一般財団法人 日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトは6月16日、「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第2回)」を同プロジェクト公式サイトにて公開した。
「暑熱順化(しょねつじゅんか)」とは、体を暑さに慣れさせること。「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線」は、本格的な暑さを迎える前にできる熱中症対策である暑熱順化の大切さについて広く知ってもらうことを目的とし、各地域で暑熱順化が必要なタイミングの目安となる。
熱中症に特に注意が必要なのは、体が暑さに慣れていない状態で、暑い日が続くタイミング。2021年は7月中旬から下旬にかけて各地で梅雨明けし、梅雨明け後の救急搬送者数は、梅雨明け前の約1.8倍に増加した。
本格的な暑さを迎える前に、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」をすることが大切となる。暑熱順化ができていないと体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まる。暑熱順化には個人差もあるが、数日から2週間程度かかる。また、一度暑熱順化ができていても、数日暑さから離れると暑熱順化の効果は薄れてしまう。
「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線」は、各地域で暑熱順化が必要なタイミングの目安を示している。梅雨に入り、日ざしのない日や気温がそれまでよりも低い日が続くことで、体が暑さに慣れていない状態に戻ってしまっている可能性がある。
「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線」が示す時期を目安に、暑熱順化をするための動きや生活を始めることが求められる。暑熱順化をするには無理のない範囲で汗をかくことが大切であり、軽い運動や湯船に浸かる入浴で意識して汗をかき、体を暑さに慣れさせることが有効だ。
日常生活の中では、運動や入浴以外でも、帰り道に1駅分歩いたり、少し遠くまで徒歩や自転車で買い物に行ったり、普段はエスカレーターやエレベーターを使うところを階段で上り下りしたり、身近な方法で軽く汗をかくことができる。無理のない範囲で取り入れてみてはいかがだろうか。
「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、2021年から公式サイトにて「暑熱順化」のページを公開している。こちらでは暑熱順化の詳しい内容や、自分の暑熱順化がどの程度進んでいるかを確認できる「暑熱順化チェック」、印刷して暑熱順化の知識を深めることができる「暑熱順化ポイントマニュアル」も掲載している。
なお、この先の気象傾向に関して、日本気象協会所属 気象予報士/防災士/熱中症予防指導員 久保智子氏は、以下のようにコメントしている。
「7月は、太平洋高気圧の張り出しが強まるため、梅雨明けは各地で平年より早いでしょう。昨年の夏も、全国的に平年より早い梅雨明けとなりましたが、今年はさらに早まる所もありそうです。梅雨明け後は晴れて厳しい暑さとなるため、いつもより早い時期から熱中症対策が必要です。
8月は、湿った空気の影響で、にわか雨や雷雨が多くなる可能性がありますが、気温は平年並みか平年より高い所が多い見込みです。昼間だけでなく、夜も室温を適切に保ち、就寝前に水分を補給するなど、夜間の熱中症にも注意してください。
本格的に暑くなる前から、バランスの良い食事や十分な睡眠をとるなど、暑さに負けない体づくりを心がけてください。早めに、適度な運動や入浴など、暑熱順化のための動きや活動を始めて、暑さに備えましょう」