40ミリ秒角の解像度とは、たとえるなら東京からおよそ500km先の大阪にある野球のボールを簡単に見つけることができるというレベルだという。そうした視力を活用することで今回、アルマ望遠鏡は銀河系中心部に太陽の32倍もの質量を持つO型原始星を取り巻く降着円盤を発見したとする。この発見された降着円盤の直径は、約4000天文単位で、光年に換算すると約0.63光年となるという。
なお研究チームによると、今回の大質量星は、降着円盤を持つことがわかっている最も重い原始星の1つだとしているほか、銀河系中心部にある原始星円盤を電波で直接撮像に成功したのは今回が初めてだともしている。
また、同降着円盤では、原始星円盤で検出されることは珍しいとされる渦巻き腕が2本発見されたともする。調査の結果、降着円盤から約8000天文単位(=約1.26光年)離れた場所に、太陽質量の3倍程度の天体が発見されており、数値シミュレーションとの比較から、1万年以上前にこの天体が降着円盤に接近・通過したということが推測されたとのことで、その際に円盤が乱され、2本の渦巻き腕が形成された可能性が示されたという。
今回の発見により、これまで不明だった大質量星の形成にも、降着円盤の存在が関係している可能性が示されたことから、星の質量が異なっても、形成過程は同じである可能性があると研究チームでは説明しており、今後、アルマ望遠鏡によるさらなる高解像度観測によって、大質量星の形成の謎が解明されることが期待されるとしている。