「オルタナティブ投資」や「オルタナティブロック」など、ビジネスや音楽などで使われる「オルタナティブ」という言葉。略して「オルタナ」と言われることもあり、「代替可能な」などの意味でよく使われるビジネス用語です。「オルタナティブ医療」「オルタナティブ教育」など、派生語も多いので、意味や使い方を理解しておくと役立ちます。近年は「オルタナティブガールズ」というゲームや「オルタナティブドラゴン」というゲームキャラも登場しています。
この記事では「オルタナティブ」の意味や派生語、対義語などを紹介します。ビジネス用語に関する知識を身につけたい人は、ぜひ参考にしてください。
オルタナティブの意味と使い方
オルタナティブは、「代案」「二者択一」「主流な方法に変わる新しいもの」などの意味があり、「オルタナ」と省略して使われることもあります。
使われる分野によって意味が異なり、ビジネスでは「代案」や「二者択一である選択肢」の意味です。株式投資や医療においては、「これまでの手法に変わる新しい方法」という意味で使われ、「オルタナティブ投資」や「オルタナティブ医療」といった言葉があります。
オルタナティブの由来は英語の「alternative」
オルタナティブの語源は英語の形容詞・名詞である「alternative」で、下記のような意味があります。
- 二者択一の
- 代わりの
- 慣習的な方法をとらない
日本語のオルタナティブとほとんど同じ意味で使われています。
オルタナティブの例文
オルタナティブを使った例文を紹介します。
・もしうまくいかなかった場合に備えて、オルタナティブなプランも用意しておこう
・本校では、既存の枠組みにとらわれすぎないオルタナティブ教育を実践しています
・プレゼンの内容から判断すると、発注先はA社かB社かのオルタナティブだ
・環境への負荷が高い火力発電に取って代わる、オルタナティブなエネルギーへの転換に取り組む
・違う業種の人と話すと、オルタナティブな方法に関するヒントをもらえることが多い
上記のように、オルタナティブはビジネスでも活用しやすい言葉であり、省略したオルタナで表現することもできます。
オルタナティブを使った言葉
オルタナティブは「オルタナティブ投資」など、ほかの言葉と組み合わせて使われることがあります。オルタナティブを使った言葉の代表例とその意味をご紹介します。
オルタナティブ投資
「オルタナティブ投資」とは、株式や債券などに代表される伝統的な資産以外への投資とは異なる手法を用いた投資のことです。
オルタナティブ投資の代表例としては、資源への投資、不動産投資、未公開株への投資などがあります。手法としてのオルタナティブ投資の代表例は、ヘッジファンドやマネージドフューチャーズなどです。
ヘッジファンドとは機関投資家や個人資産かから集めた資金で行う投資信託のことをいいます。また、マネージドフューチャーズは株式や通貨、金利や商品などの先物取引やオプション市場を投資対象として、相場の上昇・下降どちらの場合でも利益を上げることを追求する投資手法のことです。
オルタナティブ医療
「オルタナティブ医療」は直訳すると「代替医療」のことです。西洋医学に取って代わる代替医療を指します。似た意味を持つ「補完医療」とは西洋医学を補う医療のことです。両者をあわせて「補完代替医療(コンプリメンタリー・オルタナティブ・メディシン)」といいます。
補完代替医療には、下記のようなものがあります。
- ホメオパシー
- 自然療法
- アーユルヴェーダ
- 瞑想
- 催眠療法
- 健康食品
- カイロプラクティス
- 鍼灸
- 気功
など
現代では、西洋医学以外の手法を用いて行う、医師免許がなくても行える上記のような手法が、オルタナティブ医療とされています。
オルタナティブテクノロジー
「オルタナティブテクノロジー」とは、1960~1970年頃に問題となった公害問題やオイルショックを契機に考えられた技術のことです。
これまでの科学技術は温室効果ガスの排出量の多さが問題となっていました。オルタナティブテクノロジーは、省エネルギー技術や無公害の技術を用いた、既存の技術と代替可能な技術のことを指します。
具体的には、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどを活用した再生可能エネルギーがこれにあたります。
日本ではまだまだ電源構成に占める再生可能エネルギー比率は低いです。今後は、オルタナティブテクノロジーである再生可能エネルギーを主力電源にしていくことが目標とされています。
オルタナティブワーキング
「オルタナティブワーキング」とは、「代替労働」を意味する言葉です。従来の仕事とは異なる価値観や秩序をもつ就業方法で、仕事をする場所や時間を自分で選べるなどの特徴があります。
オルタナティブワーキングが注目を集める理由には、ワークライフバランスへの取り組み、リモートワークやフリーランスの増加などが挙げられます。
オルタナティブデータ
機関投資家などが資産運用の参考にしていたデータのうち、これまで伝統的に用いられていた決算情報などの枠を超えた、さまざまな業界・分野におけるデータ群の総称を意味します。ビッグデータやアルゴリズム取引などの新しい技術が普及してきたことで、オルタナティブデータを利用した資産運用が可能となりました。
オルタナティブロック
オルタナは音楽のジャンルを表す言葉として使われることもあります。いわゆる「オルタナティブロック」と呼ばれるジャンルのことで、主流なジャンルとは一線を画したロックミュージックのことです。個人の感情や政治的主張、芸術としての表現などを目的にしています。
オルタナティブの対義語
オルタナティブの対義語も覚えておきましょう。
主流・メジャー
「主流」とは、もともと川の支流が集まってできた大きな流れのことを指していました。そこから意味が派生して、現在では「思想や学問などの中心となっている傾向」「集団や組織の中の中心派閥」などの意味で使われています。
「メジャー」とは英語の「major」が語源である言葉で、「主流だ」という意味で使われることもある言葉です。
「主流」「メジャー」ともに、オルタナティブの持つ「これまでの手法に変わる新しい方法」という意味とは反対の意味で使われます。
既存
「既存(きそん)」とは、「前から存在すること」を意味する言葉です。
オルタナティブの「これまでの手法に変わる新しい方法」という意味とは反対の意味にあたりますので、対義語として覚えておきましょう。
オリジナル
英語の「original」が語源である「オリジナル」にはいくつかの意味がありますが、「独自のものである様子」「最初のものである様子」などの意味があります。
オルタナティブの意味は「代案」「二者択一」「主流な方法に変わる新しいもの」などいくつかありますが、「オリジナル」の持つ意味とは真逆です。
オルタナティブは「代わりの」を意味する言葉
オルタナティブは、「主流なものから代替可能な」を意味する言葉で「オルタナ」と省略して使われることもあります。語源は英語の「alternative」です。対義語には「主流」「既存」などがあります。
ビジネス用語には、「オルタナティブ投資」や「オルタナティブテクノロジー」などオルタナティブを使った言葉はたくさんあります。エンターテインメントにおいても、「オルタナティブロック」というジャンルがあったり、「オルタナティブガールズ」というゲームや「オルタナティブドラゴン」というゲームキャラも登場しています。
オルタナティブという言葉の意味をしっかり理解し、使いこなせるようになりましょう。