一方、カリフォルニア大チームは若干異なる結論を導いていて、別の論文を提出したとする。この見えないコンパクトな天体は、2280~6260光年の距離にあり、質量が太陽の1.6倍から4.4倍と推定。死んだ星の残骸がブラックホールになるには太陽質量の2.2倍以上必要と考えられているため、この天体は中性子星である可能性も否定できないとしている。

また、今回の天体がブラックホールだった場合、銀河系に存在するその総数は約2億個で、これはこれまでの多くの予測とほぼ一致していることが結論づけられたともしている。

なお、同天体は、ブラックホールであれ中性子星であれ、ほかの星と対になっていない暗くて見えない恒星の残骸が銀河系をさまよっているのを発見した最初の例だという。そのため、研究チームでは、このようなコンパクトな高密度天体が天の川銀河にどれくらい存在するのかを明らかにすることは、星の進化、特に星の死に方、そして銀河系の進化を理解するのに役立つとしているほか、一部の宇宙理論研究者が提唱する、ビッグバンで大量に作られたと考えられている「原始ブラックホール」の存在量を明らかにできる可能性があるともしている。

また、カリフォルニア大のチームでは、現在も候補天体の観測が可能なことから、ハッブル宇宙望遠鏡による追加観測を2022年秋にも行うことを予定しており、この追加観測により、ブラックホールか中性子星かが判別されることとなることが期待されるとしている。