JR東海は6月16日、これまで地上装置で実現してきた新幹線の安定的な運行を維持するための架線電圧維持機能を、最新車両である「N700S」に搭載する主変換装置のソフトウェアを改良することで、車両側で電圧低下を抑制する技術を開発したことを発表した。
新幹線の運行は高密度で行われており、たとえば2022年6月の東京駅発の下り本数を見た場合、もっとも本数の多い日のもっとも混雑する17~19時台では、のぞみだけでも1時間あたり11本となっている(2020年3月のダイヤ改正以降、お盆シーズンなどに1時間12本の「のぞみ12本ダイヤ」も実現)。また、のぞみの合間を縫ってひかりが2本、こだまも2本(休日は3本)発車するため、もっとも本数の多い日は平均すると3分45秒に1本が東京駅を発車するという超過密ダイヤとなっている。
このような高密度ダイヤで列車を運行した場合、架線の電圧が低下して列車の安定運行に必要な電圧を維持できなくなる可能性がでてくるという。この問題を防ぐためにJR東海では、これまで変電所の増設や電力補償装置の導入など、地上の電力設備を増強することで対応してきたという(2022年6月時点、電力補償装置は東海道新幹線の沿線に21台設置されている)。
そうした中、今回の取り組みでは2020年7月にデビューした最新車両「N700S」に搭載されている主変換装置のソフトウェアに改良が施され、架線の電圧低下抑制を車両側で行うことが可能となったとする。地上設備ではなく、車両搭載装置としてこのような機能を実現するのは世界初となるという。