株取引などの際に良く使われる「CAGR(年平均成長率)」ですが、何を略しているのか、何と読むのか知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では「CAGR(年平均成長率)」の意味やエクセルでの計算式をくわしく紹介します。ビジネスに役立つ情報をインプットしましょう。
CAGR(年平均成長率)とは
株取引において、投資する会社のことを調べる場合や、取引先の近年の成長をデータ化して確認したいという場合に活躍するのが「CAGR(年平均成長率)」です。具体的にどのようなものなのでしょうか。
CAGRの意味
「CAGR(年平均成長率)」とは、過去数年の成長率から1年あたりの平均を割り出したものを指します。
ビジネスで企業の収益面の成長をみる際は、前の年と比べていくと成長にバラつきが生まれるため、過去数年の成長率から1年あたりの平均を求める必要があります。
CAGRを使って他社と比較することで大まかな成長率の違いを確認でき、投資や取り引きに活用できるのです。
CAGRの読み方
CAGRとは「Compound Annual Growth Rate(複利計算・年率・成長率)」の略で、日本語にすると「年平均成長率」になります。CAGRの読み方はそのまま「シーエージーアール」と読むのが適切です。
CAGR(年平均成長率)の計算式
CAGRは計算式を使うことによってすぐに求めることができます。成長率を割り出してその会社の成長が一時的なものか、長続きしそうなものか見極めることが大切です。数値が大きいほど成長率が高いことを示します。
CAGRの計算式は以下の通りです。
(N年度の売上÷初年度の売上) ^ {1÷(N年-初年)}-1
※「 ^ 」=べき乗・累乗。ハットキャレットと読む。
この式にあてはめて実際にCAGRを求めると、初年度の売り上げが100万、3年目の売り上げが140万の場合、「(140÷100)^{1÷(3-1)}-1≒18.3」となり、3年間のCAGRは18.3%と割り出すことができます。
なお、ビジネスで年平均成長率を使うときは、[複利(https://news.mynavi.jp/article/20211110-1978297/)]をもとに成長率の平均を求めることになっています。複利とは複利法をつかって計算される利率や利子のことです。
CAGR(年平均成長率)をエクセルで計算する方法
手動で計算するのは手間がかかるので、自動で計算してくれる「Excel(エクセル)」や「Googleスプレッドシート」を活用しましょう。これらは年度や売り上げを入力すると自動でCAGRを割り出してくれるのでとても便利です。
参考にする期間の年数や時期を変えていくことによって、短期間で成長した時期と低迷している時期の違いがわかるようになります。
エクセルにおける計算式
事務や経理の仕事には必須の表計算ソフト「Excel(エクセル)」を使うと、CAGRも簡単に算出できるようになります。Windowsのパソコンにはじめから入っている場合が多いですが、Macなどはじめから入っていないパソコンの場合は、インストールしてから使用しましょう。
まずはExcelに年数と売り上げを記載した表をつくります。その後にCAGRの計算式「(N年度の売上÷初年度の売上) ^ {1÷(N年-初年)}-1」の数式を入れましょう。
Excelでは下記の数式となります。
=(N年度の売上/初年度の売上)^{1/(N年-初年)}-1
最後に計算する年度と年度の売り上げの数値を入力すると割り出すことができます。
Excelでの計算はどこの値をとっているかで大きくCAGRが変わってしまうことがあるので注意しましょう。上記の表だと、2016年から2017年にかけての伸び率は16%と大きな数字が入ることで6年間の全体の平均値が大幅に上がってしまう可能性があります。
Googleスプレッドシートを使って計算
計算に便利なエクセルですが、もともとパソコンに入っていない場合は新規でインストールしたり有料で購入することになったりと手間がかかってしまうことがあります。
そんなときはエクセルの代わりに「Googleスプレッドシート」を使用してCAGRを割り出してみましょう。
スプレッドシートとは、Googleアカウントがあれば誰でも無料で使える表計算ソフトです。操作方法はエクセルとほぼ同じく表やグラフの作成、表計算などいろいろな用途で使うことが可能です。
スプレッドシートでCAGRを割り出すには、エクセルと同じように年数と売り上げを記載した表をつくります。その後に「=(N年度の売上/初年度の売上)^{1/(N年-初年)}-1」の数式を入れ、最後に計算する年度と年度の売り上げの数値を入力すると割合が表示されるようになります。
CAGR(年平均成長率)のメリット・デメリット
ここで、CAGRのメリットとデメリットを簡単にご紹介します。
CAGR(年平均成長率)のメリット
CAGRを算出することで、過去からの平均成長率がわかります。つまり、年商など規模の違う企業との比較がしやすくなるということです。株式投資の指標の一つになりますし、企業にとってはこの先の売り上げを予測しやすくなるという点が挙げられます。
CAGR(年平均成長率)のデメリット
CAGRによって数年先の売り上げ予想をしやすくなると紹介しましたが、これは売り上げが安定している企業でいえることです。最近、急成長を遂げている企業は売り上げの変動が大きいことが予想され、CAGRはあまり参考になりません。また、仮に売り上げ予想をしやすくなるとしても、それは目安に過ぎません。他の指標とも照らし合わせながら検討しましょう。
CAGR(年平均成長率)と合わせて使いたい2つの指標
CAGRは年平均成長率を指し、過去数年の業績から1年あたりの企業の成長率を確認するもの。しかしその他にも、投資や株取引する際の判断材料としておすすめの利率があります。
「PER(株価収益率)」は割高か割安かを判断する目安に
「PER(株価収益率)」は、現在の株価が企業の利益水準と比べて割高か割安かを判断する目安として使用されています。PERの数値は、株価は高いほうが割高、低いほうが割安です。
「PER(株価収益率)」の計算方法
・PER=現在の株価÷1株当たりの収益
<例>
株価が200円:1株当たりの利益が20円ならPERは10倍
株価が600円:1株当たりの利益が30円ならPERは20倍
「PBR(株価純資産倍率)」は企業に資産価値を判断する目安に
「PBR」とは「Price Book-value Ratio」の略です。「PBR」も1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかをみる投資尺度となります。
こちらも「PER」同様、現在の株価が企業の利益水準と比べて割高か割安かを判断する目安として使用でき、PBRの数値は、株価は高いほうが割高、低いほうが割安と判断されています。
「PBR(株価純資産倍率)」の計算方法
・PBR=現在の株価÷1株当たりの純資産
株取引や投資を考える際は、「CAGR(年平均成長率)」「PER(株価収益率)」「PBR(株価純資産倍率)」の3つの利率を参考に検討するようにしましょう。
CAGRはひとつの目安として考えよう
「CAGR(年平均成長率)」は過去の売り上げの推移から1年あたりの会社の成長率を計算して割り出したものです。CAGRは投資する際の指標のひとつとしても用いられています。しかしあくまで過去の成長率を割り出した数字になるため、他の情報と組み合わせながら検討しましょう。
「CAGR(年平均成長率)」を計算する際はExcelやスプレッドシートに計算式を入れておけばとても便利です。すぐに企業情報を入力してリサーチできるよう、あらかじめ準備しておきましょう。