具体的には、ナノメートルオーダーのセンダスト合金薄膜を作製し、その磁気特性を調査。その結果、バルクと同等以上の軟磁気特性を示すセンダスト薄膜を作製することに成功したという。
バルク状態では、優れた軟磁気特性を示すセンダスト中心組成は組成図上の1点のみであり、その作製が困難であることが従来の常識とされてきた。ところが今回の研究により、その軟磁気特性の発現機構が、薄膜試料中のD03規則構造の割合と、アルミニウム(Al)濃度のバランスであることが判明。原子規則度の低下に伴い、軟磁気特性が発現するAl濃度が増加することが明らかになったとする。
薄膜における原子規則度は、成膜後の熱処理温度によって比較的容易に制御可能であることから、従来よりも極めて広範囲の組成域でセンダスト薄膜の優れた軟磁気特性が実現可能であることが示されたと研究チームでは説明する。
また、今回開発されたセンダスト薄膜は、脳磁計などへの応用が期待されるトンネル磁気抵抗(TMR)センサへの応用が可能であり、既存の材料よりも優れた軟磁気特性を示すため、その感度を向上させる新材料として期待されるとしている。
なお、研究チームでは、今回の研究をきっかけに、TMRセンサ以外のスピントロニクスデバイスへの応用展開も期待され、センダスト薄膜の研究が広がっていくことが考えられるとしている。