東京商工リサーチは6月22日、第22回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は6月1日~9日、大企業および中小企業6,472社を対象にインターネットで行われた。
新型コロナウイルスの企業活動への影響について聴取したところ、「影響が継続している」が最も多く68.7%と、4月の前回調査から1.3ポイント改善。一方、「影響が出たがすでに収束した」と答えた企業は15.1%と過去最高を記録し、初めて15%を超えた。新規感染者の減少が続き、感染防止と経済再活性化への動きが進み、企業活動への影響も緩和されつつあることがうかがえた。
しかしながら、「影響が継続している」「影響が出たがすでに収束した」と回答した企業に対し、「2022年5月の売上高は、コロナ禍前の3年前(2019年)5月を100とすると、どの程度でしたか?」と聞いたところ、コロナ前を上回った(横這い含む)企業は38.5%にとどまった。61.4%の企業で減収となり、特に、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」(26.4%)や、いわゆるアパレル関連の「織物・衣服・身の回り品小売業」(18.1%)の売上高がコロナ前の半分以下に。
一方、売上高が「101」以上の回答をそれぞれ業種別でみると、前年5月との比較では、「宿泊業」(89.2%)や「飲食業」(80.4%)で8割を超え、コロナ禍前との比較では、「木材・木製品製造業」(48.2%)や「化学工業,石油製品製造業」(44.1%)で高い結果に。いずれも、原材料価格の高騰や品不足による販売単価の上昇も影響しているとみられる。
「新型コロナウイルス」の感染拡大を防ぐため、在宅勤務・リモートワークを実施してるか聞いたところ、「在宅取りやめ」が27.2%、在宅勤務を「現在、実施している」は、29.1%だった。同一設問を設定した第18回調査(2021年10月)は37.0%で7.9ポイント下落した。
一方、「実施したが取りやめた」は27.2%(1,765社)だった。第18回調査の20.7%から6.5ポイント増加した。この結果、現在実施していない企業は70.8%に達した。規模別では、大企業で「現在、実施している」は56.9%に対し、中小企業は24.4%だった。
「現在、実施している」と回答した企業のうち1,607社に従業員の「在宅率」を聞くと、最多は「1割」(25.2%)だった。7割以上は、30.9%。
次に、「コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性はありますか?」と尋ねたところ、5.1%が「ある」と回答。4月の前回調査から0.6ポイント改善し、2020年8月に設問を設定して以降、最少となった。
廃業検討の可能性が「ある」企業を業種別で分析すると、構成比が最も高かったのは、「飲食店」の30.0%。以下、「その他の生活関連サービス業」(21.0%)、「宿泊業」(16.6%)と続き、廃業検討の時期については、「1年以内」(33.0%が最も多かった。
また、再生支援協議会や事業再生ADR、民事再生法などを活用して「事業再生」を検討する可能性についても聞くと、3.4%が「ある」と回答。「事業再生」の検討時期については、6割近くが「1年以内」(58.2%)と回答した。