ASUSから、ケースファンメーカーの大家「Noctua」とコラボしたグラフィックスカードの第2弾「RTX3080-O10G-NOCTUA」が発表されました。極めて個性的なベージュのツートンカラーを採用するケースファンは、自作PCユーザーの誰もが知るところ。そんなケースファンを2個GPUの空冷ファンとして搭載し、高い冷却性能と静音性を実現したとのこと。
今回製品を発売に先駆けて試す機会が得られたので、すみずみまでチェック。「ケースファンをグラボに使う」という一見なんでもない発想が、いかに大それたことかを体験できました。
グラボはどこまでも大きくできるのか
NoctuaとASUSがグラフィックスカードでコラボするのは、今回紹介する本製品で2度目。実は第1弾として、GeForce RTX 3070搭載カードでもコラボレーションが行われていました。ただ、個人的には「冷却性能がウリならもっとハイエンドなGPUを搭載するモデルでコラボすれば良くない?」と思っていたところ。第2弾としてGeForce RTX 3080搭載モデルの投入が決定し、筆者の勝手な期待に応えてくれた形です。
製品の概要としては、冷却機構にNoctuaのケースファン「NF-A12x25」をそのまま2つ組み込んでしまった点が最大の特徴。さらにヒートシンクやヒートパイプの形状を最適化し、極めて高い冷却性能と静音性を実現したとあります。パッケージ外観からチェックしていきましょう。
冷却ファンに採用されているケースファン「NF-A12x25」は、Noctuaが送る120mmファンの主力モデル。ファンブレードは液晶ポリマー製で、ベアリングには独自のSSO2(self-stabilising oil-pressure bearingの第2世代)を採用。低回転から高回転域までどんな環境にも対応するオールラウンダーとして開発され、金属補強されたフレームが高い剛性を備えている…と製品ページにあります。
この冷却機構がとても巨大。一般的にはヒートシンクやファンの形状を最適化し、なんとか3スロット強に収めてしまうのが普通です。ところが本製品ではケースファンをフレームごとそのまま組み込んでいるため、厚みが強烈。なんと4.3スロットもの領域を専有します。
ファンはほぼ無音。静かさにびっくり
GPUそのものの仕様について確認しておくと、本製品が搭載するのはいわゆる「10GB版のGeForce RTX 3080」。暗号採掘速度が制限されたLHR仕様のGA102コアを搭載しており、CUDAコアは8,704個、VRAMは10GB GDDR6Xで、メモリインタフェースは320bit、メモリ速度は19Gbps。“12GB版”との違いは初出時のニュース記事をご確認ください。
詳細な性能については「GeForce RTX 3080の性能を徹底検証する - 性能は化け物、電源と排熱に注意」で検証しているので、かんたんに動作時の様子も確認してみました。
高い性能を備え、3DMarkによると『Apex Legends』は1080pのウルトラ設定で140fpsを超える模様。もちろんNVIDIA独自の最新機能「DLSS」や「Reflex」にも対応しており、各種最新タイトルを安心してプレイできます。
特筆すべきは、やはりベンチマーク中の静音動作です。GPUコアが全開になるような高負荷動作中でも、全くファン音は静音そのもの。ケースに収めても気になりやすい高周波もまったくなく、普段使いではファン音がきになることはまずなさそう。OCCTを用いても安定性は一目瞭然で、実用がはばかられるような高温になることはありませんでした。
Noctuaファンは要チェックの逸品
なんとケースファンをGPUに組み合わせてしまうという大技で、巨大な冷却機構を搭載する本製品。コラボ第1弾のGeForce RTX 3070搭載モデルよりも大きく消費電力が増し、Noctuaのファンが備える高い冷却性能を生かした製品に仕上がったように感じます。
気になるメーカー想定売価は167,980円前後となかなかのお値段ですが、Noctuaファンとしてはぜひ入手したいところ。国内流通量には限りがあるそうなので、購入を決断しているなら予約したほうがよさそうです。