東京商工リサーチは6月14日、「円安に関するアンケート」の調査結果を発表した。調査は6月1日~9日、資本金1億円以上の大企業、および1億円未満(個人企業等を含む)の中小企業を対象にインターネットで行われ、5,667社の有効回答を集計・分析した。
「今年5月(1ドル=130円前後)の為替水準は貴社の経営にとってプラスですか?マイナスですか?」と聞いたところ、46.7%の企業が「マイナス」と回答。前回調査(4月、1ドル=122~124円台)では、円安が「マイナス」の企業割合は39.6%で、急激な円安進行で7.1ポイント上昇。一方、「プラス」の企業割合は3.5%(173社、前回調査3.9%)、「影響はない」は28.4%(1,613社、同29.5%)だった。
規模別では、「マイナス」が中小企業の約5割(48.2%)を占めたのに対し、輸出や海外進出のウェイトが大きい大企業は37.7%で、両者に10.5ポイントの差がついた。
業種別にみると、「プラス」と回答した業種の上位は、「業務用機械器具製造業」(16.0%)、「情報通信機械器具製造業」(14.8%)、「輸送用機械器具製造業」(11.5%)の順。一方、「マイナス」と回答した業種では、業種別では、アパレル販売の「繊維・衣服等卸売業」(80.3%)と「織物・衣服・身の回り品小売業」(80.0%)で、8割以上の企業が「マイナス」と回答した。円安による海外からの仕入価格の上昇が、輸入依存型の企業の収益を圧迫しているよう。
望ましい円相場については、最多レンジは、「110円以上115円未満」の39.3%だった。前回調査(4月)でも同レンジが最多の42.5%だったが、急激な円安進行が止まらず、実態と15円以上乖離した1ドル=110円台前半を望ましいとする企業の割合は低下した。
一方、1ドル=115円以上の為替相場を望ましいとする企業は41.9%で、前回調査の26.6%を15.3ポイント上回った。上昇幅では「120円以上125円未満」(16.4%)は、前回調査から8.2ポイント増、「115円以上120円未満」(22.0%)は6.4ポイント増という結果に。
ただ、中央値と最頻値は規模に関係なく前回調査と同じ110円。円安が「マイナス」の企業が約5割(46.7%)を占めるなか、希望レートより20円以上も円安が続くと、今後、コストプッシュが一段と強まり、企業の業績改善スピードが鈍化することも懸念される。