40Ca原子核は、陽子・中性子ともにその個数が魔法数の20個であることから安定しており、基底状態はスピン0の球形となる。励起状態にもスピン0の状態が2つあり、それが通常の変形状態と超変形状態だとする。
この3つの異なる形状を持つ40Ca原子核でのスピン0の状態間を電子・陽電子放出により崩壊する遷移を観測したところ、超変形状態と球形基底状態間の遷移は、ほかの遷移に比べ予想外に著しく抑制されていることが発見されたという。
また、大規模殻模型計算に基づいた理論解析により、超変形状態から球形への崩壊では量子力学的な干渉効果によって遷移強度が極端に小さくなることが判明したともする。これは従来の研究では考慮されなかったものであり、この発見により原子核の変形共存現象の解明が進展し、さらにはそれに強く影響を受ける宇宙での元素合成過程や原子核の魔法数進化現象の理解にも寄与すると期待されると研究チームでは説明している。