東映と東映ビデオがプロジェクト「ムービー(映画)とステージ(演劇) の挑戦的な融合」として立ち上げた【東映ムビ×ステ】。このほど、ワタナベエンターテインメントとともに、新たに【ムビ×ステ】として第3弾映画『漆黒天 -終の語り-』(6月24日公開)、舞台『漆黒天 -始の語り-』(8月・9月上演)が展開される。
記憶をなくした流浪の男の物語を描いたオリジナル作、映画・舞台ともに主演の荒木宏文、脚本の末満健一がタッグを組む。今回は主人公の名無し(荒木)が出会うこととなる、邑麻二郎太役の松田凌、邑麻三郎太役の長妻怜央(7ORDER)にインタビュー。兄弟役を演じた2人に迫った。
■兄弟役としてカメラの外でも交流
――最初に謝罪させていただきたいのですが、先日Huluの『セブオダREBOOOOOOORN! 7ORDER進化計画』という番組の取材をした時に、弊社の動画の企画で長妻さんが鼻血を出してしまって…
松田:えっ!?
長妻:たまたま!
松田:マジで!?
長妻:番組をモノマネでPRしたんですけど、はりきりすぎて鼻血が出ました。
松田:そうやって頑張るのが怜央のいいところなんです!(拍手) でも大丈夫!?
長妻:全然、大丈夫でした(笑)
松田:僕も今度見せてもらいたいと思います。鼻血ではなく、モノマネの方を!(笑)
――それだけ長妻さんからパワーも感じました。お互いの印象はいかがでしたか?
松田:この映画が初共演で、怜央のことを応援してくださってる皆様のイメージというものがあると思うんですけども、まんまです! とても純粋で、怜央が役に向かっていく真っ直ぐさに触れて、改めて自分も「こういう心を忘れちゃいけないな」と思わせてもらえました。彼がもともと持っている、人に愛されるポテンシャルも、初めて会った日から感じました。とても好印象で、見た目とか顔立ちだけではなく、中身もすごく潔くて素敵な方だなという印象です。
――松田さんは7ORDERの萩谷慧悟さんとも舞台『TXT vol.2「ID」』で共演されてますよね。
松田:慧悟ともご一緒して、目指せ、7ORDER制覇!(笑)
長妻:(笑)
松田:ぜひとも色々な方々とご一緒できたらなと思いました。怜央にも「凌くんとメンバーが一緒になってほしい」と言ってもらって、いろんなお話を聞いて、すっかり7ORDERファンになっちゃいました。
長妻:僕は今回の共演まで凌くんに会ったことがなかったんですが、メンバーの萩谷から話を聞いて、もうずっと好きでした。
松田:(笑)
――会う前から好きだったんですね。
長妻:早くご一緒させていただきたいなと思ったらすぐにお話があったので、すごく嬉しかったですし、実際に会ったらお話を聞いていた通りでした。ただ、僕が舞台で見たときの凌くんは「アンジ」というすごく怒っているキャラクターだったのに、お会いしたらすごく優しかった。そのギャップはありました。
松田:たしかに(笑)
長妻:凌くんはお芝居に対しての姿勢が素晴らしくて、シーンを終えると「もっとこうすればよかった」と悔やしがっていたりするんです。僕も少なからずそういう経験があって、絶対にそういう気持ちになります。凌くんは僕にとってお兄ちゃんで素晴らしいのにもかかわらず、そういう気持ちで毎回シーンに臨んでいるというところが素敵でした。
――以前、松田さんが主演を務められていたドラマ『男水!』のプロデューサーを取材した時も「熱い男」と話題になっていましたが、そういうところはやっぱり感じられましたか?
長妻:もう、アチアチですよ。
松田:アチアチ(笑)
長妻:アッチアチです! 映画の自分たちの撮影期間は1週間ぐらいだったんですけど、ずっと楽屋に遊びに行っちゃいました。
松田:嬉しかったです。来てくれるんですよ。ちらっと楽屋を覗いてくれるので、僕も「入っておいで」と。アプローチをしてくれているんだなと伝わっていたし、兄としても僕としても嬉しかったです。撮影初日には、怜央から「今回兄弟役ということで、“あんちゃん”と呼んでもいいですか?」と言われ「もちろんいいよ」と言ったら、その後「兄弟ということで、タメ口でも大丈夫ですか?」と。律義な方だなと嬉しくて、怜央が第1歩目で近づいてくれたからやりやすかったというのは、間違いないと思う。
――松田さんのお兄ちゃん感はいかがでしたか?
長妻:めっちゃ感じました! 僕、演技に色々出ちゃうので、根っこから仲良くさせてもらえたら良いなあという気持ちでやらせてもらいました。僕はちょっと不器用なので、カメラに映る以外のところでどれだけできるかみたいなところを考えていたら応えていただいたし、そういうことがあったからこそ、話しやすいと思いました。
■主演・荒木のストイックさに驚き
――ムビ×ステ第3弾となりますが、企画自体にはどのような印象がありましたか?
松田:斬新ですよね。この企画自体が革命的というか……僕も演劇を中心に俳優をやらせていただいてますけど、映像の現場に出てみてすごく学べることが多くて、もっと出られるようになりたいと改めて思ったし、映画と舞台が濃密に関わっていくのはお客様にとっても面白いだろうなと思うので、自分達にとってもありがたい企画だなと思います。
長妻:以前、メンバーの安井くん(謙太郎)が出演していたのを見させてもらって、どちらも見たくなるような作品作りって素晴らしいな、面白いなと思いました。演じる方も見る方も面白いし、すごく好きでした。ただ、映像と舞台でアプローチも多分変わると思うんです。僕個人としては、先に映画で共演者さんと一緒の時間を過ごして、舞台でまた会えるというのは嬉しくて、舞台をやらせていただく上で、すごく良い環境だなと感じました。
――末満さんの作品は容赦ない展開でよく「地獄」と表されたりもしますが、お二人は今作に触れていかがでしたか?
松田:僕は末満さんの世界観がもともと好きなので、もう委ねているというか、その世界を必死に生きるだけなんですけど、正直なところ難しかったですね(笑)。やっぱり結末から描くので、この後また舞台としてエピソード0という“前日譚”を演じると考えると、果たしてそのつながりをどうするのかと。自分たちも映画の撮影の段階では想像でしか膨らませてなかったので難解だなと思いましたけど、想像できないようなものが待っているとするなら、僕らも期待を込めて、楽しんでもらえるように深掘りをしていければと思いました。
長妻:みんなで「過去はどういう感じだったのかな」と話しながら演じるのが、すごく楽しかったです。僕は末満さんと初めてご一緒するんですけど、なんだか怖いらしいという噂だけはお聞きしてて……。
松田:(笑)
長妻:でも、愛があってのことなのかなとも思いますし、僕はだいたい壁にぶつかって本番を迎えることがすごく多い。作品を世に出すまでに苦しむ過程も好きというか……Mなのかな?(笑) 苦しんで、終わった時の達成感や成長を感じられる方が好きなので。末満さんにお会いするのもすごく楽しみです。
――実際、怖いんですか?
松田:愛がある方だと思います。作品に対しても演者に対しても情熱と愛をもっているから、叱咤激励が出る時もあるけど、怜央みたいに真摯に作品に向かっているなら絶対に大丈夫です。
――主演の荒木さんについて印象的だったことはいかがですか?
松田:あの人以上にストイックな方を、知らないかもしれません。きっといろんなところでも語られていると思うんですけど、荒木さんが主演でいることの安心感がすごくて、自分たちもやらなければと思わされます。今回も、撮影が大変な中で人間としての弱さを見せないぐらい、主演の立ち方を見せていただきました。映画の時もそうだし、舞台の時も変わらないと思うし、荒木さんについていけば大丈夫というぐらいの方だと思います。背中を見せてくれるタイプで、例えば僕らは朝早い時も撮影場所の太秦まで電車で移動したりしていたんですけど、荒木さんはホテルから40分超かけて歩いてましたからね。
――それは何か理由が…?
松田:理由がある、とかの次元じゃないんじゃないかな。凄まじいです。僕らは眠気まなこで眠いって行っちゃうんですけど。もうそんなところからすごい方です。怜央も「荒木さんすごいですね!」と言ってたよね。
長妻:そうですね。すごくストイックな方で、背中が大きく感じました。僕がバッと振り返って荒木さんを見るシーンもあったんですが、本当に「大きな背中だなあ」と思って。でも印象的だったのは、撮影の途中に話しかけていただいたことで、荒木さんがかわいらしかったんです。「今、何考えてるの?」みたいなことを聞かれたんですが、僕はその時全然お芝居と関係ないことを考えていて。正直に話したらツボだったみたいで、それまでかっこいいなと思ってたんですけど、笑うとかわいい方なんだなと思いました。
松田:(笑)
――荒木さんの笑顔がかわいかったということですか?
長妻:笑顔、かわいかったです! だから舞台でご一緒できるということで、より深いお話をさせていただけたらと思っています。
――最後に、ここを見てほしいというポイントなどありましたら教えてください。
松田:すごく複雑なお話だと思うんですが、実は色々なヒントが散りばめられていまして、最後に見終わったときには「この先はどうなっていくんだろう?」「この前はどんな話だったんだろうと?」と、いい疑問が生まれる、新しい作品になってると思います。そして僕たち、兄弟です!(笑) この兄弟の絆も見ていただけると幸いです。
長妻:僕は殺陣が印象的で、すごく速い手だったんです。2人で戦ったりもするので、兄弟愛を感じますし、色々なキャラクターの色々な気持ちが入り混じって、より素晴らしい作品に仕上がったなと思います。観ていただいた方の面白かったところを教えていただけたら、より嬉しいです。
■松田凌
1991年9月13日生まれ、兵庫県出身。ミュージカル『薄桜鬼』シリーズ(12年〜14年)、仮面ライダー鎧武/ガイム(13年~14年)、『Messiah メサイア』シリーズ(13年〜15年)などで人気を博し、舞台『K』シリーズ(14年〜)、ドラマ&舞台『男水!』(17年)、『東京喰種』(17年)シリーズなど主演作も多数。近年では舞台『刀剣乱舞』(21年)、舞台『東京リベンジャーズ』シリーズ(21年〜)などに出演する。
■長妻怜央
1998年6月5日生まれ、茨城県出身。7ORDERのメンバーとして活躍し、近年はSCHOOL STAGE『ここはグリーン・ウッド』(19年)、ディスグーニー公演 舞台『DECADANCE』―太陽の子―(20年)、『タンブリング』(21年)、舞台『アクダマドライブ』(22年)などに出演。萩谷慧悟とのW主演舞台であるDisGOONie Presents Vol.11 舞台「Little Fandango」(6・7月上演)、映画『ラストサマーウォーズ』(7月1日公開)公開を控える。