ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付ができる制度です。寄付をすると、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。税金の負担が減る嬉しい仕組みですが、中には、「本当に税金が控除されたのだろうか」と不安になる人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、ふるさと納税で住民税が控除されたか確認する方法や、ふるさと納税による住民税の控除額を計算する方法などについて解説します。

  • ふるさと納税、住民税は控除されているか確認する方法

■ふるさと納税と住民税

<ふるさと納税とは>

ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付を行うと、寄付金のうち2,000円を超える部分については、所得税の還付・住民税の控除が受けられる制度です。「納税」という名前が付いていますが、自治体に寄付したお金は寄付金として扱われるため、ふるさと納税の利用者には「寄付金控除」が適用されます。

なお、ふるさと納税で寄付をすればいくらでも税金の控除が受けられるわけではなく、控除される金額には上限が設けられています。控除上限額は収入や家族構成によって異なりますので、ご自身の上限の目安を把握してください。

各ふるさと納税サイトでは、ご自身の控除上限額がシミュレーションできたり、収入や家族構成ごとの控除上限額の目安が掲載されていたりします。これらをぜひ参考にしてみましょう。

<住民税の控除はいつから確認できる?>

住民税は、ふるさと納税を行った翌年6月以降の1年間で控除されます。住民税は、前年1月1日~12月31日の所得をもとに課税され、翌年6月から徴収が始まるからです。ふるさと納税による控除分が差し引かれることで、月々の住民税の負担は軽減しています。

また、ふるさと納税できちんと住民税が控除されたかどうかは、毎年5~6月に勤務先から渡される「住民税決定通知書」で確認できます。すでに配布されたという人は、通知書を見てみましょう。住民税決定通知書のどこを見ればいいのかについては、後ほど解説します。

ちなみに、ふるさと納税による所得税の還付は、確定申告の1~2カ月後に行われます。つまり、翌年の4~5月ごろです。なお、ふるさと納税で還付や控除を受けるには、年末調整ではなく確定申告をする必要があります。

「ワンストップ特例制度」を利用する場合、確定申告は不要となりますが、所得税の還付はなく、全額が住民税から控除されます。

<住民税の控除額を計算する方法>

ふるさと納税における住民税の控除には、「基本分」と「特例分」があります。それぞれの控除額を割り出す計算式を見てみましょう。

・基本分の控除額の計算式

(ふるさと納税額-2,000円)×10%

なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限となります。

・特例分の控除額の計算式

特例分は、住民税からの特例分の控除が住民税所得割額の2割を超えない場合、以下の計算式となります。

(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率×復興特別所得税率1.021)

一方、住民税からの特例分の控除が住民税所得割額の2割を超える場合は、以下の計算式で求めます。

(住民税所得割額)×20%

・モデル世帯による控除額の計算例

では、ふるさと納税で住民税からどのくらいの金額が控除されるのか、モデル世帯を例に計算してみましょう。たとえば、「夫婦共働き、寄付者本人の年収は600万円、大学生の子どもが1人」の会社員の場合、ふるさと納税の控除上限額は、6万円が目安です。

上限いっぱいにふるさと納税を利用した場合、住民税からの控除の基本分、特例分は以下のように計算します。なお、特例分の計算で用いる「所得税の税率」は、10%とします。

基本分=(6万円-2,000円)×10%=5,800円
特例分=(6万円-2,000円)×(100%-10%-10%×1.021)=46,278円

「基本分5,800円+特例分46,278円=52,078円」で、ふるさと納税によって住民税から控除される金額は、約5万2,000円となります。

■住民税決定通知書の見方

次に、ふるさと納税で住民税が控除されているかどうかを「住民税決定通知書」で確認してみましょう。住民税決定通知書の書式は自治体ごとに異なりますが、「寄付金控除額」もしくは、「税額控除額」の欄に控除分が記載されています。

  • 「住民税決定通知書」

ちなみに、所得税の還付金額については、確定申告書控えの「還付される税金」欄に記載されています。もしくは、還付金がある場合に郵送される「国税還付金振込通知書」でも金額を確認できます。

ただし、医療費控除など他の控除も受けている場合には、合算された金額が記載されますので、その点に気を付けましょう。

■住民税決定通知書で控除額を確認しよう

ふるさと納税による住民税の控除は、住民税決定通知書で確認できます。昨年ふるさと納税を利用した人は、「寄付金控除額」または「税額控除額」の欄を見てチェックしてみましょう。

また、住民税決定通知書には、今年の住民税の税額はいくらか、どのような所得控除をどのくらい受けたかなど、大切な情報がさまざま記載されています。ふるさと納税をしたかどうかにかかわらず、住民税決定通知書には毎年忘れずに目を通すようにしましょう。

<参照>
総務省:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)