アップルが、新しい13.3インチのMacBook Proを発売します。自社設計のSoCである「Apple M2」チップを載せたMacがいよいよ登場! M1チップ搭載MacBook Airのユーザーである筆者が、新しいProを使ってどれぐらい「欲しくなった」のか報告します。
10万円台で買えるMacBook Pro
今回筆者が試した13.3インチMacBook Proは、SSDストレージの容量が256GB、カラーはスペースグレイ、8GBユニファイドメモリ搭載の基本仕様モデル。Apple Storeの価格は178,800円です。
Apple Storeから購入する場合、メモリは最大24GB、ストレージは最大2TBまでのカスタムオーダーができます。両方を最大スペックまで“フル盛り”にすると、価格は346,800円になります。
Apple M2の魅力は、M1に対する処理パフォーマンスの向上を実現しながら、重いマルチタスクを実行しても消費する電力は相変わらず少なく抑えられることです。2020年秋に発売されたM1チップを搭載するMacBook Proから進化したポイントは、動画ファイルの処理に特化する「メディアエンジン」を、14インチ/16インチのMacBookと同様に搭載したことです。プロダクトのデザインと外形寸法はM1搭載機から変わっていません。
M2搭載MacBook Proが欲しくなった、3つのポイント
筆者がM2搭載MacBook Proを使ってみて「欲しくなったイイところ」は3つあります。
ひとつは、プレミアムクラスのハイインピーダンスヘッドホンもガンガン鳴らせる、高出力の3.5mmヘッドホンジャックを搭載したことです。筆者は仕事柄、あるいは趣味としてMacBookをヘッドホンリスニングに使う機会が多くあります。外付けアンプを接続しなくても、愛用するベイヤーダイナミックの「T1 2nd Generation」(インピーダンスは驚異の600オーム!)がスムーズに鳴らせる新MacBook Proのパワーに感心しました。
続くポイントは「Touch Bar」です。筆者は、長らくMacBookシリーズはデザインの好みにより“Air派”を貫いてきたので、Touch Barにさほど馴染みがありません。気が付けば、もはや14インチ/16インチのMacBook ProからTouch Barが省略されてしまったので、このユニークでルックスも映えるユーザーインターフェースを搭載するマシンは13インチのMacBook Proを残すのみとなりました。
Touch Barは、macOS上でユーザーが実行するアプリケーションに合わせた操作パネルを表示してくれます。インタビューを収録した音声ファイルをQuickTime Playerで再生しながらサーチによる頭出しをしたり、iPhoneで撮った動画をiMovieで手早くカット編集する作業などに、Touch Barがあればとても楽です。マウスやトラックパッドによるクリック操作がざっくりと省けてしまうからです。慣れてしまうと、Touch BarのないMacに後戻りができなくなりそうです。
3つめのポイントは、FaceTime HDカメラの画質が良くなっていたことです。スペック上の数値はM1搭載のMacBook Proと同じ720pですが、M2チップのISP(画像信号プロセッサ)が一新されたことで、色の乗りが鮮やかになり、コントラストに抑揚が増しています。これまで、オンラインミーティングやDMM英会話の際に「山本さん、今日顔色悪くないですか?」と心配されることが、なぜか多々ありました。新しいMacBook Proに買い替えればイメージアップが図れそうです。
ここを比べて、M1搭載MacBook Airからの買い替えを検討した
M2搭載MacBook Proは「M1 Airからの買い替えにベストなのでは?」という思いが強くなってきました。さらに一歩踏み込んで、M1搭載MacBook Airとの違いを比べてみたいと思います。
M2 ProがM1 Airと比べて“良い意味”で変わらないと感じる点のひとつは「薄さと軽さ」です。
M2 Proは、本体のパネルを閉じた時の厚みが約1.56cm。“くさび形”のウェッジシェイプデザインを特徴とするM1 Airは最薄部が0.41cmですが、厚い箇所は1.61cmになるため、むしろMacBook Proの方が手に持つと全体に薄さが実感できるかもしれません。どちらも13.3インチのRetinaディスプレイを搭載しているので、縦横サイズは一緒です。
質量は、M2 ProよりもM1 Airの方が約0.11kg軽い1.29kgです。スペック上はAirの面目が立ったかたちですが、実機を持ち比べてその差に気が付くユーザーは少ないと思います。
物理キーボードのタイピング感は人それぞれに好みが分かれるところだと思いますが、ProとAirのMagic Keyboardは同じぐらい静かに心地よくタイピングができます。筆者は、M2 Proの方がキーストロークが暴れず安定する手応えがありました。
M1 Airと比べた時に、M2 Proがあまり変わっていないことから“物足りない”と感じるところもあります。
ひとつは、上位の14インチ/16インチのMacBook Proや、発売を控えるM2搭載MacBook Airに採用されたマグネットによる着脱式のMagSafeケーブルがないことです。何かの拍子に意図せずケーブルにテンションを掛けてしまった時に、MagSafeなら端子や本体を痛めることなく外れてくれる安心感があります。
もうひとつ、M2 Proにも新色が欲しかったです。Proシリーズのデバイスは、iPadもシルバーとスペースグレイの手堅い2色展開ですが、1色新しい色が加わるだけでもMacBook Proが進化しているイメージをより強く打ち出せた気がします。
価格も真剣検討。あのモデルも候補に入ってきた
最後の検討要素であり、大きな決め手になるのは、やはり“お値段”のこと。M2搭載MacBook ProのApple Storeでの価格は178,800円からになります。M2搭載MacBook Airの発売後も併売されるM1 Airは134,800円から。差額は43,200円になります。
筆者は、写真や動画ファイルをMacに保存して持ち歩くことが多いので、最低512GBのストレージは確保しておきたいです。そうなるとM2 Proの価格は206,800円になります。表示領域の広いLiquid RetinaディスプレイやMagSafe 3を搭載する新型のM2搭載MacBook Airの512GBモデルの価格である208,800円にも拮抗してきます。
さらに高性能なM1 Proチップを搭載する、14インチMacBook Proの512GBモデルの背中までが見えてきます。価格は274,800円。魅力的なMacBookの中から、どのモデルに買い替えれば良いのか悩んでしまいます。
筆者は、13インチのMacBook Proには、そのポータビリティの高さとTouch Barを搭載するユニークなインターフェースにより、他のMacBookをもって代えがたい魅力があると思います。M2搭載MacBook Airとの比較も十分に重ねつつ、自分の期待に応えてくれるベストなMacを選びたいものです。