八芳園とジョイゾーは6月22日、DX支援を目的とした業務提携を締結した。第1弾として、ブライダル業界のDXに特化した営業支援プラットフォーム「IRERO ~indicate real road~」(以下、IRERO)の提供を開始する。同日、メディアに向けてオンライン説明会が開催された。
■提携の狙い、果たす役割
今回の業務提携によるスキームは、以下の通り。総合プロデュース企業八芳園では、顧客に向けてDXコンサルティングを行い、ジョイゾーに対しては「J Camp」などサービスの実施を依頼。ジョイゾーは八芳園に対してシステム開発のノウハウを提供し、顧客に向けては「J Camp」などを提供する。
八芳園では2022年3月より、自社DXのノウハウを生かした伴走型DX推進支援サポート「SOLVE EIGHT」事業を展開してきた。今回の提携により、八芳園の強みであるプロデュース力とおもてなしの心を基礎とする「伴走型支援」と、ジョイゾーが対面開発で培った顧客とともに成長するシステム開発のノウハウが融合し、新たな価値を提供することが可能になるという。
八芳園が提供するIREROは、サイボウズkintoneを使ったオリジナルシステム。その特徴について、豊岡氏は「婚礼に関する情報をkintone上で一括管理します。1つの画面で閲覧/登録できるシステムです。1組の婚礼を行うとき、裏では花屋、衣装会社など、さまざまなスタッフが動いています。そうした関係者がシームレスに情報共有できるサービスとなっています」と説明する。
「担当プランナーじゃないと知らない情報がある、衣装のことは衣装会社さんに聞かないと分からない、ということのないように脱属人化を目指します。また、ブライダル業界ではペーパーレス化が進んでいません。紙の書類をもとにプランナーがシステムに打ち込んだり、書類に記入するためにお客様にご来園いただき、何度も『お名前』『住所』を書き込んでいただいている状況です。ペーパーレス化により、無駄な時間を削減できると考えています」(豊岡氏)
2社が提携する意義について四宮氏は「ベンダーと事業会社という立場の違う2社ですが、企業DXを推進する、という同じマインドを抱いています。IT化がDXの目的ではなく、業務改善の先にDXがあるという考え。2社が提携することで、安心と信頼のDXサポートが実現できるのではないかと期待しています」と説明した。
■なぜデジタル化が遅れている?
最後に、質疑応答の時間がもうけられた。
ブライダル業界はなぜデジタル化が遅れているのか、と問われた豊岡氏は「いままでやってきた作業を新しく変えていくことに抵抗がある企業さんが多いと感じます。作業効率を向上したい、ペーパーレス化はやりたい、でもやり方が分からない、うちの会社では無理そう……という声を、現場で聞く機会も多いです。我々もコロナ前までは会社で作業していましたが、お客さんもスタッフも現場に来られない状況になってDXが進みました」と回答。
SOLVE EIGHTはブライダル業界のほか、どのような職種で利用されることを想定しているか、という質問に豊岡氏は「最近、多いのが不動産業界、あとは工場のような現場があって本部の事務員がいるような業種が多いです。中でも大手と違い、自社にシステム部門をもっていない中小企業ですね。仕事を抱えている現場のいちスタッフが、システム導入を押し進めていくことは困難です。そうした方たちのお役に立てれば」と説明した。