすると「あ」が入力されるというわけです。
日本語で「あいうえお」はちょうど5文字ですから、画面上で1つのひらがなキーを使って1つの「行」のひらがながすべて一瞬で入力できてしまうのです。誰がこのフリック入力を考えたのかは存じ上げないのですが、最初にスマホでフリック入力を知ったときは「天才だろ……」とシビレまくったことを覚えています。
そんなフリック入力ですが、幼いころからスマートフォンに触れてきた、いわゆるデジタルネイティブ世代にとっては特別なテクニックではなく、息をするかのごとき日常の所作としてなじんでいるようです。
しかし、キーボードに慣れ親しんだ人のなかには、「キーボードのほうが絶対速く入力できるけど、スマホにはキーボードがないし、キーボード画面は入力しにくいから、フリック入力を使っているんでしょ?」と思っている人もいるのではないでしょうか。
たしかに、指1本でポチポチ入力するフリック入力よりも、10本の指をフルに動かせるキーボード入力のほうが圧倒的に速く入力できそうなイメージがあります。でもフリック入力も極めたらかなり速そうだし……。う〜ん、どっちが速いのか気になる!
そこで今回は!
「フリックVSキーボード! 入力が速いのはどっちだ!?」
を開催したいと思います!
対決するのは2名の大学生(フリック入力)と、マイナビニュースのベテラン編集者(キーボード入力)の計3名。3つのお題をフリックとキーボードで入力し、スピードと正確性を競っていただきます。
さっそく選手を紹介しましょう!
井上さん(大学生)「ライターの仕事をフリーランスでしていて、その仕事もスマートフォンでやっているので、人よりは少し速いのではないかなと感じます」
山口さん(大学生)「タイピングのアプリで上位1%のスコアを出したので、自信があります」
磯さん(マイナビニュース編集部)「いま50歳なんですけど、10歳のときに初めてマイコンを買って、当然キーボードがあって、速く打ちたいなと40年打ち込んできた、その40年の歴史を今日がんばって出したいなと思います」
……ということで、3名の猛者が集った今回の勝負。3つのお題に挑んでいただきましょう。基本的には入力にかかった時間が短い人の勝利となりますが、速さだけではなく正確性も重要なので、誤字1つにつき1秒を加算し、トータルタイムの速さで競います。
まずは初戦!
お題の文章を速く正確に入力した人の勝利となります。数字や記号、スペースの半角全角は問いませんが、改行や記号については正確に入力していただきます。
さあ、それでは……レディ……GO!
井上さん、山口さん、磯さんの3名が一斉に手を動かし始めました!
……。
…………。
待って待って。
フリック、速!
え、こんなに速いんだ、フリックって。キーボードが明らかに有利なのかと思っていましたが、そんな予想は目の前の光景に一瞬で覆されてしまいました。
これは、かなりいい勝負になりそうです!
さて、選手の皆さんが入力しているうちにちょっと解説しますが、これ相当いやらしい問題ですね。
まず歴代総理大臣の名前を入力する機会って、日常でほとんどないと思います。指が慣れていないでしょうし、数字と記号、スペースがたっぷり使われていて、キーボードでもフリックでもミスしそうな箇所がとても多いんです。
特に「◆」をどう処理するのかがポイントかもしれません。調べたところフリック、キーボードともに「しかく」、または「だいや」で変換できるようですが……、ここでもたつくと勝負を分けそうです。
……とか言っているうちに井上さんが早くも書き上げました!
は、速い……! マジで!?
圧倒的スピードで書き上げた井上さんに遅れること15秒で、磯さんがフィニッシュ! さらに5秒後、山口さんも書き終わりました。
井上さんの圧勝かと思われた第1戦でしたが……ここで波乱が。
どうやら井上さんが「◆歴代総理大臣」の部分を入力しなくていい箇所だと勘違いされていたようで、この部分が丸々ミスとして秒数が加算されることに……。
ただ、その加算分11秒を考慮しても、井上さんが僅差で逃げ切りとなりました!
個人的に見ていて感心したのは、山口さんが数字の「4」を左フリックして「○」を表示し、その変換候補にある「◆」を出していたこと。それと、井上さんが「第100代」などの数字混じりの言葉をすべてひらがなからの変換で呼び出していたことですね。フリックで数字を入力するためには画面を切り替える必要があるので、ひらがなで変換したほうが速いということなのでしょうか。
井上さん「ルールを少し勘違いしてドキドキしましたが、なんとか勝ててよかったです!」
山口さん「初戦ということもあって緊張しましたが、少しほぐれてきたので次は勝ちを狙います!」
磯「横で井上さんが手を挙げたときは『嘘でしょ!?』と思いました。想像以上にフリックが速くてびっくりです……。でも、やっと手が温まってきたので、ここから連勝しますよ!」
気合い十分の3名。さあ、続いてのお題はこちら!
1つ目のお題がカーブだらけのテクニカル峠越えコースだとしたら、続いては湾岸ロングストレートでの純粋なスピード勝負! 提示されたテキストを正確に速く入力していただきます。もちろん、1ミスごとに1秒加算されます。
それでは……レディ……GO!
3名とも、先ほどよりも明らかに速く手が動いています! やはり記号やスペース、改行がないのでフリックもキーボードも入力しやすいのでしょうか。
ところで、ここで気づいたのですが、フリック入力のスタイルも人によって若干違うんですね。
井上さんも山口さんも両手を使ってフリック入力していますが、井上さんは右手が人差し指、左手が親指を使っているのに対し、山口さんは右手も左手も親指を使っています。また、井上さんは左手を要所要所で使っていますが、山口さんは比較的均等に左右の指を使っている印象です。
フリックにもスタイルがあるなんて……もしかすると、そのうちフリック入力の流派が確立される時代がくるのかもしれませんね。
……そんなことを考えてうちに、山口さんが書き上げたようです! 速い!
わずかに遅れて磯さん、そして井上さんもフィニッシュ!
ミスの数次第では逆転もありえる差でしたが、判定の結果、山口さんはミス無し!
ということで、文句なしに山口さんが第2戦の勝者となりました。
山口「初戦の緊張が解けて、いい感じに指が動きました!」
井上さん「今回は力を出しきれませんでした。悔しいです!」
磯さん「うーん、今回はいけると思ったのに……あれっ!? ちょっと待って!? もしかして、この企画これでもう終わりじゃない?」
……そうなんです磯さん。今回の対決は「フリックVSキーボード」だったので、最終戦を待たずしてフリック入力の勝利が決まってしまいました。
記事の展開的には1対1で最終戦にもつれこむと盛り上がるのですが、やらせではなくガチのマジで対決しているので、こういう展開も仕方ないところです。
とはいえ、このままでは終われませんよね、磯さん!?
磯さん「一矢報いたい! せめて1勝はしたい!」
OK、やりましょう! もう結論は出てしまったけど、キーボードだってやれるんだってところを見せてやってください!
最後の対決はスピード対決自由型!
決まった文章を書くのではなく、お題に沿って自分自身で文章を考えて、自由に入力していただきます。ただし、意味が通らない箇所や誤字脱字は認められないので、書き上がった文字数からマイナスされます。
磯さん「頭で内容を考えて文章を書く作業は、いつも仕事でやっていることですからね! 負けませんよ!」
そういえば、最終対決のお題はそのまま記者の仕事と同じですよね。これはフリック組には厳しいか!?
それでは……40年の想いをのせて……レディ……GO!
一斉に手を動かし始めた3選手!
10秒…… 20秒…… 30秒……
……
…………
1分! そこまで!
勝者……
井上さん!!!!!
磯さん「…………」
1人だけ半角換算300文字を突破した井上さんが圧勝!
井上さん「うれしいです! いつもフリックで長文を書いていた経験が生きたのかもしれません」
ということで、最終的な結果はこのようになりました!
【結論】フリックとキーボードではフリックが速い
事前の予想では、「フリックも善戦するかもしれないけど、とはいえキーボードでしょ」と思っていたのですが……すみません。フリックなめてました。
もちろん、もっとタイピングの速い人ともなるとまた話は変わってくると思いますが、少なくとも今回は、毎日タイピングしているベテラン記者をフリック入力が上回ったという結果に。
とはいえ、スマホに最適化されたフリックとPC用のキーボードでは用途が違いますから、どちらかが完全上位互換というわけではありません。フリックもキーボードもうまく使い分けていきたいですね!
……と、ものすごく雑な締め方をしてしまいましたが、フリックVSキーボードはすごく盛り上がるので、ぜひ皆さんも周りの誰かと勝負してみてはいかがでしょうか。