作詞家の秋元康氏とアイドルグループの乃木坂46が、17日に放送された日本テレビ系音楽番組『MUSIC BLOOD』(毎週金曜23:00~)に出演した。
ゲストが大物であることから、少し緊張気味と話しつつも「以前お世話になったことがあるけど、すごくお話が面白いから楽しみ!」とMCの田中圭が語ると、千葉雄大は「メディアを通してしか見たことがないし、偉大すぎてなにかユニコーンとか、幻の生き物って感じ。そんな存在です」と独特の表現でゲストの印象を披露。なかなか踏み込んだ質問ができないことを予想してか「今日は雄大が際どい質問でガンガン切り込んでね」と、千葉に難題を丸投げしながらスタートした。
トークでは、秋元康氏のほか、秋元真夏、山下美月、梅澤美波、遠藤さくら、和田まあや、佐藤楓、金川紗耶、弓木奈於が出演。
2019年のドラマ『あなたの番です』で、主題歌「会いたいよ」を秋元康氏が楽曲提供した過去があることから、「そのせつはお世話になりました」とお礼をする田中。当時のことを秋元康氏は「歌う前は恥ずかしいから嫌って言っていたけど、すごい上手ですよ。カラオケではかなり歌い込んでるでしょ(笑)」と語る。そして同席していた乃木坂46のメンバーに話を振ると、山下は「秋元先生にはオーディションやライブなど、大人数の中でお会いすることはありますが、今日みたいな少人数でお会いするのは初めてなので緊張しています(笑)」と、率直な感想が。
この日は、秋元康氏に色んな質問をするという流れになっていたこともあり、まずは弓木から「秋元先生は海と山、どっちが好きですか?」という素朴な質問が飛び、「やはり海ですね」と回答した。
続いて、手掛ける楽曲の歌詞についてひも解くことに。秋元真夏から「インフルエンサー」という曲の歌詞の中で、なぜ恋愛の距離感を地球と太陽に例えたのですか?」と質問が。「楽曲制作をする際、まずメロディを聴いてから始めるのですが、『インフルエンサー』もそうでした。メロディに合わせて作っているうちに“縮まることのない距離でお互いに影響を受けあっている”と感じ、一番わかりやすいと思ったのが、地球と太陽の関係でした。ただ、思ったイメージをメロディにはめるのが難しいんです。一番こだわるのは譜割り(ふわり:音符に対して、歌詞の一音一音をどういう配分で置いていくかを考える作業)なのですが、それもぴったりだったのです。また何をテーマに書くかということも大事で、これは日常で突然思いついたフレーズや飛び込んできた言葉を頭の中のリュックサックに入れておくようにして、これらの言葉は曲作りのときに出しています。インフルエンサーという言葉もそうです。『恋するフォーチュンクッキー』や『サイレントマジョリティー』なども同じです」という。
そう秋元康氏が真剣に語ったそばから、和田が「自身で書かれた歌をカラオケで歌いますか?」と自由すぎる質問を。これにも自身の経験を踏まえつつ「よく『川の流れのように』を歌ってくれと言われますが、自分で歌うことはないです。歌うとすれば長渕剛さんの『乾杯』や尾崎豊さんの『I LOVE YOU』とかですね」としれっとオハコも教えてくれ、思わぬ告白に全員が驚いた。
続いて、梅澤から11枚目のシングル「命は美しい」についての質問。「なぜこのテーマにしたのですか?」との問に、「いつもアイドルの歌を作ろうとは考えていません。命って大切なものだよというメッセージを、アイドルが歌うからこそ届くこともあると思っています。誰が歌うかが大事。例えば日本の歴史って学ぼうとするとハードルが高いですが、“漫画で読む日本の歴史”ならハードルが下がる。自然に耳に入ってくる歌詞の中に大事なメッセージを入れることで『命は美しい…、たしかにそうだよな』って考えるきっかけになる可能性がありますから」。
佐藤から「どんな時に歌詞が浮かぶのですか?」と質問されると、「締め切りが迫ってきていると浮かぶことが多い」と、意外な回答が。
山下からの「オーディションで選出する際の決め手は?」という質問に、「これはよく聞かれることですが」と前置きしつつ、「僕はあまり関わらないです。原石をダイヤにする方は得意ですが、原石を探す力はないので。だから『あの子はこんな子だから向いてると思いますよ』とスタッフさんから聞いて、じゃあそうしましょうかという感じですね」と明かした。
「何をしている時が楽しいですか」という遠藤からの質問には、「仕事の締め切りを終えた瞬間です。だいたい朝の5時くらいに終えることが多いのですが、そこから映画やドラマを観たりしている時が楽しいです。夏休みが始まる直前の、あの心境ですね」。続けて、「でもすぐにまた別の締め切りがくるわけですよね?」と田中から聞かれると、「そうですね。でも『次に何を書こうかな』と考えることも楽しい。仕事だけど仕事じゃないという感覚」と、仕事に対する姿勢が垣間見えた。
さらに、秋元真夏からの「『君の名は希望』は、どんな気持ちで書いたのですか?」という質問には、「当時いじめ問題があって、自分の存在感って何だろうって悩んでいる人に向けて書きたいという思いが生まれました。この歌がそういう人たちの希望になったらいいなって」と、込めた思いを披露した。
今回、選抜メンバーが歌ったのは「君の名は希望」。山下は「みなさんに少しでも希望を与えられるように一生懸命歌わせていただきます」と力強く語る。
そして、もう一つの“BLOOD SONG”はアンダーの曲である「日常」。アンダーについて金川が「選抜に入れなかったメンバーを中心に結成されたグループです」と説明。さらに「アンダーのメンバーのリアルな思いと歌詞が通ずるものがあるので、気持ちを込めてしっかりと歌わせていただきます」と意気込んだ。
ライブ収録では、メンバーそれぞれが「よろしくお願いします」と元気に挨拶をしながら、ペールトーンカラーが際立つノースリーブ&プリーツスカートという、キュートな衣装でスタンドイン。選抜メンバーによる「君の名は希望」は、学生時代の甘酸っぱい恋愛模様を想起させるようなリリックと、疾走感あふれるポジティブなメロディーで、スタジオを優しく包み込んだ。
続いて、アンダーメンバーがネイビーを基調としたシックな衣装をまとって登場。丁寧にあいさつをし、フォーメーションや振り付けのチェックを済ませると「日常」を披露。白光に包まれてのスピーディーで激しいダンスと、本当の幸せは日々の中にあると思わせる日常社会をベースに紡いだ普遍的な歌詞で魅了した。