「ご指導ご鞭撻」という言葉はビジネスシーンでよく聞く言葉ですが、意味を理解しないまま何となく使っている方もいるかもしれません。本記事では、「ご指導ご鞭撻」の意味や正しい使い方・例文を紹介します。また、言い換え表現や使う際の注意点についても紹介するので、ぜひ最後まで読んでビジネスマナーを身に付けましょう。
「ご指導ご鞭撻」の意味・使い方とは?
「ご指導ご鞭撻」の鞭撻とは「努力するように強く励ましたり、厳しく指導したりすること」という意味です。指導は、「ある目的や方向へ教え導くこと」を指します。
つまり「ご指導ご鞭撻」とは、未熟な者を強く励ましながら目的に向かって導くという意味が込められています。指導や鞭撻という言葉に「ご」を付けることで、尊敬語となっています。
なお、読み方は「ご指導ご鞭撻」は「ごしどうごべんたつ」です。
よく使われるシーン
「ご指導ご鞭撻」という言葉は、ビジネスシーンにおける異動先での挨拶、結婚式や宴会での挨拶、年賀状の挨拶でよく耳にしたり目にしたりします。話し言葉としても、書き言葉としても使えます。尊敬語のため、使う相手は上司や顧客など目上の人です。
「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」と使うことが多い
「ご指導ご鞭撻」は、「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」という言い回しでよく使います。そのほか、「 これからもご指導ご鞭撻賜(たまわ)りますようお願い申し上げます」や「 これからもご指導ご鞭撻いただけますと幸いです」などもよく使う言い回しです。
「ご指導ご鞭撻」の例文
「ご指導ご鞭撻」の正しい使い方を例文で紹介します。
ビジネスシーンでの例文
■社内で異動するときの挨拶
「1年という短い期間でしたが、大変お世話になりました。部署は変わりますが、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」
■プロジェクト終了時の打ち上げ
「諸先輩方からのご指導ご鞭撻により、プロジェクトを達成させることができました。この場を借りて御礼申し上げます。」
■上司に送る年賀状
「昨年は公私にわたりお世話になりました。今年も引き続き、ご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。」
結婚式のスピーチでの例文
■結婚式でのスピーチ
「まだまだ未熟な2人ではございますが、今後ともご指導ご鞭撻いただけますと幸いです。」
「ご指導ご鞭撻」とともに使う言葉
実際にご指導ご鞭撻を使う際には、あわせて以下の言葉を使いましょう。
【ご指導ご鞭撻の前に使われる言葉】
・何卒
・これからも
・今後とも
・引き続き
・どうぞ
【ご指導ご鞭撻の後ろに使われる言葉】
・賜りますようお願い申し上げます
・よろしくお願い申し上げます
・のほどよろしくお願いいたします
・いただけますと幸いです
「ご指導ご鞭撻」を使う際の注意点
「ご指導ご鞭撻」を使う際は、最低限のマナーを踏まえておきましょう。
今後、関係のなくなる人には使わない
前述の通り、「ご指導ご鞭撻ください」とは「これからも指導をお願いします」という意味です。今後も関わるということが前提のため、転職や転居を控えている人に対して使うと不自然なこともあります。
お世話になった先生や上司など、これからも関係が続くだろうと見込む人に使うのは問題ありません。
具体的な意見が欲しいときは別の表現を使おう
「ご指導ご鞭撻」は、格式ばった挨拶に用いられる定型句です。日常で使うことはほとんどありません。日常の業務などで「この企画書についてご指導ご鞭撻よろしくお願いします」というのは不自然。「この企画書について気になる点をご指摘ください」などとしましょう。
「ご指導ご鞭撻」の類語・言い換え表現
「ご指導ご鞭撻」は少し固い印象のある言葉なので、いくつか言い換え表現を知っておくと便利です。
ご指南
指南とは、武芸などを教え示すこと、指導することという意味です。剣道や空手といった武道や、演奏や美術といった芸術分野に対して使います。
- 武道家に憧れ入部いたしました。ご指南のほどよろしくお願いいたします。
お導き
導くとは、目的の場所まで連れていくという意味です。教えを乞うと同時に、目標達成に力を貸してほしいという気持ちを込めることができます。
- 優勝を目指してお導きいただけますようお願い申し上げます。
ご教示
教示とは漢字が示すとおり、教え示すことという意味です。
- このテーマについて先生のご教示を賜りたく存じます。
ご教授
教授とは、学問や技芸を教え授けるという意味です。ご教示と似ていますが、より専門的な内容を教えてもらいたい場合などには「ご教授」を使うのが良いとされています。
- 今回の研修は専門家の方にご教授いただけると幸いです。
「ご指導ご鞭撻」は謙虚な姿勢を表明できる言葉
「ご指導ご鞭撻」という言葉を掘り下げてきました。「これからも成長したい」という謙虚な気持ちを伝えられる言葉として、ビジネスシーンでは異動や退職の挨拶として定番。いつか使う日が来るかもしれませんね。